連載 [第4回] :
SQL ServerイントロダクションSQLServerノウハウ
2007年8月17日(金)
SQL Serverのノウハウとレポートツール
最終回となる今回は「SQL Serverノウハウ」と題し、まだあまり知られていない「SQL Server 2005 Performance Dashboard Reports」の特徴とインストール方法、使い方について紹介します。
SQL Serverの設計思想
「第1回:入門者向けにとどまらないSQL Serverの魅力」でも触れたように、SQL Serverはユーザフレンドリーで扱いやすく、裾野が広いことで知られています。
しかし「誰にでも使いやすい」ということは決して初心者向けという意味ではありません。「顧客のビジネスを効率化するためのソリューション」という設計思想のもとに開発されているからこそ「使いやすい」ソフトウェアであるといえるでしょう。
「信頼性」や「可用性」「保守性」を強化したSQL Server 2005は、大規模かつミッションクリティカルなシステムへの導入を想定したシナリオに基づいて設計されており、エンタープライズシステムへの導入実績も急速に増加しています。
SQL Serverにおけるチューニング
チューニングの面においてもSQL Serverは「ディスク領域の最適化」や「インデックスの最適化」「メモリ配分の最適化」といったメンテナンスを自動的に行ってくれます。しかし大規模なシステムへの導入となれば、いくら自動チューニング機能を備えているSQL Serverといえども手動でのチューニングが必要となるケースがあります。
ブロードバンドの普及によるデータ量の増加やシステムの複雑化など、昨今のデータベースを取り巻く環境の変化を考えると、その必要性は今後も増していくでしょう。
手動チューニングの流れ
SQL Serverの手動チューニングはどのような手順で行っていけばよいのでしょうか。PDCAサイクルに当てはめると次のようになります。
- 1.Plan(計画)
- 問題発生状況を確認してボトルネックがどこにあるか「あたり」をつける。
- 2.Do(実施)
- 問題を解決するためのチューニングを実施する。
- 3.Check(検証)
- パフォーマンスが目標レベルに達しているかを検証する。
- 4.Action(改善)
- パフォーマンスが目標レベルに達していなければ、再度このサイクルを実施する。
以上のようにチューニングの流れ自体はとてもシンプルですが、Plan、Do、Check、Actionの各項目の中身については、豊富な経験と熟練したスキルが要求されることは周知のとおりです。
ブラックボックスでなくなったSQL Server 2005
SQL Server 2005ではこのPDCAサイクルを円滑に行うために動的管理ビュー(DMV)と動的管理関数(DMF)が追加されました。これらを使用することで、今までブラックボックスといわれていた「サーバ内部で何が起こっているのか?」といった情報を取得できるようになり、チューニングを容易に行えるようになりました。
しかし、動的管理ビューと動的管理関数を使いこなすには高度なスキルが必要となるのも事実です。この高度なスキルを必要とせず、視覚的にサーバ内部の情報を知るツールとして、2007年3月に「SQL Server 2005 Performance Dashboard Reports」が公開されました。
Performance Dashboard Reportsの役目
「Performance Dashboard Reports」とは、Management Studio上からデータベース内部の状態をグラフィカルでわかりやすく参照するためのレポートツールです。裏側では動的管理ビューと動的管理関数を使用していますが、ユーザはこれらを意識せず視覚的にボトルネックの発見やパフォーマンスの検証を行うことが可能です。つまり、PDCAサイクルの「Plan」と「Check」の作業を効率化することができるのです。
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