NetAppがクラウドネイティブなワークロードにも対応したハイパーコンバージドインフラの新製品を紹介
ストレージの専業メーカーであるNetApp、その日本法人であるネットアップ合同会社がハイパーコンバージドインフラストラクチャー製品であるNetApp HCIの新製品を紹介した。NetAppにはすでにCiscoが共同で開発したFlexPodという製品ラインがあるが、NetApp HCIはFlexPodとは別の製品として新たにサーバーとストレージを組み合わせて提供するものだ。ストレージ部分は、NetAppが2016年に買収したSolidFireのオールフラッシュストレージだ。解説したのは、ネットアップ合同会社システム技術本部ソリューションアーキテクト部の部長、神原豊彦氏だ。
「HCI」という名称を使っているが、NetAppはこれをHybrid Cloud Infrastructureの略であるという。サーバーとストレージが融合したハイパーコンバージドインフラストラクチャーでありながらも、Nutanixなどの先行するHCI製品とは差別化を行いたいというのが本音だろう。
NetApp HCIの実体は、インテルのSkylakeアーキテクチャーのCPUを搭載した汎用サーバーに、SolidFireのオールフラッシュストレージを組み合わせた製品である。ソフトウェア的には仮想化の部分にVMwareのESXiを採用し、管理コンソールもvCenterである。ストレージはSolidFireのElement OSをそのまま使い、vCenterから透過的に管理が可能であるという。VDIなどのためにNVIDIAのGPU、Tesla M100を搭載したモデルもあり、Nutanixなどが辿った道を急ぎ足で追いかけているようにも見える。
クラウドネイティブなシステムという部分ではNetAppもその流れを認識しているようで、Kubernetesがコンテナオーケストレーションの中心であることを認めており、NetApp Kubernetes ServiceというSaaSベースの製品を発表している。これは2018年に買収したStackPointCloudのサービスを、NetAppブランドで提供するものだ。そのポイントは、WebのコンソールからAWS、Azure、GCPなどのパブリッククラウドのKubernetesインスタンスの管理と同じレベルで、オンプレミス上のKubernetesクラスターを管理できる部分だという。
神原氏は「オンプレミスのHCI上にOpenShiftを載せることで、パブリッククラウドと同じようにKubernetesを利用できる」と説明する。特にTridentと呼ばれるKubernetesに対してストレージをプロビジョニングするツールを提供することで、NetAppのストレージとコンテナをつなぐことが可能になることを解説した。
NutanixがKarbonというNutanix製のKubernetes実装にこだわる姿勢を見せていることと対比すると、VMware ESXi、vCenter、OpenShift、NetApp Kubernetes Serviceというセットで実装するやり方は、エンタープライズ企業が多いVMwareのユーザーを最優先のターゲットとして、すでに定評のあるソフトウェアを揃えることで導入のハードルを下げる方策に思われる。VMwareユーザーであれば、純正のvSANを使うという選択肢もあるだろうが、SolidFireのストレージを選択するのであれば、NetApp HCIも検討に値するだろう。しかし運用管理者にとってはVMwareベースのNetApp HCIそしてElement OSの管理まで想定する必要があり、管理の容易さではNutanixがリードしているようにも見える。
いずれにせよ、オープンソースソフトウェアをカスタマイズして提供するNutanixと、VMwareやRed Hatのソリューションに定評のあるSolidFireを組み合わせたNetApp HCIでは方向性がかなり異なると言える。特にKubernetesクラスター以外にも既存のVMware環境があり、それらとの接続性、管理機能を重要視するのであれば、VMwareの仮想化基盤とSolidFireのストレージを組み合わせたNetApp HCIは、有望なシステムとして検討の対象にすべきだろう。
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