Apple大量ヘッドハント、人材失い重症のBlackBerryその再起に希望はあるか
自動運転車のソフトウェアプラットホームを拡充するため、AppleはカナダにOS部隊を立ち上げた。
Bloombergによると、AppleはBlackberryの子会社、QNX Software System(以下QNX)から多くのエンジニアを引き抜いたという。
この新部隊は、カナダの首都オタワの郊外、QNXの事務所から5分の距離に位置する。
研究開発を本部があるカリフォルニア州クパチーノの近くで行いたがるAppleからすれば、遠く離れたこのオフィスの存在は変わっている。
このニュースは、「Appleがハードウェアへの取り組みから方向転換しソフトとサービスに注力する」という報告の後で発表された。
元QNXの役員は、OSの根幹部分で経験があるエンジニアたちをAppleが大量にさらっていったと語る。
昨年から続くこういったヘッドハンティングは、自動車のOSを作るAppleの取り組みを加速させるため行われている。iPhoneの機能を支えるiOS同様、このOSは自動運転車の本質を担うものになるだろう。
また、別のチームもこのOS上で稼働するナビゲーションシステムの開発に忙しくしていると言われている。
ナビゲーションシステム上でアプリやマップが表示され、Siriを使った管理ができるようになるとされ、AppleはこのOSによる「ヘッドアップディスプレイ(HUD)システム」の実現を見込んでいる。
狙いは元BlackBerryのCEO
QNXから大量の人材確保をおこなったAppleだが、そのなかでも目を引くのはQNXのCEO ダン・ダッジ氏の獲得だ。
ダッジ氏がAppleの自動運転車プロジェクト「Titan」に加わってからというもの、彼は自動運転車OSの監督役として活躍、システムの拡充がますます進んでいる。
しかし、Titanは2017年秋までに使い物になる自動運転車を出すことを目標としているため、引き続きかなりの重圧がメンバーにかけられている。Appleの元テクノロジー担当上級副社長であったボブ・マンズフィールド氏は、その当時、技術がどのレベルにまで進んでいるかを想定したうえでイニシアチブを獲得するためにふむべきステップを決定しているはずだ。
さて、AppleによるQNXからの人材引き抜きにより、この子会社が将来の成長の原動力となると言われているBlackBerryは、難しい局面を迎えることになりそうだ。オンタリオ州ウォータールーに拠点を構えるBlackBerryは、自動運転車を走らせるためのシステム「QNX OS」の拡充に忙しくしていたところだ。
また、BlackBerryは、AdasWorksのような自動運転車スタートアップ企業の技術をQNXと統合させるという旨の契約をすでに交わしているという。
関連記事:動き出したBlackBerry、ニッチなIoT戦略で「復活」のチャンスを掴めるか
Appleの自動運転車プロジェクトの動向も気になるところだが、個人的には人材という代えのきかない資産を大量に失ったBlackBerryの今後に注目したい。
DONAL POWER
[原文4]
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