文書中心のビジネスプロセスをサポートする Alfresco Workdesk

2014年2月5日(水)
青地 芳彦

文書が中心の業務アプリケーションとしての利用

前回は、外出先からの社内ファイル取り扱いにおける現状、Alfrescoの種類、設定方法などについて解説しました。最終回となる今回は、従来のフォルダ/ファイル階層型の文書管理ではなく、文書が中心のビジネスプロセスをサポートするAlfresco Workdeskをご紹介します。

ビジネスにおいて文書が人と人とをつなぐ情報の媒介となって回っていることは非常に多く、例えば社内の稟議、お客様との見積書や契約書の授受、損害保険の賠償申請など、身の回りの手続きのほとんど全てに関わっていると言えます。

他方、別の部門では、情報(知識、成果物)を共有することで、ビジネスの効率を上げたい場合もあります。例えば営業部では、製品資料や、事例書類を共有したり、技術部では製品の設計図書や、部品の安全性に関わる強度データや安全規格の証明書など、同じような資料を再び作成したり、外部に問い合わせて入手する等の時間を省くと共に、資料の一意性も保つことができます。

文書が格納されるプラットホームは企業に対して1つの基盤としておくことで、部門間の壁を超える情報共有と情報ガバナンスを実現することができますが、1つのユーザーインターフェースを、このような異なる役割を持つユーザーで利用するには不便な部分もあります。

従来の文書コンテンツ管理製品では、このような要件をカバーするためにユーザーインターフェースをそれぞれにカスタマイズしなければならず、場合によっては大幅な変更により、将来のシステムのアップグレード時に支障が出るような状況も多く見られます。Alfrescoではユーザーの役割にマッチしたユーザーインターフェースで利用しやすい環境を提供します。

Alfresco Workdesk

Alfresco Workdeskは文書が中心となっているビジネスのアプリケーションを設定により構築し、提供することができるシンプルなユーザーインターフェースを提供します。前回の記事で紹介したAlfresco Shareがコラボレーション(情報共有)に向いたユーザーインターフェースになっていますが、その下のコンテンツ管理基盤は全く同一で、Alfresco WorkdeskまたはAlfresco Shareのどちらでも、ユーザーのビジネスによって使い分けることができます。

Alfresco Workdeskは以下の3つの特徴があります。

(1)ビジネスロールごとに機能やビューを設定

ユーザーごとに仕事での役割は異なるため、アプリケーションにおいてもその役割ごとに適切な機能とコンテンツを提供することができます。これによってセキュリティを高めると共に、ユーザーは業務に必要な機能とコンテンツだけを見て、業務に集中することができます。

ビデオ1:Alfresco Workdesk:ビジネスロールベースの機能とビュー

(2)バーチャルフォルダ機能

Alfresco Workdeskではコンテンツを様々な切り口から閲覧する方法として、バーチャルフォルダ機能を提供しています。

例えば、普段は取引会社ごとにフォルダで分けていた文書も、時には請求書、見積書、または契約書と書類の種別ごとで閲覧したり、それらを月ごと、四半期ごとなどで分類したい場合もありますが、こういった仕分けは、一旦フォルダの階層構造を決めてしまうと、PC内やファイルサーバの上では変更することが難しくなってしまいます。

従来のECMでもカテゴリ機能で、もう1つの階層構造を使うことができますが、ユーザーインターフェースの作りがうまくないのか(あまり知られていないためか)、活かされていないのが現状です。

Alfresco Workdeskのバーチャルフォルダ機能を利用すると、設定した条件に該当するコンテンツをフォルダにまとめることができます(ビデオ2)。属性情報を利用した詳細検索によって、目的のコンテンツを探し出すことはできても、一覧としてブラウズして見通すことができた方が便利な面があります。

ビデオ2:バーチャフォルダ機能

(3)柔軟な設定

上記のビジネスロールや、ビジネスビューは、特別なプログラミング言語を使用せずに、設定により簡単に設定することができます(図1)。Alfresco Workdeskでは、シンプルなUIを提供し、画面のカスタマイズも設定によって柔軟なために、すぐに仕事で利用することができます。また、作成した機能は、“プラグイン”としてアプリケーションを構成、再利用することができます。

図1:Workdeskでソリューションを構築するステップ(クリックで拡大)

例えば、図2のように、Workdeskの上部のメニュー(赤枠)を役割毎に設定する場合には、管理画面で、ユーザーのロール(ユーザーグループ)にあらかじめ用意、またはユーザーが作成したプラグインを選択するだけです(図3の赤枠で許可されたプラグインのみが、図2のメニューになっています)。

図2:ユーザーのメニュー(クリックで拡大)
図3:メニュー(マスタープラグイン)の設定(クリックで拡大)

Alfresco Contract Management

Alfresco Workdeskをすぐにビジネスで利用できるようにテンプレートとして用意しているのが、Alfresco Contract Managementです。Alfresco Contract Managementは契約書管理についてのテンプレート(図4)で、契約書の作成から、社内の承認プロセス、そして社外からサインされた契約書の返却からその保管まで、一連の契約の流れを管理することができます。

このテンプレートをベースにすることで、この流れに沿う契約書管理はもちろんのこと、類似の業務についてのアプリケーションの構築を迅速に行うことが可能です。

図4:Alfresco Contract Managemen(クリックで拡大)

最後に

4回にわたって、Alfrescoの主な特徴をご紹介しました。まだまだ紹介できなかった機能もたくさんあります。食べ物も食べてみないとわからないのと同じように、コンテンツ管理ソフトも使ってみないとその良さがなかなか伝わらないので、まずは一部署などの規模で是非お試しいただきたいと思います。

Alfrescoの理念は、全ての人に”Simple+Smart”を提供することです。業界でいち早く、ハイブリッドクラウドやモバイルに対応したAlfrescoは「簡単で、粋な」コンテンツプラットホームを目指して、今後も発展していきます。ご期待ください。

以下に、Alfrescoの特徴・利点をまとめました。

1. オープンスタンダードを使ったオープンソースのアプリケーション

  • 世界中に多くの開発者、大きなコミュニティ、多くの情報
  • 最新のフレームワークでアプリケーションを構築、クラウド時代のスケーラビリティにいち早く対応
  • 脱ベンダー依存の軽量なアプリケーション

2. モバイルアプリがすぐに利用できる(もちろんオープンソース)

  • どこにいても常に最新の情報にアクセス
  • 外出先からでもワークフローの承認も可能

3. 真のハイブリッドなコンテンツプラットホーム

  • オンプレミスとクラウドを同期、いつでもどこでも最新の情報を社内、社外で共有
  • ハイブリッドワークフローにより、社内-社外にまたがるワークフローを利用可能。ドキュメントベースのプロセスを完全に管理
OSSNews

オープンソース総合情報サイト OSSNews

このコンテンツは、オープンソース総合情報サイト「OSSNews」が提供・監修しています。 「OSSNews」では、オープンソースに関する、最新情報イベント情報バージョン情報を掲載しています。 Alfrescoのライセンスや動作環境などのソフトウェア情報もご確認できます。

【参考URL】

アルフレスコ・ジャパン株式会社 ソリューションエンジニア
AppleのWebObjectsに影響を受けてからJavaを中心としたエンタープライズミドルウェア、フレームワーク製品のSEとして従事。2008年からコンテンツ管理、イメージキャプチャープラットホーム製品に携わる。
デザインパターンやパフォーマンスチューニングに関心がある。

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