MySQL Connect 2013でも発表されたMySQLの最新リリースと、関連ツールの基礎知識
世界で最も使われているオープンソースデータベース
MySQLは、世界で最も使われているオープンソースのRDBMS(リレーショナル・データベース・マネージメント・システム)です。特にWebアプリケーションのバックエンドとして非常に多く利用されており、Facebook、Twitter、eBay、Mobage、GREEなどの大規模なWebサイトやオンラインゲームでの利用実績も豊富で、その人気は年々上昇しています。
また、組み込み用途でも多く利用されています。AdobeのCreative Suiteなど、アプリケーションのリポジトリデータベースとして利用されるケースもあれば、F5のロードバランサ—など、機器の中に組み込まれて利用されるケースもあります。
オラクルによってMySQLの開発は更に加速
MySQLは1995年に旧MySQL社によって最初のバージョン1.0がリリースされ、その後バージョンアップを重ねています。また、2008年にサン・マイクロシステムズがMySQL社を買収し、その後2010年にオラクルがサン・マイクロシステムズを買収したため、現在はオラクルのオープンソース製品となっています。
オラクルによるサンの買収当初はMySQLの将来に対する懸念の声もありましたが、オラクルはMySQLに対する投資を拡大しており、MySQLの開発は従来よりも加速しています。また、オラクルによる買収により、開発の体制にも良い影響が出ています。MySQLにとって最も重要であるトランザクション対応のストレージエンジンInnoDBは、元々Innobase社によって開発されていたのですが、Innobase社は2005年にオラクルに買収されました。そのため、オラクルによるサン買収によって、MySQL本体の開発チームとInnoDBの開発チームが同じ会社で仕事できる体制が整ったのです。それにより、従来以上にコミュニケーションが活性化され、開発がより活発になっています。
ビジネスモデルも以前から大きな変更はなく、MySQLサーバーは従来通りGPLライセンスでオープンソースとして提供し、運用管理ツールなどの付加機能やサポートサービス、および組み込み用途向けの商用ライセンスなどを有償で提供しています。
図1は、オラクルに買収された以降にリリースされたMySQL関連の製品群の一覧です。MySQLサーバー本体は、2010年にMySQL 5.5、2013年にMySQL 5.6と、2度メジャーバージョンアップしています。また、共有ディスクを使わずにアクティブ-アクティブのクラスタ構成を組めるMySQL Clusterは、2010年にMySQL Cluster7.1、2012年にMySQL Cluster 7.2、2013年にMySQL Cluster 7.3と、3度のメジャーバージョンアップを重ねています。それ以外にも、運用管理ツールであるMySQL Enterprise Monitor、バックアップツールであるMySQL Enterprise Backup、MySQLサーバーの統合開発環境であるMySQL Workbenchなどなど、数多くの製品がリリースされています。
更に、新しい機能を早くから試せるように、今後の製品リリースに向けた開発途上版であるDMR(Development Milestone Release)や、実験的な機能を搭載したLab版なども、ソースコードを含めて公開しています。
MySQL Connect 2013開催!!
2013年9月21日~23日に、サンフランシスコでMySQL Connect 2013というイベントが開催されました。この時期には毎年Oracle Open Worldが開催されますが、Oracle Open Worldの開催に合わせて、MySQLだけの独立したイベントを開催しています。このように、Oracle製品の中で単独の製品で独立したイベントを開催しているのは、MySQL以外にはJavaのJava Oneだけです。また、このイベントは、昨年は2日間だったのですが、規模が拡大され今年は3日間開催されました。このようなところからも、オラクルがMySQLに積極的に投資をしていることが感じられます。
MySQL Connect 2013では、現在のMySQL開発状況や今後の方向性に関する発表、新製品のリリース、Facebook、Twitter、LinkedIn、PayPalによるパネルディスカッション、など、多くの発表がありました。キーノートでは、オラクルのチーフ・コーポレート・アーキテクトであるエドワード・スクリーベンより、多くの顧客の要求を満たすためにオラクルにとってMySQLが重要な製品であることや、オラクルはMySQLに積極的に投資を続けていて、開発チームの人員はサンを買収した当初より約2倍に増えていることなども伝えられました。
MySQL Connect 2013のセッション資料は、こちらで順次公開されます。
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