ネットワークを「安全」に「共有」する方法
モバイル環境もクラウド対応に
最近、ネットブックやスマートフォンが注目されています。ここ数年の携帯端末の進化には、目を見張るものがあります。そして、この進化がワーク・スタイルに変化を与えています。インターネットの普及も相まって、まさに24時間365日「いつでも・どこからでも」ネットワークに接続できることが当たり前のようになってきています。
一方で、事業継続性の確保というビジネス要件もあります。2009年は"パンデミック"と呼ぶキーワードが注目されました。クラウド時代には、自然災害や人災といった多岐にわたるリスクに対して「常時接続性・応答性」が求められます。ビジネスを止められない状況になっています。
こうした、モバイル環境の進化や事業継続という課題をベースに、リモート・アクセスの需要が増えつつあります。オフィスからであろうと、リモート環境やモバイル環境からであろうと、「いつでも・どこからでも」同じようにアクセスできることが求められています。クライアントとデータ・センター間のフローを考える際には、モバイル環境や緊急時のリモート・アクセス環境も考慮しなければなりません。
こうした需要に対し、ジュニパーは、「Junos Pulse」と呼ぶエンド・ポイントのクライアント関連製品群を用意しています。ユーザーIDベースでアプリケーションを識別できる製品です。これにより、ユーザーは、場所や機器に依存することなく、オフィスにいるときと同じように、必要なデータにアクセスできるようになります。
図7: いつでも・どこからでも一貫性のあるアクセス環境 - Junos Pulse(クリックで拡大) |
Junos Pulseは、クライアントPCからデータ・センターなどに遠隔アクセスする際に利用する、SSL VPN、WAN高速化、アクセス制御などの機能をまとめて提供する、統合型のクライアント・ソフトです。サード・パーティ製品を組み込んで機能を拡張することも可能です。
オフィス環境やネットブックからのアクセスでは、WAN高速化を有効にしたセキュアな高速アクセスが可能です。スマートフォンからはSSL VPNを使ったセキュアなアクセスが可能です。このように、いつ、だれが、どこからアプリケーションにアクセスしているかを理解し、アクセスベースのポリシーを制御します。
まとめ - クラウドは救世主か
本連載では、クラウド対応のインフラに求められる要件を解説しました。それぞれの要件を実現するためのアプローチや製品についての実践的なノウハウも解説しました。
ネットワーク全体をシンプルにすることで、クラウドの真の価値、つまり、拡張性や柔軟性、俊敏性、そして経済性、を享受できるものと考えます。さらに、クラウドを利用する側(クラウド環境にアクセスする側)の環境、つまり、オフィス環境やモバイル環境も整備することで、より適したネットワーク環境が構築できます。
クラウドが情報システムにとって救世主となるか否かは、ネットワーク全体をクラウド対応にするかどうかにかかっています。今回が本連載の最終回となりますが、既存のネットワークを見なおして、クラウド対応ネットワークについて考えるきっかけとなれば幸いです。