オープンソースの最新トピックと、ビジネス活用のポイント(OSPセミナーレポート後編)
オープンソース・ソフトウェア(OSS)とは、ソースコード(プログラム)が公開されていて、一定のライセンス基準にあてはまれば自由に開発、改変できるソフトウェアを指す。代表的な例としてLinux等が知られているが、Webサイト構築に使われることの多いWordPressや、データベースソフトのMySQL、クラウド基盤ソフトのOpenStackなど様々な分野に広がり続け、今や誰もが何らかのOSSを使う時代になってきている。
ビジネスの現場でもこの流れはとどまらず、現在多くの企業がOSSの導入に前向きだが、メーカー製の商用ソフトとは異なり、ユーザーにもある程度の理解が求められたり、また必要な機能を自ら開発したり、あるいはコミュニティにリクエストできるなどの面もある。
そんなOSSを、ビジネスの現場でどうやって導入し、活用すれば良いのか。Think ITでは4名のスピーカーを迎えて、OSSユーザーの悩みに応えるためのセミナーを6月下旬に開催した。前回に引き続き、当日の様子をお届けする。
コンテンツプラットフォームAlfrescoが実現する真の文書管理とは
アルフレスコ・ジャパン株式会社のソリューションエンジニアである青地 芳彦氏によるセッションでは、企業内の文書管理をどうやって行うか、外部との共有をどうやって安全に行うのかをテーマに、オープンソースのAlfrescoによる具体的な管理方法が解説された。
Alfresco社は、エンタープライズ向けの文書管理(ECM)を行うための同名のソフトウェアを提供している企業で、設立は2005年。本社はロンドンにあり、他にもサンマテオに米国本社、アトランタやシドニーに支店がある。日本支店は2年前の2012年に設立された。
調査会社のガートナーによれば、Alfrescoは“Visionary(先見性のある)”ポジションに指定されており、2013年のECM市場での成長は平均成長率3倍以上にもなる。Alfresco以外のECMとしては、EMCが扱うDocumentumやIBMのFileNet、MicrosoftのOpen Textなどが知られている。
Alfrescoが備える機能
企業での文書管理を行うAlfrescoは、どんな機能を備えているのか。青地氏は以下の6つを挙げた。
- 文書管理
- コラボレーション
- Cloud Sync
- レコード管理
- ケース管理
- モバイル対応
コラボレーション機能による情報共有では、社内のみだけでなく社外との連携が取りやすくなっている。CloudSyncは自社サーバーとパブリッククラウドのコンテンツを同期させる、数あるECMの中でもAlfrescoが唯一が備えている機能。米国では2件の特許を取得している。
レコード管理は、企業に長期間保存されるような重要書類をシステマチックに管理し、保存期間が過ぎた後は速やかに消去するか、あるいは管理者に通告することができる。
ケース管理は、例えば新たに社員が入社した際、必要なトレーニングや必要書類の準備など一連の処理をワークフローに乗せて走らせることができるようになる。
モバイルにも対応しており、iOS、Android用のアプリケーションを使って、どこからでも企業の最新情報にアクセスできるようになっている。
コンテンツ管理の現状
青地氏はカオス化しているコンテンツ管理の現状を紹介。PCによる管理ではメタデータが少なく、ファイル名や更新日時が基準になってファイルを管理していると指摘した。
例えば、顧客名やプロジェクト名で目的のファイルを探したい場合は、ファイルサーバーの管理では難しい。一番大きな問題として、バージョン管理が無いことが挙げられる。多くはファイル名に(_v1)のように付記していたりするが、後で確認すると、うっかり古いバージョンを更新してしまったばかりにファイル名と更新日時の整合性が取れず、どこを信じればよいのか分からなくなってしまう。さらに量が増えてくると管理しきれなくなり、結果として使われないファイルが大量に発生することになる。
次に外部と情報を共有する場合、最近ではDropboxやGoogle Driveといったクラウドストレージサービスが次々に増えている。ただし、これらは大半が個人向けのサービスで、企業向けは多くない。Alfrescoは企業向けのクラウドサービスとして、これらと差別化を図っている。
ファイルの管理手段という観点でオンプレミスとクラウドを比べてみると、クラウドには手軽さがあり、社外との情報共有がやりやすい。対してオンプレミスは社内の重要な書類を保存するといった目的に適しているため、両方を使っている場合が多いと青地氏は話す。企業によっては当然クラウドの使用を禁止している場合もある。
Alfresco社が独自に実施したアンケートによると、16カ国、1,600人のユーザーが、過去12ヶ月でビジネスユーザーが情報共有に最も用いたツールはメールであり、個人用のメールアドレスも使っていると答えた。読者にも心当たりのある方は多いと思うが、こうした情報共有はセキュリティやファイルの保管場所などで大きな問題をはらんでいる。
つまり、重要なはずの業務ドキュメントがいたるところに分散し、あふれているのが現在の状態で、企業として統制が取れていないと青地氏は話す。情報共有の重要性は理解していても、肝心のファイルがどこにあるか分からなかったり、退職者のデータがどこにあるかも分からなかったりする。これらを改善するためにも、AlfrescoのようなECMが力を発揮すると青地氏は強調した。
守るべき情報、共有する情報をスマートに管理する
Alfrescoでは、「20、60、20の法則」を提唱している。これは取り扱う情報について割合で示したもので、社外に出したくない重要な情報を20%、外部と共有したい情報を20%、そして、両方を含んだ情報を最も多い60%と定義している。これら全てをスマートに管理するのがECMの役割だと話した。
青地氏は企業向けのAlfresco Oneが備えている特長として、オープンな技術を使っていること、シンプルでユーザーがアクセスしやすい環境、オンプレミスとクラウドを同期するハイブリッドプラットフォームという3つの特長を挙げて、実際にデモを交えながら、複雑な企業内のドキュメント管理をスマートにする方法について解説した。
参考:重要な企業コンテンツを管理するオープンソースECM、Alfrescoの実力を探る
青地氏の講演資料は以下からご覧になれます。
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