制約の使い方、Unicode使用可否、明細テーブルの設計

2006年4月7日(金)
梅田 弘之(うめだ ひろゆき)

論理モデル上だけリレーションを引く


   図2と図3は、前回使ったSQL ServerのNorthwindデータベースをER図にリバースした物理モデルと論理モデルです。

   物理モデルには、実データベースの情報がそのまま表示されます。エンティティ間のリレーション(実線:依存型、破線:非依存型)が参照整合性制約に相当しますので、図2を見るとこのデータベースには参照整合性制約が張られていることがわかります。

Northwindデータベースの物理モデル
図2:Northwindデータベースの物理モデル

Northwindデータベースの論理モデル
図3:Northwindデータベースの論理モデル

   リレーションの線にも物理モデルと論理モデルがあります。そのため、参照整合性制約を使わない方針にした場合でも、わかりやすいER図を作成できます。物理モデル表示では箱(エンティティ)が並ぶだけの表示になりますが、論理モデル表示でエンティティ間のリレーションを設定できるのです。


Unicodeを使うか


   図2や図3のエンティティの中(アトリビュート)を見ると、文字列のデータ型がvarcharではなくnvarcharが使われていることに気づきます。頭のnは、National LanguageのNのことで、各国語文字、すなわちUnicode形式で文字列を格納することを示しています。

   皆さんはvarcharとnvarcharのどちらを使用していますか?

   多分、ほとんどの人はvarchar、つまりS-JISなどの日本独自コードを使っていると思います。その理由を一言でいえば「Unicodeを使う理由がない」というものでしょうか。

   確かにUnicodeは1文字に3バイト(UTF-8の場合)も使用しますし、Unicode非対応の外部システムとの連携にも困ります。英語と日本語以外の文字を格納しないのであれば、わざわざUnicodeを使う必要がないと考えるのも無理ありません。

   筆者はといえば、実は比較的Unicodeを使っています。これまた絶対的な理由があるわけではありません。なぜかと聞かれれば、以下の3点を理由にあげます。

  • サポートしている漢字種類が格段に多いこと
  • 将来外国語を格納する可能性を残すこと
  • 最近は世界的にUnicodeを使ったアプリケーションが増えてきたこと

表2:Unicodeを使用する理由

   この時注意して欲しいのは、Oracleでは通常データベースのキャラクタセットでAL32UTF8などのUnicode指定を行います。つまりキャラクタセットでUnicodeを指定していれば、個々のデータ型でvarcharを選択していてもUnicodeとなります。

   逆にいえば、データ型でnvarcharを明示的に指定するのは、キャラクタセットと異なっていてもUnicodeにする場合ということになります。

著者
梅田 弘之(うめだ ひろゆき)
株式会社システムインテグレータ

東芝、SCSKを経て1995年に株式会社システムインテグレータを設立し、現在、代表取締役社長。2006年東証マザーズ、2014年東証第一部、2019年東証スタンダード上場。

前職で日本最初のERP「ProActive」を作った後に独立し、日本初のECパッケージ「SI Web Shopping」や開発支援ツール「SI Object Browser」を開発。日本初のWebベースのERP「GRANDIT」をコンソーシアム方式で開発し、統合型プロジェクト管理システム「SI Object Browser PM」など、独創的なアイデアの製品を次々とリリース。

主な著書に「Oracle8入門」シリーズや「SQL Server7.0徹底入門」、「実践SQL」などのRDBMS系、「グラス片手にデータベース設計入門」シリーズや「パッケージから学ぶ4大分野の業務知識」などの業務知識系、「実践!プロジェクト管理入門」シリーズ、「統合型プロジェクト管理のススメ」などのプロジェクト管理系、最近ではThink ITの連載をまとめた「これからのSIerの話をしよう」「エンジニアなら知っておきたいAIのキホン」「エンジニアなら知っておきたい システム設計とドキュメント」を刊行。

「日本のITの近代化」と「日本のITを世界に」の2つのテーマをライフワークに掲げている。

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