Rational Team Concertのある生活~チームの1日
2. スプリントの終わりが近づいてきたときにすること
スクラムによる開発の1つの区切りに「スプリント」があります。RTCを使った開発がスプリントの終わりに近づいて来たと仮定します。ここでは、少し客観的に「RTCを用いて、どのような観点で、チームの状況を見ればよいのか」を考察します。なお、ここで説明することは「必ず、このようにしなければいけない」といったものではありません。
「あれこれ悩むより、まず、RTCを試してみよう」という感覚で実際に試用評価した場合、例えば「ワークアイテムの名称は、どのような規約にすればいいのか」などを検討する時が来ると思います。
こうした場面で、どのように解を見つけるのかは、それぞれの組織におけるプロジェクト運営の知見(ノウハウ)によると思います。しかし、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」ということわざがあるように、新しい開発スタイルと新しいツール(RTC)には、今までとは異なった新しい解決方法も多くあると思います。RTCを実際に試用することで、こうした検討を深めるきっかけになれば、と思います。
RTC V3.0では、V2.0よりも多くの機能がWeb UIに追加されました。以下の例(図15)を参照することで、ワークアイテムの「照会」(検索)や「新規作成」ができること、および、ワークアイテムのタイプには多くのものがあることが理解できると思います。
図15: Web UI の「ワークアイテム」のメニュー例(クリックで拡大) |
2.1. スプリントのベースラインを引く
ソフトウエア構成管理において「ベースラインを引く」ことについては、いろいろと議論があると思います。ここでは、チーム開発に即して、この機能を使うとどのようなことができるのかを解説します。前回解説した開発のシナリオでは、典型的なベースラインを取り上げました(RTC では、ほぼ同様の機能として、ベースラインとスナップショットがあります)。
スプリントの終盤では、最後の仕上げに向けて、バタバタとビルドが繰り返される傾向が多いようです。ビルドには、トレーサビリティがあります。このことから、開発者だけでなく、チームの関係者がビルドの状況をリアルタイムに確認できます。チーム・ビルドでは、変更の有無を自動的に把握して、変更があった場合はスナップショットが取られます。
スプリントの終了時、最終的な成果物(群)を、誰もが分かるようにまとめることは、とても重要です。これを一般的に「ベースラインを引く」と呼びます。RTCにおいては、スナップショットまたはベースラインを設定すると同時に、それを適切な「ワークアイテム」にひも付けることになります。
RTC V3.0 のWeb UI では、「拡張検索」を使うことで、「ストリーム」や「ベースライン」などの種別ごとに、簡単な操作で、検索表示を行うことができます(図16)。例えば、「スナップショット」を用いて検索すると、その一覧が表示されます(図17)。後は、ほかの例と同じように、必要なリンクをたどってゆくことで、目的の情報にたどり着くことができます。
図16: Web-UI の「ソース管理」の「拡張検索」例(1)(クリックで拡大) |
図17: Web-UI の「ソース管理」の「拡張検索」例(2)(クリックで拡大) |
2.2. 次のスプリントのために
アジャイル開発では、ステーク・ホルダーに向けて、成果物を使った「デモ」を実施して「ふりかえり」をすることが推奨されています。この時に、ちょっと役立つと思うのは、「ワークアイテム」の「ヒストリ」に記録されている情報です。
図18: ワークアイテムの「ヒストリ」の表示例(クリックで拡大) |
RTCを用いたプロジェクトをより円滑・効率的に運営するための「ふりかえり」としては、記録された多くのワークアイテムの傾向を調べ、以下のことがらについて見直すことが有益でしょう。
- 画面の項目の配置(レイアウト)
- ワークアイテムの「タイプ」(種別)
- 「承認」などの「ワークフロー」
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