サーバー統合でシステム資源の効率を高める

2010年7月1日(木)
上野 仁

いま、サーバーの実力はどれくらいだろう

今や、1台の物理サーバーを、仮想化技術を利用して複数台の論理サーバーに分割して利用できる時代になりました。では、現在の物理サーバーには、どれくらいの実力があるのでしょうか。プロセッサ数の観点で、現状を見てみましょう。

例えば、最新のIntel Xeonプロセッサでは、1プロセッサあたり6CPUコアまたは8CPUコアを搭載しています。これらを採用した「BS2000標準サーバブレード」では、1ブレードあたり最大2個のプロセッサを搭載するため、物理的にはサーバー・ブレードあたり最大16CPUコアを持つことになります。

さらに「BS2000高性能サーバブレード」では、2台のサーバー・ブレードを束ねて1台のサーバーとして動作させるSMP(Symmetric Multiple Processor)構成を組むことも可能です。この場合、束ねられた1台のサーバーあたり4個のプロセッサとなり、最大32CPUコアを持つことになります。今後は、4台のサーバー・ブレードを束ね、最大64CPUコアを持たせる計画もあります。

一般的に、業務処理システムはせいぜい2個から4個程度しかCPUコアを使いません。もちろん、たくさんのコアを有効に利用するアプリケーションや業務処理システムもありますが、これはかなり大きなシステムであり、どちらかというと少数派でしょう。

このように、最新のプロセッサ技術と照らし合わせても、物理サーバーのリソースを効率的に利用するためには、1台のサーバー上で多数の業務処理システムを動作させる必要があることが分かります。このためにも、サーバー仮想化技術が有効になるのです。

図3: ブレード・サーバー化と仮想化によって最大128システムを統合するBladeSymphony

「BladeSymphony」のサーバー仮想化機構Virtage(バタージュ)

「サーバー・スプローリングの発生を抑止し、サーバーへの投資対効果を最適にする」---。これを実現するのが、「BladeSymphony」が備えるサーバー仮想化機構である「Virtage」です(詳細はこちら)。

Virtageは、1台のサーバー・ブレードを論理的な複数台のサーバーに分割し、それぞれを論理サーバーとして独立して動作できるようにする仕組みです。この仕組みを使えば、例えば1台のサーバー・ブレードの上に4つのOSを搭載し、それぞれの上で業務アプリケーションを動作させることができます。4年前のサーバーと比べて4倍に性能が向上した最新のサーバー上で4つの業務システムを動作させることにより、CPU性能を有効に利用できるようになるわけです。

Virtageは、「BS2000」や「BS320(*1)」などのサーバー・ブレードに搭載されており、標準では2つまでのOSを動作させることができます。さらに、最大16個(「BS320」では最大8個)のOSまでを動作させられるようにするオプションを提供しています。

(*1)「BS320 PCI拡張サーバブレード」(PCI Expressカードを搭載し、LANポート数などを拡張可能なサーバー・ブレード)にVirtageを標準搭載。

次週からは、Virtageを中心に、各種の仮想化技術の違いなどについて解説します。

日立製作所 エンタープライズサーバ事業部

(株)日立製作所エンタープライズサーバ事業部に所属。入社以来メインフレーム用OS、ファームウエアなどの研究開発を担当。現在はメインフレーム開発で培った仮想化技術をIAサーバに適用するとともに、利用システム拡大のために奮闘中。下手の横好きのゴルフにも頑張っている。
 

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