BTSとMylynの連携

2012年2月15日(水)
近藤 寛喜

BTSとの連携

   こんにちは。チェンジビジョンの近藤です。

   前回はMylynについての簡単な紹介と基本機能について解説しました。Eclipse 3.3を導入したとき、見慣れないボタンが追加されていましたが、それらはほとんどMylynが提供していた機能でした。今回はタスクを共有するための Bug Tracking System(BTS)との連携や他のプラグインとの統合を中心に解説します。

   MylynとBTSを連携させたときの利点は、大きく分けると次の2点ではないでしょうか。


  • BTSの運用を促進する各種機能
  • タスクコンテキストの共有
表1:MylynとBTSを連携させたときの利点


   BTSを使ったバグの修正の一連のフローを思い浮かべてみてください。多くの方が、このような流れを想像されたのではないでしょうか(図1)。

BTSを使ったバグの修正の流れ
図1:BTSを使ったバグの修正の流れ

   Mylynを使うとよりスムーズに上記の流れをたどることができます。なぜならMylynはBTSに登録されたバグなどをタスクとして扱うことができるからです。

   Mylynが提供するタスクエディタ上から直接バグレポートを閉じたり、BTS上にコメントを残すことができます。またソースコードのコメントから バグレポートへのリンクを作成できたり、ソースコードをCVSやSubversionにコミットするときに、自動的に変更履歴にバグとの関連が記述されま す。このほかにもMylynから新たにBTS上のタスクの作成もできます。こういった開発環境とBTSが統合された環境はそれだけでも便利だということが ご理解いただけるかと思います。

   このようにBTSで行う作業を一通りEclipse上から行うことができるのです。もちろんWebブラウザからBTSの操作を行うこともできますが、このように統合された環境の方がチケットの操作忘れを防ぐことができるのではないでしょうか。

   BTSだけでも、バグレポートや要望など、プロジェクト上のタスクの共有を実現できます。MylynとBTSを連携させることの最大の利点はタスクコンテキストの共有が実現される点でしょう。

   前回解説しましたが、タスクコンテキストとは、関連するファイルやメソッドをタスクに結びつけておく機能です。タスクコンテキストを共有ができると、これまで口頭で行われることの多かったタスクの引継ぎを、より簡単に行うことができます。

   それではMylynとBTSとの連携について解説します。解説をはじめるまえに、文中にでてくる用語について簡単に解説を加えます。

Task Repository
タスクを管理するリポジトリです。Tracなどの接続先を意味します。
BTSとの接続をするためのコネクタプラグインを導入すると、Local Repositoryというリポジトリが表示されますが、Local Repositoryはローカル環境で管理しているタスクのためのリポジトリです。
Query
Task Repositoryからタスクを取得するための検索条件です。
BTSと連携するでは、Task Repositoryからデータを取得をするために、Queryを作成します。
表2:用語について
株式会社チェンジビジョン

株式会社チェンジビジョンにて製品開発を行うかたわら、Eclipseプラグイン開発など、オープンソース活動に従事。OSGiなどアプリケーションのモジュール化技術に興味があり、趣味で実践し、仕事に生かしている。また、かんばんとスクラムなど、ソフトウェア開発に役立つ記事や書籍の翻訳活動にも従事している。

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