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サイオステクノロジーがNginxの商用版「NGINX Plus」の国内販売を発表

2014年6月19日(木)
Think IT編集部

6月17日、オープンソースのWebサーバーソフト「Nginx(エンジンエックス)」の商用版をサイオステクノロジー株式会社が販売開始するにあたり、都内で発表会が行われた。

今回、サイオスはNginxを国内のユーザーが安心して使うための商用版であるNGINX Plus(エンジンエックス プラス)を7月より販売開始。初年度1,000ライセンスを目指している。サブスクリプションの提供はオープン価格となっており、年額で数十万円程度を想定している。

高機能なNginxに付加価値を提供するNGINX Plus

発表会では、サイオステクノロジー代表取締役社長、喜多伸夫氏の挨拶に続き、Nginx社CEOのガス・ロバートソン氏が同社のサービスについて説明。それまでレッドハットに在籍していた同氏は、Nginxに大きな魅力を感じて、2012年12月にNginx, Inc.に入社、CEOに就任した。この年はNGINX Plusがローンチした節目の年でもある。

Nginx, Inc.のCEO ガス・ロバートソン氏(クリックで拡大)

ロバートソン氏は、殆どの人がNginxにWebサーバーのイメージを持っていることについて、単に高性能なWebサーバーというだけでなく、ロードバランシング、リバースプロキシ、SSLターミネーションなど、アプリケーション配信のために必要な機能を備えていると紹介した。

Nginxの魅力について、同氏は以下のように語る。

まず、多くのサイトに広く採用されていること。開発者のイゴール・シソエフ氏がNginxを発表してから2012年までの間に、使用サイトは600万に上り、2014年には1億4千万ものサイトが採用。直近1年間の成長率は実に52%に上る。
単純に使用率が高いだけではなく、2013年7月にW3Techsが発表した内容によると、Nginxは世界中のトップ1,000のサイトで最も使われており、続く2014年の発表ではトップ10,000サイトで最も使われているWebサーバーに選ばれている。有名なところでは、facebookやDropbox、huluなどがあり、またYahoo! Japanでも採用されているなど国内での人気も高い。

他にも、AWS上で使用されているWebサーバーの36%にNginxが使われているなど、多くのシェアを持つに至っている。

全世界トップ10,000のサイトで39%のシェアを持つNginx(クリックで拡大)

次に、Nginxのコミュニティ活動が非常に活発であることが挙げられた。アプリケーションがうまく稼働するか、性能を引き出せるかといった内容について、常に積極的な意見交換が行われており、毎日のようにブログに新しい投稿がある。Twitterやnginx.orgでどのくらい多くの意見が飛び交っているか知ってもらいたいとロバートソン氏は語る。

また、Nginxが持つテクノロジーそのものの品質もロバートソン氏が大きな魅力を感じている点で、開発者のイゴール・シソエフ氏の作ったエレガントで美しいNginxのコードはタスク運用において効果的だと語った。

今回提供開始されるNGINX Plusでは、OSS版の機能に加えて、負荷分散の際にアクティビティをモニタリングしたり、アップロードしたアプリケーションがきちんと動いているか、正しいレスポンスを返しているかといった“ヘルスチェック”を提供する。他にも、開発チームからのサポートを受けることができる。

NGINX Plusのサービス内容(クリックで拡大)

Nginxにはもともと豊富なセキュリティ機能があり、例えばSSLターミネーションや帯域制限などによってDDoS攻撃などの危険性を低減が可能だが、NGINX Plusではこれらに加え、なんらかの脆弱性が見つかった時のパッチ配布も行われるなど、より強固なセキュリティ対策を提供する。

開発者が語るNginx誕生の経緯

Nginxの開発者であり、今回が初来日となったイゴール・シソエフ氏は1975年カザフスタン生まれ。現在、家族とともにモスクワで暮らしている。日本の伝統的な文化に愛着があり、ロシア語訳で読んだ松尾芭蕉の俳句が好きだと語るなど親しみ深い面をのぞかせた。

Nginxの開発者 イゴール・シソエフ氏(クリックで拡大)

イゴール氏はBauman Moscow State Technical Universityを卒業後、いくつかの職を経て就いた仕事でApacheを扱うようになり、キャッシュのケーパビリティやレスポンスの圧縮などを行うApache用のモジュール開発に取り組んだ。しかし、この取り組みでApacheの限界を感じることになり、それを越えようと取り組んだ結果、生まれたのがNginxである。

開発は2002年にスタート。2004年の10月に最初のリリース(ver.0.1)を行い、それから7年後の2011年にはver.1.0をリリースした。ここまで、1人で開発してきたが、2011年の夏にNginx, Inc.を設立し、本格的な体制を整えることになった。

イゴール氏は、Nginxという名前の由来と綴りについて、「権利関係も含めて、1年位いろいろ考えた。」と語る。なんらかのエンジンであるという意味を込めること、Nginを「エンジン」と読ませるアイデア。さらに、UNIXのように最後にXを加えてトレンドさを出したかったということから、この2つを足してNginxが生まれたと説明した。

Nginxの将来についてイゴール氏は、非同期型のI/Oやダイナミックローダブルドライブ。動的なコンフィグレーションを取り入れることで、幅広い用途で使っていきたいと話した。

Nginxの国内サポート体制

サイオスのOSSテクノロジーセンター長 黒坂肇氏は、Nginxの実例としてクックパッドを例に紹介。昼食や夕食の前、バレンタインデーのようなイベントの前日など、高負荷な状態にあっても、サービスを遅延なく提供するために使われていると説明。他にも入学シーズンやセール時期、ゲームなど、一般企業の利用シーンにおいても、PCだけでなく様々なデバイスからの多くのアクセスに耐える、スケールアウト型のシステムを構築するにあたってNginxの採用が広がると予想している。

サイオステクノロジー OSSテクノロジーセンター長 黒坂肇氏(クリックで拡大)

実際に国内でNginxを使おうとする場合、何が課題になっているだろうか。海外製OSSではおなじみの課題だが、日本語での技術情報が少ない、日本独自の商慣習によるリクエストが本国の開発チームに伝わらない、企業向けのサポートが不安、などについて、黒坂氏は企業向けの支援とユーザー向けの支援を並列して行いたいと述べた。

企業向けの支援では、サポート付き製品であるNGINX Plusの販売を開始することで、日本語でのOSSサポート経験を持つ同社のノウハウを活かしたサポート展開で安心感を持ってもらいたいと説明。またエンジニアに対する支援として、ユーザーどうしの情報交換、勉強会を行うためのユーザーコミュニティを設立。6/18には第1回のキックオフ勉強会を開催。日本のコミュニティから開発チームにリクエストを送る時の間に入るなど、サイオスとしては直接の運営ではなくサポートの役目を果たしていくと話した。

企業向け、ユーザー向けの支援内容を紹介(クリックで拡大)

サイオスでは、OSSワンストップソリューションとして、レッドハット、SUSE、Postgres Plusなどの商用製品とNGINX Plusを組み合わせることで、企業で安心してOSSによるシステム構築などのソリューションを提供していくと紹介。それだけでなく、OSSの利用に自信のある企業が商用サポートのないOSS製品を使う場合でも、同社の「OSSよろず相談室」プログラムでは80種類以上のOSSを独自にサポートしており、Nginxもここに取り込んでいく考えだ。

<編集部より> ガス・ロバートソン氏のCEO就任時期に誤りがあったため修正しました。(2014.06.19)

“オープンソース技術の実践活用メディア” をスローガンに、インプレスグループが運営するエンジニアのための技術解説サイト。開発の現場で役立つノウハウ記事を毎日公開しています。

2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。OSSに特化したビジネスセミナーの開催や、Think IT BooksシリーズでのWeb連載記事の電子書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

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