MySQL5.6 - さらなる機能追加とNoSQL
MySQL 5.6での新たな試みと着実な進化
オラクルは2011年4月にカリフォルニアで開催されたMySQL Conference & Expoにて、次世代のMySQLサーバとなるMySQL 5.6の最初のDMRを発表しました。DMRとはDevelopment Milestone Releaseの略で、次期バージョンで実装を予定している機能のうち、その時点でベータ版以上の製品品質となった機能群を搭載した、開発途上版のリリースです。DMRのリリースを重ねることで機能の数が増加し、より多くの方に最終のリリースに向けた新機能のテストを早いうちからご参加いただけます。
MySQL 5.6では以下の5つの点を重要な注力ポイントとして開発を進めています。
- オプティマイザ : コードベースを一新しパフォーマンス、スケーラビリティの向上
- パフォーマンススキーマ : チューニングに役立つ統計情報
- InnoDB : トランザクション・スループットの向上
- レプリケーション : 高可用性、信頼性の向上
- NoSQL (NotOnlySQL)インターフェース : 柔軟性の向上
コードベースを大幅に刷新したオプティマイザ
MySQL 5.5までのオプティマイザは、コストベースは採用しているものの、比較的シンプルな実装になっており、SQL文によっては最適な性能を導き出せないことがありました。開発をいったん中止したMySQL 6.0でもオプティマイザの改良を図りましたが、想定した品質と性能を出すことが難しかったために開発中止となりました。
MySQL 5.6では、オラクル製品となりMySQLサーバの開発チームが大幅に増強されました。さらにオラクルデータベースの開発エンジニアが支援に入って開発を進めており、オプティマイザはソースコードを大幅に書き換えることで様々な処理の性能を向上させています。
・Batched Key Access (BKA)
主キー以外でのテーブルのJOINやサブクエリ利用時、JOIN対象の表からを1行ずつ取得するのではなく、JOINする表のインデックスをJoin Bufferにため込んでまとめて照合することで性能を向上させています。特にJOIN対象のデータが大きい場合、Join Buffer Sizeを大きく取ると顕著に処理時間が短くなります。
図1:Batched Key Access有無での性能比較(クリックで拡大) |
- ・Index Condition Pushdown (ICP)
- WHERE句の条件など、インデックスの評価を全てストレージエンジンのみで行うことで、MySQLサーバ内でのオーバーヘッドを削減します。
- ・LIMIT句使用時の最適化
- ECサイトなどでよく見る「次のxx件」を実装するのに便利なLIMIT句ですが、MySQL 5.1まではLIMIT句を使って取得する件数が少なくても、テーブル全体が大きいとデータをディスク上の一時表に展開してソートするケースがありましたが、可能な限りメモリ上で操作することでLIMITの性能を向上させています。
- ・Optimizer Trace
- オプティマイザで作成された実行計画のトレースを確認にすることができます。OPTIMIZER_TRACEオプションを有効にしてEXPLAIN文を実行すると実行計画が表示されます。またTRACEコマンドで実行計画作成時の判断ポイントなどを表示します。
- ・性能統計情報の永続化
- より正確な実行計画を作成するため、InnoDBのテーブルやインデックスの統計情報が永続化されます。ANALYZE文での更新も可能です。
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