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CentOS 7の基礎

2014年11月14日(金)
古賀 政純

CentOS 6では、対応する論理CPU数が、最大64でしたが、CentOS 7になり、CentOS 5と同様にサポートされる最大論理CPU数が160になりました。現在、x86アーキテクチャのサーバーにおいて、マルチコアCPUのシステムで64コアを超える利用も珍しくなくなりました。仮想化技術の普及と、クラウド基盤の導入が進んでおり、ホストOS上で稼働する仮想マシンごとに論理CPU を割り当て、同時に稼働させる仮想マシンの数が増えてきたことが背景にあります。

図4:CentOS 7では、最大160の論理CPUをサポートする。比較的中規模から大規模のSMPマシンを使用した仮想化システムにおいて大量のコアを同時に仮想マシンに割り当てるニーズが背景にある(クリックで拡大)

CentOS 7でサポートされる最大メモリ容量は、CentOS 6と同様に3TBで変わりありません。最近のx86_64アーキテクチャのハイエンドのSMPマシン(HP ProLiant DL580 Gen8等)では、最大メモリ搭載容量が6TB程度のものも登場しています。現時点でCentOS 7でサポートされる容量は3TBですが、理論的には64TBまで利用できる可能性があります。

図5:CentOS 7は、CentOS 6と同様に3TBまでのメモリ容量をサポートする(クリックで拡大)

CentOSでは、ファイルシステムとして、ext3、ext4に加え、XFSがサポートされ、最大ファイルシステムサイズも500TBをサポートしており、ビッグデータ分析基盤での利用が想定されます。近年、ビッグデータ用途向けに開発されたサーバーは、1筺体あたり4TBのハードディスクを60本搭載できるモデル(ビッグデータ基盤向けサーバーとしてはHP ProLiant SL4540 Gen8等)も登場しています。

このようなビッグデータ向けに開発されたx86サーバーでは、1筺体で、内蔵ディスクが200TBを超えることも少なくないため、ext4に取って代わるファイルシステムの利用が期待されていました。今回、CentOS 7で、XFSが標準でサポートされるようになり、ビッグデータ基盤への対応が進みました。CentOS 7は、BIOSを搭載したサーバーだけでなく、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)への対応など次世代サーバー基盤を見据えたアーキテクチャになっており、CentOSコミュニティは、引き続きサーバープラットフォーム用のOSに特化した取り組みを行っています。UEFI搭載マシンは、OSのブートの仕組みが従来のBIOS機と大きく異なるため、注意が必要です。例えば、CentOS 6におけるBIOS搭載マシンのブート領域(最大ブートLUNサイズ)は、ハードディスクの2TB未満に配置する必要がありましたが、EFI搭載マシンにではその制限が設けられていませんでした。しかし、CentOS 7では、EFI搭載マシンの場合に、2TBの制限が撤廃されているものの、ブート領域を50TB以内に配置しなければならない制限が設けられています。サポートされる論理CPU数やメモリ容量、ファイルシステムサイズ等は、CentOS 7になり大幅に最大値が引き上げられています。

図6:CentOS 7は、XFSが標準でサポートされ、500TBまで利用できるようになった。大容量の内蔵ディスクを大量に使うHadoopクラスターのようなビッグデータ基盤に適したファイルシステムを利用することができる(クリックで拡大)

CentOS 7でサポートされる論理CPU、メモリ容量、ファイルシステムサイズ等の上限は、CentOS 7のアップストリームに位置づけられるRHEL 7の制限値が参考になります。

Red Hat Enterprise Linux 7のリリースノートに掲載されている制限値

また、CentOSプロジェクトの「CentOS Product Specifications」のWebページに、バージョン毎の制限値が掲載されていますので、更新されていないかのチェックも含め、参照するようにしましょう。

CentOS Product Specifications

スケールアウト型基盤におけるフリーLinux採用の背景

2014年秋以降、米国HPをはじめとする主要なハードウェアベンダーにおいて、RHEL 7及びその互換OSであるCentOS 7が稼働できるx86サーバーが続々とリリースされています。x86サーバーの製造を手掛けるベンダーがRHEL 7の動作認定だけでなく、その互換OSであるCentOS 7の動作確認(動作認定ではないことに注意)に取り組む背景には、近年のスケールアウト型システムを導入するホスティング/Web・クラウドサービスやオンラインゲームサービス、そしてHadoopクラスター等のビッグデータ基盤のニーズが大きく影響しています。

スケールアウト型サーバーを購入するサービスプロバイダーやHadoopユーザーの多くは、最新技術でありながらも、安定したオープンソースソフトウェア(以下OSS)を採用し、数百台、数千台レベルのサーバーへの導入と運用の簡素化を求めています。スケールアウト型システムを採用するサービスプロバイダーやHadoopユーザーの場合、最初はスモールスタートでサーバー台数が少ない場合でも、システムの拡張に伴いサーバー台数が増える傾向にあります。その場合の導入費用の圧縮を図るために、CentOSが利用される傾向にあります。ただし、ユーザーの1次保管庫に利用されるような分散ストレージ基盤(GlusterFSやCeph等のオープンソースソフトウェアと複数のサーバーノードを駆使したストレージシステム)は、顧客の重要なデータを保管しておくというシステムの特性上、商用LinuxやRed Hat Storage等の商用の分散ストレージソフトウェアを採用する傾向にあります。技術的に、CentOS上で分散ストレージを実現するオープンソースソフトウェアを稼働させることは可能ですが、SLAや障害発生時の問題切り分けの体制、責任範囲を明確に定義しておく必要があります。

図7:スケールアウト型の分析基盤では、UNIX、商用Linuxではなく、CentOS等のフリーLinuxが採用される傾向にある。スケールアウト型でも分散ストレージ基盤では、データの保全性とサポートの必要性の観点から、商用製品の採用が検討される傾向にある(クリックで拡大)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター OSS・Linux担当 シニアITスペシャリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師を担当。科学技術計算サーバーのSI経験も持つ。2005年、大手製造業向けLinuxサーバー提案で日本HP社長賞受賞。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師に与えられる「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。日本HPプリセールスMVPを4度受賞。現在は、Linux、FreeBSD、Hadoop等のOSSを駆使したスケールアウト型サーバー基盤のプリセールスSE、技術検証、技術文書執筆を担当。日本HPのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして講演活動も行っている。Red Hat Certified Engineer、Red Hat Certified Virtualization Administrator、Novell Certified Linux Professional、EXIN Cloud Computing Foundation Certificate、HP Accredited Systems Engineer Cloud Architect、Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack、Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoop認定技術者。HP公式ブログ執筆者。趣味はレーシングカートとビリヤード

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