レポーティング機能を使う

2010年3月19日(金)
川西 修司

Pentahoレポーティングとは

第2回では、データ統合/ETLについて解説しました。第3回の今回は、データ・ウエアハウス(DWH)からデータを取得して表形式やグラフといったグラフィカルな形式で表示する“レポーティング”機能を解説します。

組織では、ビジネスの意思決定の場面において、いくつかのレポートを使用しています。このため、レポーティングは、ビジネス・インテリジェンス(BI)の中でも重要な役割を占めるコア機能と考えられており、真っ先に導入するケースが多いアプリケーションです。

「Pentahoレポーティング」は、エンドユーザー自ら簡単にレポート・フォーマットにアクセスでき、社員や顧客、パートナに向けて情報を提供できます。情報をグラフィカルに出力するというだけでなく、集計を自動化したり各種の分析を行えるという点においても、非常に便利です。

Pentahoレポーティングには、以下の特徴があります。

  • スキルを持ったパワー・ユーザーであれば、高機能で直感的なグラフィカル・デザイン環境のクライアント・ツールを使用して、レポートを作成できる
  • エンドユーザー自ら、Webベースのシンクライアントを介して、アドホック・クエリーの作成やレポーティング操作が可能
  • 幅広いデータソースをサポートしている。リレーショナルDB、OLAP、XML、Pentahoメタデータ、Microsoft Excelからインポートしたデータなどである
  • ポピュラなフォーマットで出力できる。HTML、Adobe PDF、Microsoft Excel/Word、OpenOffice Calc/Writer、プレーン・テキスト(CSV)などである
  • Web上でのビュー(参照)、スケジュールに沿ったレポート配信、安全なファイル共有などのエンタープライズ(企業向け)機能がある
  • レポートの生成に必要なリソース、レイアウト、およびコンポーネントがすべて1つのファイルに含まれており、なおかつファイル形式が統一されている

なお、レポートの配布方法は次の通りです。まずは、レポーティング・ツールからBIサーバーのリポジトリにレポートを配信します。このうえで、BIサーバーのユーザー・コンソールからイントラネット、あるいはインターネットを通じて配布します。配布のスケジュール化が可能なほか、電子メールに添付して配布することもできます。

Pentahoレポーティング・ツール

Pentahoレポーティングには、BIサーバーのユーザー・コンソールで表示する定型レポートと、アドホック・レポートの2種類があります(図1)。

定型レポートは、あらかじめレポート・デザイナでデザインしておくレポートです。デザインしたレポートは、BIサーバーのユーザー・コンソールで表示できます。

アドホック・レポートは、レポート・テンプレートと、データベースの物理構造を論理的な構造でマップしたビジネス・モデルを用いて、ユーザーが表示したいデータをその場でレポートとして作成するものです。ビジネス・モデルとはPentahoメタデータのモデルの1つであり、メタデータ・エディタで生成します。

レポート・デザイナとメタデータ・エディタには、それぞれ以下の特徴があります。

レポート・デザイナの特徴

  • グラフィカルなレポート・レイアウト、ドラッグ&ドロップでレポートをデザイン
  • レポート・デザイン・ウィザードやデータ・ソース・ウィザード、クエリー・デザイナなど、ウィザードやグラフィカル・デザイン・ツールで簡単にレポート構築
  • プレビューやエラー・メッセージ表示によって作成中のレポートを検証、デバッグ可能
  • プロパティの継承機能や複数選択により、一度に複数の要素を編集可能
  • グリッド機能や整列、ガイドライン表示によってレイアウトが容易

メタデータ・エディタの特徴

  • Pentahoメタデータのドメインとビジネス・モデルを作成
  • データベースの物理的な構造を論理的なビジネス・モデルにマッピングし、集中化したメタデータ・リポジトリで管理
  • 複雑で分かり難いデータベース・テーブルを、ビジネス・ユーザーが理解可能な定義に設定
  • セキュリティ・パラメータを設定して、ユーザーごとにレポート・データのアクセスを制限
  • ユーザーの地域に合わせてローカライズ可能

次ページからは、レポーティング・ツールの使い方を解説します。

株式会社KSKソリューションズ
2006年KSKソリューションズ設立メンバーの1人。エンジニアとして主にオープンソースBI Pentahoを利用したBIシステムの構築に従事する。Pentaho日本語サイト(http://www.pentaho-partner.jp/)の運営やツールの日本語化、導入からサポート、トレーニングなど活動は幅広い。

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