Red Hat Enterprise Linux 7を知ろう

2015年12月21日(月)
平 初
この記事は、書籍『できるPRO Red Hat Enterprise Linux 7』の内容を、Think IT向けに特別にオンラインで公開しているものです。詳しくは記事末尾の書籍紹介欄をご覧ください。

RHEL 7の特徴

RHEL 7には、RHELの開発用LinuxディストリビューションであるFedoraで開発された多くの新機能が追加されています。その新機能には、カーネルからユーザーランドの仕組みまで、広範囲なものがあります。最新テクノロジーや最新のハードウェア、新しい業界規格への対応はもちろんのこと、RHEL 7には企業のITインフラの10年後を見据えた仕組みが新機能となって追加されています。

このレッスンでは、RHEL 7の機能的な特徴について、今回RHEL 7で搭載されたキーテクノロジーを中心に紹介します。

64bitアーキテクチャーのみサポート

RHEL 7は、3年半の開発期間を経て2014年6月10日にリリースされました。RHELでは初めてLinuxカーネル3.x系のバージョン3.10を採用しており、Intel EM64T(x86_64)、IBM POWER(ppc64)、IBM System z(s390x)向けアーキテクチャーをサポートしています。RHEL 7の正式公開(GA:Generally Available)から、ライフサイクルの期間の間、主要ソフトウェアコンポーネントのバージョン番号が変わらず(リベースされず)にバックポート(同じバージョンに不具合修正などを加えること)を繰り返して、更新パッケージがリリースされていきます。つまりRHEL 7に含まれるLinuxカーネルのバージョン3.10は、今後10年間以上メンテナンスされるわけです。

また、RHEL 7から64bit版のRHELのみが提供されます。従来の32bitアプリケーション向けには、32bitの互換ライブラリが提供されます。近年ではデータ量の増加により、32bitのアドレス幅の限界が見えてきたことと、4GBを超えるメモリー搭載量のサーバーが一般的になってきたことから、64bitのみに限定した方が合理的だという結果に落ち着きました。

その他、NUMA(Non-Uniform Memory Access)型のマルチプロセッサシステムにおいて、プロセスとメモリーをNUMAノード間で自動的に移動する仕組みを搭載し、さらなる性能向上が行われました。

systemdとfirewalldを採用

システム全体を管理する仕組みが、従来のUpstartからsystemdへ置き換わりました。システム起動時のサービスの起動がすべてsystemdによって行われ、サービス間の依存性の管理や、起動順序の管理などもsystemdが行います。これにともない、サービスを起動したり停止したりする際に使っていたinitスクリプトが廃止され、すべてsystemdの「ユニットファイル」にて管理されます。ファイアウォールの管理の仕組みとしては、firewalldが搭載されています。従来のiptablesも利用できますが、firewalldが RHEL 7のデフォルトとなっています。そして、仮想化技術のLinux KVMの機能改善はもちろんのこと、コンテナー管理ツールのDockerも搭載されました。

ファイルシステムはXFSがデフォルト

デフォルトのファイルシステムが、従来のLinux ext4から、RHEL 7ではXFSになりました。近年のデータ増加量のトレンドから、1つのファイルシステムの容量上限および性能面でのスケーラビリティが求められることが変更の背景です。また、XFSでサポートされるファイルシステムの容量上限も、100TBから500TBと、5倍に引き上げられました。

従来のRHEL 5やRHEL 6でも別売りの「Scalable Filesystem Add-on」にてXFSのサポートを行っていました。それに対してRHEL 7からは、標準でXFSのサポートが提供されます。Linux ext4も、従来どおりサポートされます。サポートされるファイルシステムの容量上限は、16TBから50TBに引き上げられました。

Red Hat Enterprise Linux 7で利用可能なファイルシステム
※BtrfsはRHEL 7.1ではTechnology Previewとなっておりサポート対象外

種類容量上限ルートファイルシステム/bootファイルシステム
XFS500 TBYesYes
ext450 TBYesYes
Btrfs50 TBYesYes
GFS2100 TBNoNo

GNOMEクラシックとGNOME Shellが選べる

RHEL 7のデスクトップ環境としては、GNOME 3や KDE 4が搭載されて、デスクトップの見た目も変わっています。

リリースされているGNOME 3では、GNOME Shellというモダンなインターフェイスがデフォルトとなっています。しかし、RHEL 7に搭載されているGNOME 3では、GNOMEクラシックという古典的なデスクトップ環境がデフォルトとなっています。以前から左上にあったアプリケーションメニューのツリーメニューから辿ってアプリケーションを起動するという操作スタイルです。

GNOME Shellが好みの方は、ログイン時にGNOME Shellに切り替えて使うこともできます。GNOME Shellでは「アクティビティ」という概念が新しく加わっているのが、操作上の特徴です。左上の[アクティビティ]をクリックすると、起動中のアプリケーションのウィンドウ一覧と、ダッシュボードが表示されます。アプリケーションを起動する場合には、ダッシュボードから選んで起動します。GNOME Shellは、デスクトップPCやノートPC以外に、タブレットPCでも操作がしやすいように設計されているインターフェイスです。

RHEL 7に含まれる主なパッケージ

RHEL 7に含まれる主なパッケージは、Webサーバー、DNSサーバー、データベースサーバー、メールサーバー、ファイルサーバーなど、範囲は多岐に及びます。パッケージのバージョンはFedora 18/19/20をベースとしています。

これらのパッケージがRHEL 7のリリース日(2014年6月10日)からライフサイクルの期間(10年間)、バージョンアップをせずにバックポートを繰り返りながら概ねバージョン固定で提供されます。RHELに含まれるパッケージのバージョンは古いとよく言われますが、きちんと更新パッケージを適用していれば然るべきセキュリティ修正も適用済みですし、また、マイナーリリースが出るタイミングで新しいハードウェアのサポートや機能拡張も行われます。

そのほか、コミュニティ版で言語仕様が変わりやすいスクリプト型言語に対しては、RHELに含まれることにより安定した実行環境を長期間安全に使うことができるという大きなメリットもあります。

主なパッケージのバージョン

カテゴリーソフトウェアとバージョン
カーネルKernel 3.10.0
主要サーバーApache httpd 2.4.6/Tomcat 7.0.42/Squid 3.3.8/Bind 9.9.4/
MariaDB 5.5.35/PostgreSQL 9.2.7/SQLite 3.7.17/
memcached 1.4.15 Postfix 2.10.1/sendmail 8.14.7/
dovecot 2.2.10/cyrus-imapd 2.4.17/spamassassin 3.3.2/
vsftpd 3.0.2/Samba 4.1.1/cups 1.6.3/OpenLDAP 2.4.39/
FreeRADIUS 3.0.1/Kerberos5 1.11.3
各種言語処理系OpenJDK 7/Perl 5.16/PHP 5.4.16/Python 2.7.5/
Ruby 2.0.0/GCC 4.8.2
ライブラリglibc 2.17/libstdc++ 4.8.2
オープンソースとは何か

近頃、聞くことが多くなったオープンソースとは、そもそも何でしょうか? 古くは1980年代に遡ります。当時、ソフトウェア開発者の権利が厳しいことが、ソフトウェアの発展を妨げているとの意見が高まりました。そこでGNUプロジェクトの創始者であるRichard M. Stallman氏が「使用、学習、コピー、改変、再頒布を自由に行えるソフトウェア」が必要だと主張し、それをフリーソフトウェアと命名しました。しかし、フリーソフトウェアが「自由」という本来の意味ではなく、「無料」のソフトウェアという意味で解釈されることもあり、1998年にフリーソフトウェアの否定的なイメージを払拭するために作られた「オープンソース」という名称を用いる動きから、今に至ると言われています。ちょうどこの頃は、Netscape Communications社がAOL社に買収され、自社で開発していたWebブラウザー「Netscape Navigator」のソースコードを公開した時期です。後にThe Open Source Initiative(OSI)という組織が、オープンソース・ライセンスの要件として、「The Open Source Definition(OSD)」という以下の定義を掲げています。

  1. 自由な再頒布ができること
  2. ソースコードを入手できること
  3. 派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること
  4. 差分情報の配布を認める場合には、同一性の保持を要求してもかまわない
  5. 個人やグループを差別しないこと
  6. 適用領域に基づいた差別をしないこと
  7. 再配布において追加ライセンスを必要としないこと
  8. 特定製品に依存しないこと
  9. 同じ媒体で配布される他のソフトウェアを制限しないこと
  10. 技術的な中立を保っていること

The Open Source Initiative:オープンソースの定義(日本語)
http://www.opensource.jp/osd/osd-japanese.html

(2019年3月19日更新)サポート内容に関する記述を一部修正しました。

できるPRO Red Hat Enterprise Linux 7

平 初 著/できるシリーズ編集部 著
価格:3,000円+税
発売日:2015年6月25日発売
ISBN:978-4-8443-3839-0
発行:インプレス

できるPRO Red Hat Enterprise Linux 7

新人のIT管理者向けにビジュアルを使い、RHEL 7の基本操作、サーバー構築について、ハンズオン形式で解説します。Red Hatログインのアカウントを作成し、RHEL 7の評価版のダウンロードから始め、OSのインストールと操作の基礎を学んだあと、企業内で利用する各種サーバーを構築します。RHELは、企業内の基幹業務システムの運用を目的としたOSであるため、システム管理、各種サーバーの構築など、運用管理の応用に重点を置いています。また、RHEL 7で一新された、新しい管理手法を学ぶ技術者にも役立つ内容です。

Amazon詳細ページへImpress詳細ページへ

レッドハット株式会社

サービス事業統括本部 ソリューション・アーキテクト部
ソリューションアーキテクト&クラウドエバンジェリスト

商社系システムインテグレーター、外資系ハードウェアベンダーを経て、現在、レッドハット株式会社にてクラウドエバンジェリストとして活躍。2006年に仮想化友の会を結成し、日本における仮想化技術の普及推進に貢献した。

主な著書に「KVM徹底入門」(翔泳社)、「Xen徹底入門」(翔泳社)、「100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著」(翔泳社)、「Red Hat Enterprise Linux 7がやってきた」(日経ITpro)がある。

連載バックナンバー

OS書籍・書評

RHEL 7のインストールメディアを作成するには

2015/12/25
この記事は、書籍『できるPRO Red Hat Enterprise Linux 7』の内容を、Think IT向けに特別にオンラインで公開しているものです。詳しくは記事末尾の書籍紹介欄をご覧ください。
OS書籍・書評

RHEL 7を入手するには

2015/12/24
この記事は、書籍『できるPRO Red Hat Enterprise Linux 7』の内容を、Think IT向けに特別にオンラインで公開しているものです。詳しくは記事末尾の書籍紹介欄をご覧ください。
OS書籍・書評

Red Hat Enterprise Linux 7のインストールについて確認しよう

2015/12/22
この記事は、書籍『できるPRO Red Hat Enterprise Linux 7』の内容を、Think IT向けに特別にオンラインで公開しているものです。詳しくは記事末尾の書籍紹介欄をご覧ください。

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています