IDCフロンティアとKLab、海外との通信を最大50%以上高速化するソフトウェア「AccelTCP」をオープンソースで公開

2014年5月3日(土)

KLabとIDCフロンティアは、2013年12月から共同で「モバイルオンラインゲームの海外展開向け配信ソリューション」の研究に取り組んきたが、中間成果として実証実験向けに開発した「AccelTCP(アクセルティーシーピー)」をオープンソースソフトウェアとして公開した。

「AccelTCP」は、通信遅延が大きい長距離ネットワークにおけるTCP通信を高速化するプロキシサーバ型のソフトウェア。日本国内のデータセンターに構築されたシステムから海外のユーザに対し、モバイルオンラインゲームを安定した品質で配信できることを実証する目的で開発したもの。

「AccelTCP」の開発にあたり、KLabがこれまでに開発したゲームのトラフィックを分析し、高頻度で発生する通信に最適化した設計を行った。これにより、ゲーム内で発生する通信の待ち時間を最大で50%以上短縮できるという実験結果が得られた。

海外でのモバイルオンラインゲーム配信を積極的に展開しているKLabと、国内に分散配置された大型データセンターと広帯域のネットワークを保有し、ゲームインフラの運用にも豊富な経験を持つIDCフロンティアは、長距離ネットワークにおける通信遅延を削減し、日本国内から海外に向けてモバイルオンラインゲームを安定した品質で配信するソリューションの実現をめざし、共同で研究に取り組んでいる。

KLabでは創業当初よりインフラ構築や運用において多くのオープンソースソフトウェアを開発し、低コストかつ高品質なサービスの提供へ役立ててきた。今回も、KLabの研究活動への取り組みを広く知ってもらうため、オープンソースとして公開することとした。

「AccelTCP」の特徴は以下の通り。

・コネクションプーリングによりTCP接続のオーバーヘッドを削減
プロキシサーバ間で、あらかじめ確立されたTCPコネクションを再利用する「コネクションプーリング」を行う。プロキシサーバ間のコネクションプーリングにより、TCPコネクションの確立時に発生する3Wayハンドシェイクのオーバーヘッドを削減し、比較的小さなデータのやりとりを行う通信の待ち時間を大幅に短縮できる。

・TCPパラメータの最適化による高速化
プロキシサーバ間のTCP通信は、ウィンドウサイズなどのTCPパラメータをネットワークの特性に合わせ最適化することにより、データ転送効率が大きく向上する。

・プロキシサーバ型によるメリット
プロキシサーバ型を採用することにより、クライアントおよびサーバサイドのプログラムを改修することなく「AccelTCP」を利用できる。また、プロキシサーバの設置により通信区間が分割され、各通信区間の往復遅延時間が減少する。これはパケット消失時の再送時間の短縮につながり、通信全体の高速化が期待できる。

・HTTPプロキシモード
ネームベースのバーチャルホストに対応するために、プロキシサーバによるHTTPリクエストのホストヘッダ書換えとXFFヘッダ挿入を行うHTTPプロキシモードを備えている。

・通信データの暗号化とSSLオフロード機能を搭載
プロキシサーバ間の通信はSSL/TLSにより暗号化され、安全にやりとりできる。また、SSLオフロード機能を搭載しているためSSL非対応サーバのSSL化や、サーバからSSLの処理を分離することも可能。


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