JBoss Webの魅力
Javaのエンタープライズシステムにおいて、サーブレットおよびJSPを基本としたWebアプリケーションの実行環境であるWebコンテナは必須要素となっており、すでに導入されている企業も多いことでしょう。今回ではJBoss Webのアーキテクチャや設定に関して解説することで、JBoss EAPおよびJBoss Webの魅力をお伝えしたいと思います。
まずJBoss Enterprise Application Platform 4.2.0(以下、JBoss EAP)のWebコンテナとして採用されている「JBoss Web」について詳細な解説を進めていきます。
JBoss Webとは
JBoss WebはApache Tomcat 6ベースのWebコンテナです。レッドハットではApache Tomcatプロジェクトからソースコードを分け(フォークさせ)、JBossコミュニティにてJBoss Webとして開発が進められています。これにより、すでに別のソースコードラインとなっていますが、JBoss Webの開発メンバーのほとんどがTomcatのコア開発者であるということもあり、両プロジェクトは互いに相乗効果を生み出しているといえるでしょう。
現在、サポートされる仕様はサーブレット2.5とJSP 2.1です。あわせてJava EE 5で導入されたフレームワークJSF(JavaServer Faces)1.2にも対応しています。またJBoss EAP 4.2.0においてJBoss Webはマイクロカーネル上の1つのサービスとして実行・管理されます。
Tomcatのさらなる進化(エボリューション)
Tomcatは世界中でもっとも使われているWebコンテナの1つであり、昨今では信頼性が非常に高いことが周知されています。オープンソースのWebコンテナとしてはもっとも多くの実績を誇り、中小規模システムはもちろん、大規模システムでも利用されはじめています。
しかし、そのようなTomcatにもエンハンスメントの余地があることも事実です。実際、エンハンスメントを行うためにTomcatをリコンパイルした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただし、このような作業はまだハードルが高く、Tomcatをそのまま標準で利用している方がほとんどだと思います。
JBoss Webはそのような、Tomcatのエンハンスメントの余地を見逃すことなく強化し、さらに進化させた「エンタープライズ向けTomcat」といえるかもしれません。
JBoss Webのアーキテクチャ
JBoss WebはTomcatを中心にして、JBossのコミュニティで実装された各プロジェクトを利用するという形でエンハンスメントされています。

図1:JBoss Webのアーキテクチャ
下記にJBoss Webのアーキテクチャの特長をあげます。
- Webコンテナ
- クラスタリング
- トランザクション
- コネクタ
- 管理機能