設計工程の機能比較!
EclipseとJDeveloper
読者の皆さんは普段Javaで開発を行う際にどのようなツールを利用されているでしょうか?
古くはテキストエディタとJDKに付属するコマンドラインコンパイラ(javac)とAntでビルドを自動化していたという方もいらっしゃるかもし れません。当時もJava統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)は存在しましたが、高価であったり、開発マシンに要求されるスペックが高く動作が緩慢だったこともあり、広く利用されているとは いえない状況でした。
しかし、現在ではもはやIDEなしでの開発は考えられないという状況です。これは開発マシンの高スペック化やJava自体の高速化もありますが、やはりEclipseの登場によるところが大きかったのではないでしょうか。
Eclipse - Java IDEのデファクトスタンダード
皆さんもご存知の通りEclipseはJava開発において事実上標準IDEの地位を築いています。
Eclipseはオープンソースであり、無料で利用することができることに加え、リファクタリング機能や入力補完など商用製品にも劣らない強力な機 能を備えています。また、GUIツールキットとしてJava標準のSwingではなく、SWTという独自のライブラリを使用したことで、当時の多くの Java IDEと比較して非常に高速に動作する点もEclipseの普及に一役買っていました。
Eclipseは初期状態ではGUIアプリケーションやWebアプリケーションの開発に対応しておらず、別途プラグインをインストールする必要があ る点が長らく弱点とされてきました。しかし、最新のEclipse 3.3(Europa)ではあらかじめWebアプリケーション開発に必要なWTP(Web Tools Project)を同梱したパッケージが提供されるなど、バージョンアップごとに改善されてきています。
JDeveloper - 業務アプリケーション開発向けのIDE
Oracle JDeveloperはOracleが提供しているJava IDEで、GUIアプリケーションからJava EEを使用したエンタープライズアプリケーションの開発まで幅広い領域をサポートするフルスタックのIDEです。
もともとは商用の製品でしたが現在では無償で利用することができます。なお、本連載執筆時点(2007年8月)では最新版11gのTechnical Preview版が以下のURLで提供されています。
http://www.oracle.com/technology/products/jdev/11/index.html
JDeveloperはOracleが提供するミドルウェア(データベースやアプリケーションサーバ)との親和性が高く、またOracle独自の ADF(Application Development Framework)を利用したRAD(Rapid Application Development)開発をサポートしている点が大きな特徴です。万能型のEclipseに対して業務アプリケーションの開発に特化したビジネス向け のIDEといえるでしょう。
本連載ではEclipseとJDeveloperが提供する機能を「設計工程」「製造工程」「試験工程」のそれぞれのフェーズに分けて紹介していき ます。実際の開発においてIDEの選定の一助となれば幸いです。なお、本連載の記述はEclipse 3.3およびJDeveloper 11gに基づいています。JDeveloper 11gはまだ正式にリリースされておらずTechnical Previewを使用しているため正式版では本連載の内容と異なる点がある可能性があるかもしれません。あらかじめご了承ください。