低コストで可用性を確保するシングルサーバーの障害復旧サービス
本連載では、サイオステクノロジー社(以後サイオス)の製品「LifeKeeper」「DataKeeper」を題材に、企業経営において避けては通れない「事業継続ソリューション(BCPソリューション)」の解説を全4回にわたってお届けする。第2回は仮想化環境上の可用性実現と題して、物理環境、仮想化環境のどちらにも柔軟に適用でき、コストを抑えながら可用性を高めることができる「LifeKeeper Single Server Protection for Linux」を紹介する。
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近年、物理環境から仮想化環境にシフトする動きが活発だ。仮想化環境の利用が増えているのは、サーバーの集約やサーバー管理者の運用負荷の軽減など、ITコストの削減をしたいという企業のニーズにマッチしていることや、仮想化環境上で物理環境と同様にサービス提供をできるノウハウが広く一般に浸透してきたことなどが理由として挙げられる。
仮想化とは物理環境のCPUやメモリといった物理リソースを抽象化することで実現しているが、仮想化のテクノロジーで可用性を確保できる箇所とそうでない箇所がある。サーバーという単位で見た場合は、仮想化のテクノロジーでは可用性を確保できない部分に、HAクラスターソフトウェアで可用性を確保するケースは少なくない。しかし、HAクラスターソフトウェアを使用した構成を利用するには、2ノード以上のゲストOSが必要になる。したがって、商用のOSやアプリケーションを導入している場合は、非HAクラスター環境と比較するとどうしても割高になる。コスト削減が前提にある場合には、仮想化環境上のサーバー全てにHAクラスターソフトウェアを導入するのは現実的ではない。
「コストは抑えたいが可能な限り可用性を確保したい」という利用者側のニーズを解決する製品として今回、「LifeKeeper Single Server Protection for Linux(以降、SSP)」を紹介する。製品名に含まれているLifeKeeperとは2ノード以上のサーバーのHAクラスター化を実現するための弊社のHAクラスターソフトウェアである。一方、Single Server Protectionは単体で動作しているサーバーを障害から守るための製品と捉えてもらえば差し支えない。つまり、SSPはLinux上で動作する単体のサーバーに適用し、HAクラスター化を実現する製品である。単体のサーバーとは物理環境、VMware、KVM等の仮想化環境、さらには、Amazon EC2等のクラウド環境も対象となる。
アプリケーションに回復機能を付与してくれるSSP
SSPは端的に言えば、アプリケーションに回復機能をもたらす製品である。ここでの回復機能とは、アプリケーションがサービス障害に陥った場合に、サービスを健全な状態に回復させることを意味する。例えば、アプリケーションが何らかの障害によって機能不全に陥ったとする。SSPを導入していれば、機能不全に陥ると即座にアプリケーションを健全な状態に回復する動作を行なってくれる。SSPで標準の設定を行なった場合、障害を検知した後は、アプリケーションの再起動を行い、再起動に失敗した場合は、サーバーを再起動する動作をとる。サーバー上で動作するアプリケーション自体には、一般的には自発的に回復させる機能は備わっていないため、アプリケーションが備えていない機能を付与してくれるSSPの有用性は理解いただけると思う。2014年のIDCジャパンの講演資料によると、仮想化システムの運用管理課題は山積みであり、仮想化システムの運用管理のおける課題に「障害発生時の対応が迅速にできない」が上位に入っていることから考えれば、SSPはまさに最適な製品といえるだろう。