ネットワーク層の機能(後編) ―IPアドレスとルーティングプロトコル―
ルーティングプロトコル
ルーティングプロセスをホストとルータの両方で機能させるためには、それぞれがTCP/IPインターネットワークに関する情報を知っている必要があります。ホストがリモートの宛先にパケットを送信するためには、デフォルトルータのIPアドレスを知っている必要があります。これに対し、ルータがすべてのIPネットワークまたはIPサブネットにパケットを転送する方法を理解するためには、ルート(経路)を知っている必要があります。
ネットワークエンジニアがルータごとに必要なルートを手入力で設定するという方法もありますが、ほとんどの場合は、すべてのルータでルーティングプロトコルを有効にするだけです。TCP/IPインターネットワーク上のすべてのルータで同じルーティングプロトコルを有効にする場合は、設定が正しければ、ルータがルーティングプロトコルメッセージを互いにやり取りするようになります。結果として、すべてのルータがTCP/IPインターネットワーク上のすべてのIPネットワークとIPサブネットへのルートを学習するようになります。
図2の例は、前回の記事の2つの図と同じ図に基づいています。この場合、IPネットワーク168.1.0.0は、168.1で始まるすべてのアドレスで構成されており、図2の一番下にあるイーサネットに属しています。このことを知っているR3は、ステップ1で、ルーティングプロトコルメッセージをR2へ送信します。結果として、R2がIPネットワーク168.1.0.0のルートを学習します(図2の左の図)。ステップ2で、R2が方向を切り替え、ルーティングプロトコルメッセージをR1へ送信し、結果としてR1が同じIPネットワーク168.1.0.0のルートを学習します。
TCP/IPモデルのネットワーク層の大まかな仕組みについては以上です。
この記事のもとになった書籍 | |
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