Javaアプリケーションサーバのクラスタリング機能比較 6

Javaアプリケーションサーバのパフォーマンス比較

はじめにこれまでTomcat、JBoss、WebLogicの3製品のクラスタリング機能について解説してきました。今回はこの3製品のHTTPセッションレプリケーションのパフォーマンス比較を行います。テスト環境比較対象となる3つのアプリケーションサーバでクラスタ環境を構築し、Webアプリケーションをデ

小林 俊哉

2005年12月5日 20:00

はじめに

これまでTomcat、JBoss、WebLogicの3製品のクラスタリング機能について解説してきました。今回はこの3製品のHTTPセッションレプリケーションのパフォーマンス比較を行います。

テスト環境

比較対象となる3つのアプリケーションサーバでクラスタ環境を構築し、Webアプリケーションをデプロイします。アプリケーションはHTTPセッションレプリケーションを行うように設定しておきます。そして負荷テストを行い、各アプリケーションサーバの性能を比較していきます。

テスト用アプリケーションはシンプルなサーブレットです。リクエストを受け付けるとHTTPセッションのsetAttributeメソッドを呼び出し、HTTPセッションに任意のサイズのオブジェクトを格納した上で、クライアントにレスポンスを返します。

クラスタ環境は3台のサーバを用い、そのうち2台でアプリケーションサーバのクラスタを構築し、もう1台がロードバランサとなります。ロードバランサはApacheで、Tomcat/JBoss用にはmod_jk、WebLogic用にはmod_wlを用いて負荷分散を行います。WebLogicの 場合、クラスタノードのほかに管理サーバのインスタンスが必要になりますが、管理サーバのインスタンスはクラスタ用サーバの片方に同居させます(注1)。


※注1: 構成としては不均衡になってしまいますが、ほかの製品と平等に「2台のサーバでクラスタを構成」という条件を満たすためにこのようになりました。
クラスタ環境(Tomcat)
図1:クラスタ環境(Tomcat)
クラスタ環境(JBoss)
図2:クラスタ環境(JBoss)
クラスタ環境(WebLogic)
図3:クラスタ環境(WebLogic)

レプリケーションの設定は「同期(注2)」「ATTRIBUTE単位」で、「setAttributeが呼ばれたオブジェクトのみレプリケーションを実行」とします。よって、各アプリケーションサーバの設定は以下のようになります。


※注2: 「同期」とは「レプリケーションを実行した後にクライアントにレスポンスを返す」という方式です。WebLogicはこの方式で、かつ非同期に切り替えるオプションを持たないため、今回の検証では同期方式で比較を行います。

アプリケーション 設定する値
WebLogic デフォルト
Tomcat useDirtyFlag:true
replicationMode:pooled
JBoss replication-trigger:SET
replication-granularity:ATTRIBUTE
CacheMode:REPL_SYNC
表1:アプリケーションサーバの設定

設定方法の詳細は本連載の第1回(Tomcat)、第3回(JBoss)を参照してください。

アプリケーションへのアクセスにはJMeterを用い、ユーザ数を1から200まで増やしてレスポンスタイムとスループットを測定しました。アクセス間隔は500msとしています。

テストを行うハードウェアのスペックは以下のようになります(3台とも同じです)。


  • CPU:Intel Xeon 2.8GHz
  • メモリ:2GB
表2:ハードウェアのスペック

テストを行うソフトウェアのバージョンは以下のようになります。


  • Red Hat Enterprise Linux ES 2.1
  • Tomcat 5.0.28
  • JBoss 4.0.3SP1
  • WebLogic 8.1SP4
表3:ソフトウェアのバージョン(クラスタサーバ2台)

各アプリケーションサーバはSun MicrosystemsのJDK1.4.2で動作します。



ロードバランサ
  • RedHat Enterprise Linux ES 2.1
  • Apache 2.0.54(prefork)
  • mod_jk 1.2.15
  • mod_wl_20(WebLogic 8.1SP4に同梱)
テストクライアント
  • JMeter 2.1.1
表4:ロードバランサとテストクライアント

チューニング

各アプリケーションサーバを実行するJavaのヒープサイズを1024MBとしました(-Xms1024m -Xmx1024m)。アプリケーションを動作させるスレッド数は、WebLogicではプロダクションモードのデフォルトである25としています。

一方Tomcat/JBossとApacheを連携するmod_jkは、Apacheからの接続を維持しつづけるアーキテクチャを前提としていますので、同時接続数にあわせてserver.xmlのmaxThreads属性をチューニングする必要があります。今回は同時にApacheから接続し得る 最大数である200としました。



※注3: このテストは特定ベンダーなどにスポンサリングされていない、独立なベンチマークです

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