スピードよりも“質”重視のトヨタ、2020年までの完全自動化狙わないと発表
トヨタがAIやロボティクスの開発促進を目的に、MIT、スタンフォード大学と提携を結んだことを発表した。
トヨタはMITとスタンフォード大に新しく組織される研究センターに、約5000万ドルの資金を投入する。成果物はトヨタと共有され、同社の自動運転車の取り組みに応用されるかもしれない。
関連記事:トヨタがミシガン大学と連携、AIプロジェクトに2200万ドルを投資すると明言
トヨタは、早ければ年内にも自社製品に自動運転機能を搭載し始めると述べているが、運転手が不要になるのはまだまだ先のことだという。同社が求めているのは、視認性の低下のため人にとっては運転が難しいような状況を含んだあらゆる天候下で機能する、ドライバーが不要なシステムだ。
投資先大学の成果へかけられる期待感
スタンフォード大もMITも、これまで無人運転プロジェクトでの成功例がある。シンガポールで無人シャトルバスのテストをおこなっているスタートアップ企業 nuTonomyは、MITの研究所から立ち上がったものだ。スタンフォード大からもDrive.AIやZooxといったスタートアップ企業が出てきている。
自動車向けのAIやロボティクスの開発のために大学と提携するのは、トヨタが最初というわけではない。たとえば、Uberは2015年に自動運転車部門へミシガン州カーネギーメロン大から生徒を引き抜いている。
人と同じように考え、短い時間に判断をおこなうことがシステムに求められることから、自動運転車にとってAIは極めて重要だ。Googleの自動運転車部門であるWaymoは、ハッカーに車のコントロールを奪われないため、「車外とのやり取りをおこなわず思考する自動運転車」を作ろうとしている。
自動運転システムについて、トヨタは詳細を明らかにしていない。同社はこの取り組みを一歩一歩確実に進めていこうとしており、少なくとも20年内の完全な自動運転車の実現は考えていないという。現段階でのこの判断はきっと“吉”と出るだろう。
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DAVID CURRY
[原文4]
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