CPUの仮想化

2008年9月1日(月)
小薗井 康志

ハードウエアの仮想化とは?

 ここ2、3年仮想化技術が注目を集めています。サービスやアプリケーションなどのソフトウエアから、サーバーやストレージ、CPUなどのハードウエアまで、さまざまな場面で仮想化がキーワードになり、それを利用したソリューションが提供されるようになりました。

 本連載では、特にサーバーやPCで使われているハードウエアの仮想化においてキーとなるCPUによる仮想化をサポートする技術を紹介します。CPUの仮想化をサポートする技術を使うことで、1つのシステム上で複数のOSを起動することが簡単にできるようになります。なお、ここでのCPUはIntel系のいわゆるx86系CPUを中心に紹介していきます。

CPUの特権レベルとは何か?

 仮想化について説明する前にCPUの「特権レベル」について説明します。これを理解すればCPUの仮想化というものが簡単に理解できます。

 Intelの386以降のCPUは、特権レベルというものをサポートしており、OSが動作する時とアプリケーションが動作する時のモードを特権レベルで分けています。

 X86系CPUでは4段階の特権レベルを持っています。図1に示すようにOSは特権レベルの一番高いレベル0で動作し、アプリケーションはレベル3で動作します。通常、レベルは「リング」と呼ばれており、OSはリング0で、アプリケーションはリング3で動作するという言い方をします。あるいはそれぞれ「カーネルモード」「ユーザーモード」と呼ばれることもあります。

 リング0で動作するソフトウエアは、CPUが持っているリソースおよび命令にすべてアクセスすることができる「特権命令」を実行することができます。もちろんメモリーの全空間へのアクセス、IOなどのハードウエアへのアクセスなども可能です。

 一方、リング3ではアクセスが限定されます。そのため、アプリケーションで何か致命的な問題が発生しても、OSまでは影響を受けず、システム全体の動作に影響が出ないようになっています。

 なおアプリケーションを書くプログラマは、ハードウエアなどのリソースに関してはOSに任せてプログラムを作成することができます。アプリケーションがOSのシステムコールなどを呼び出した場合やハードウエアへのアクセスが必要となった場合、CPUはリング0での動作モードになります。またハードウエアを動作させるドライバーソフトもリング0で動くことになります。

 次ページからは、本題である仮想化について説明していきましょう。

半導体(インテル)の技術者から経営者、サーバーベンダー(Dell)の技術者を経て現在日本アイ・ビー・エム株式会社でIT Specialistとして働いております。クラウド上で様々な面白いアプリケーションを多くの人が開発できるようにSoftLayerを中心にIBMのクラウド製品をサポートしております。個人的にはDrupalに注目。2014年9月にDrupal Business Consortium Japan を設立。現在理事長

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