自動運転車は「あおり運転」かっこうの餌食だ
最近の調査によって、攻撃的なドライバーは、慎重すぎるほどに慎重なコンピュータ(自動運転車)の公道における走行開始を楽しみにしていることがわかった。彼らにとって、ルールを遵守する自動運転車は、あおったり追い越したり自分たちが楽しむための「いいカモ」なのかもしれない。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)とタイヤメーカー グッドイヤーは、先日、11ヶ国12,000名のドライバーを対象に最大規模のアンケートをおこなった。
そこからわかった重要な点の1つに、攻撃的なドライバーたちが自動運転車を試してみようと考えていることが挙げられる。自動運転システムがどうなるかわからない状況下において、彼らはGoogle、Uber、Teslaといった企業に対して「交通事故を起こさないシステム」をぜひとも作り上げてほしいと考えている。
あるドライバーは、アンケートで次のように答えている。「周りがルールを守っているせいで、いつも連中を追い越している。」「止まりそうなくらいゆっくり走っている車を見たら、すぐさまぶっちぎる。」
また、ヨーロッパにおいて英国人はもっとも自動運転車の誕生を後ろ向きに考えているという。英国のドライバーの55%は、自動運転車に混じって車を走らせることは不快だと感じており、83%はそのシステムの誤作動を気にしている。
ちなみに、英国以外におけるその割合は、それぞれ39%と71%であり、他国と比べても高い水準だと言えそうだ。
技術は「使い方」次第
自動運転技術は、いまだ特定の都市の特定の路上においてのみ使うことができる未来の技術だ。その技術発展において、英国およびドイツはヨーロッパでのリードを築いており、それに続くフランスは公共の路上でのテストの承認を取りつけたばかりである。
また、ヨーロッパ以外では米国、シンガポール、中国が自動運転車テストの主なハブになっている。Baidu、Tencent、Alibabaは、テストのための資金を直接あるいはスタートアップ企業を通じて提供している。
シンガポールでは、マサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンアウトしたnuTonomyが、2018年までの実用を目標としたシャトルバスのテストを開始した。このように各国において技術の発展は進んでいるが、その技術を使う我々人間の考え方は発展していないようだ。
技術というものは、それ自体ではなく「使い方」次第で良し悪しが変わるものである。技術を手にする者が悪人であれば、それは脅威でしかないだろう。
関連記事:自動運転車は“新たな犯罪の温床”になる
DAVID CURRY
[原文4]
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