連載 [第1回] :
徹底比較!! Linux & Windows ファイルサーバ編Sambaを導入する理由
2004年11月16日(火)
Sambaとは
Linux/UNIXを使っているものにとってSambaは今さら説明する必要もないほど有名なソフトウェアであるが、Windowsしか使ったことのないユーザのために簡単に紹介しよう。
SambaはLinuxやUNIXマシンをWindowsのファイルサーバ、プリントサーバさらには(Windowsドメインの)ドメインコントローラにしてしまうソフトウェアだ。
1992年に開発されてから10年以上の実績を持っており、現在ではWindowsドメインコントローラの機能と共にWindowsからの移行機能を備えたため、サポートがもうすぐ切れるWindowsNT4サーバの代替としてはもちろんWindowsのActiveDirectoryの代替として導入される事例が増えてきている。
今回は、このSambaをWindows Server 2003と比較しながら紹介していこうと思う。
Sambaを導入する理由
多くの企業や官公庁、学校ではWindowsマシンが導入され、これらの管理サーバ、ファイルサーバとしてWindowsサーバが多く導入されていることだろう。
SambaはUNIX/Linuxの上にこのファイルサーバ機能を提供する製品であるが、時代と共にWindowsサーバではなく、Sambaを使う理由が変わってきている。
Windows95が普及し始めWindows NT 3.5やNT4が世に出たばかりの1996年頃は導入理由は「信頼性」であった。
そのころUNIXに比べWindowsサーバの信頼性は高くなく、多くの(オフコンが存在しなかった米国)大規模ユーザは商用UNIXベースでファイルサーバを構築していた。
その後、1999年頃のLinuxブレイクが始まると「コスト削減」のためにSambaとLinuxは中小規模ユーザを中心に爆発的に普及し始めた。
こうした「信頼性向上」「コスト削減」という流れの中で昨今のSambaの導入理由は「セキュリティ対策」が増えてきている。
ご存じの通りWindowsに関わるセキュリティ問題は収束する気配を見せず、ウィルスやワームの99%以上がWindowsだけに感染する。Linux/UNIXベースのSambaにするだけでセキュリティが強化される上にセキュリティ対策にかけるコストが大幅に削減されるのである。
もちろん、LinuxやSambaにもセキュリティホールは存在するのだが、Windowsサーバに比べればサーバがダウンしたり、ワームに感染する確率は大幅に少ないのだ。
Samba3.0の主要機能
「セキュリティ対策」「コスト削減」「信頼性向上」という理由で導入されるSambaであるが、NT→2000→2003とバージョンアップするたびに機能追加されるWindowsサーバに対し、Sambaも後追いになってしまっているが、様々な機能追加で追従している。
特に2003年9月にリリースされたSamba3.0はWindowsからの移行機能や信頼関係の機能を備えたため、NTのリプレースやWindows Server 2003の代替として大規模ユーザでの導入事例が増えてきている。
Samba3.0では以下にあげるの機能が強化されている。
ドメインコントローラ機能
- LDAPをバックエンドデータベースと利用して数千人以上のユーザをサポートする大規模ドメインを構築できるようになった。
- ドメインの信頼関係をサポートしたので既存NTドメインへの導入が容易になった。
- NT4ドメイン移行機能(net vampire:吸血鬼機能)によりNT4ドメインからユーザ情報、グループ情報を移行できるようになった。
管理機能強化
- WindowsのGUIを使ってユーザの管理や共有の管理が可能になり、Linuxの知識の乏しい人にもSambaの管理ができるようになった。
Samba国際化版
Samba3.0のリリースから1年経ちやっと品質が安定してきたが、その大きな要因として2003年9月からミラクル・リナックス社がIPA(情報処理振興会)から支援を受けて行ったSamba3.0の国際化対応が2004年3月に完了し、国際化(日本語およびマルチバイト)対応および品質向上がなされたことがあげられる。
(http://www.miraclelinux.com/technet/samba30/ を参照)
しかしながらまだすべてが取り込まれておらず、日本語を含めたマルチバイト文字を使う時の問題が多少残っている。現時点では業務で使うなら上記Webで提供しているSamba 3.0国際化版を使うことを推奨する。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。