平鍋健児氏&Niigata.pm主宰者に聞く「地方で開発」のリスク分散法-カギは情報発信にあり
最近、プログラマーやクリエーター、コンサルタントやプランナーといった仕事に携わる人々の間で「ノマド」、「コワーキング」というワークスタイルが話題になっている。いずれも特定のオフィスに縛られず、その時々の状況にあった場を自律的に選択する働き方だ。
こうした働き方は、テクノロジーの進展、つまりPCやスマートデバイスがかつてないほど高性能かつコンパクトになったこと、また無線ブロードバンドや各種クラウドアプリケーション、ソーシャルネットワークの発達があってはじめて可能になった。
これにより、首都圏ではなく地方へ拠点を移して開発に勤しむ企業・個人も増え始めている。
テクノロジーの進展が企業を東京から解放しようとしている
例えば、ゲーム開発会社の空想科学は、昨年の震災以降、電力不足による事業継続性の懸念もあって、本社を埼玉県から奄美大島に移転。また『グランツーリスモ』シリーズで知られるポリフォニー・デジタルやソーシャルゲーム開発のgumiは、リスク分散と成長著しいアジア市場への窓口として、福岡に開発拠点を開設したことが業界内で大きな話題となった。
採り上げた企業にゲーム会社ばかりなのは、受託開発とは異なり開発者自身がユーザーと直接折衝する業種ではないこと、また、大がかりな生産設備を必要としないため、地方への拠点移転が比較的容易であることが理由として挙げられるだろう。そこに震災以降の高まったリスク分散志向と、デジタルツールの発達、高速な無線・有線通信網の整備という条件が整った。
デバイスのみならずインフラや通信、セキュリティー技術などの進歩が、エンジニアを「デスク」から開放した
今後、「ノマド」や「コワーキング」がオフィスから個人を解放したように、多くの業種・業態の企業が東京を中心とした大都市から解放される可能性がある。
もちろん、こうしたテクノロジーと通信インフラの発達は、"地方志向"のエンジニアに恩恵を与えることになる。フリーであれ会社勤めであれ、どこに暮らしていてもエンジニアとして活躍できる可能性が出てくるからだ。
エンジニア自身はこうした環境下にあって、これからの自分の働き方についてどう考えているのか。エンジニア56人に採ったミニアンケートから紐解いていこう。
「知ってはいるがよく分からない」多様化するワークスタイルの実態
今月、エンジニアtypeが行った『地方移住、ノマド、コワーキング...技術者の「働き方」についての意識調査』(20代~50代技術者へのアンケート調査/調査期間5月18日~21日の4日間/有効回答数56)によると、ノマドワーク、コワーキングに興味があると答えた技術者はそれぞれ62.5%と41.1%。首都圏以外で働くことに興味があるエンジニアは、それらを上回る75.0%という結果になった(下図参照)。
<ノマド、コワーキング、地方移住へのあこがれ度は...?>
『エンジニアtype』技術者の「働き方」についての意識調査』(ネットアンケート調査/有効回答数56)
ただ、いずれの項目についても、実践、もしくは実践に向けた取り組みをしている人の数は、興味を持っている人のうち約2割強ほど。潜在的な関心はあっても、実行に踏み出せない事情があるようだ。その理由はどこからくるのだろうか。
地方移住をする際、障害となりうる不安要素として挙げられたのは、主に「仕事(求人)の少なさ」、「交通の利便性の悪さ」、「生活基盤への懸念」など。一方、ノマドワーク、コワーキングについては、「離席が困難な業務に就いている」、「会社の理解が乏しい」、「セキュリティ上の問題」など、職場環境にまつわる制限や懸念を理由に挙げる回答が大勢を占めた。
また、ノマドワークやコワーキングに関しては、「具体的に何をすべきか分からない」など、認知度の低さを伺わせる回答も少なからずあった。
これらの結果から透けて見えるのは、さまざまなメディアを通じて働き方の多様化が叫ばれてはいるものの、まだまだ旧態然とした労働環境に縛られているエンジニアが大多数を占めているということだろう。それと同時に、いずれも漠然としたイメージが先行するばかりで、新しい働き方に対する具体的な挑戦方法が周知のものになっていないという課題が浮かんでくる。
では、すでに「脱・東京」を果たして地方で働くエンジニアは、自らの経験を通してこの状況をどう見ているのか。Niigata.pmの主宰者であるフリーランス・プログラマーの丸山晋平氏と、アジャイル開発のエバンジェリストとして名高い平鍋健児氏の2人に話を聞いた。
>>続きはエンジニアtypeへ
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