ルータの負荷軽減のため、最適な集約ルートを割り出す
2015年4月13日(月)
この連載では、Cisco CCENT/CCNAの資格試験対策とするために、Cisco Press公式ガイドブックに掲載されている例題を抜粋し、その例題の解答について解説を行っています。
ルート集約は、複数の細かなルートに代わる1つのルートを使用することです。今回も前回に引き続き、ルート集約の概念について取り上げます。今回は、ルート集約における最適な集約ルートの選択について説明します。
■最適な集約ルートの選択についての例題
まずは、ルート集約の概念についての例題を以下に示します。
※上記の問題4は『シスコ技術者認定試験 公式ガイドブック Cisco CCENT/CCNA ICND1 100-101J』 p.581より抜粋。
●例題の解説
集約ルートとなる各選択肢のアドレス範囲が問題文に示された3つのルートを含み、そのアドレス範囲が最も狭いものを選択する例題です。
ネットワークのアドレス範囲は、IPアドレスとサブネットマスクから計算します。計算は、サブネットやVLSMでのアドレスの計算と同じようにして行います。
集約される元の3つのサブネットのアドレス範囲は、表1に示したように、連続しています。なお、/28のブロックのサイズは16です。
表1 3つのサブネットのアドレス範囲
次に、各選択肢についてアドレス範囲を計算し、そのアドレス範囲に表1の3つのサブネットのアドレス範囲が入ることを確認します。
表2は、プレフィックス表記の選択肢とアドレス範囲の計算結果です。
表2 集約ルートのアドレス範囲
表2より、3つのサブネットのアドレス範囲を含んで集約ルートとなるのはa、bの2つです。
このうち、アドレス範囲が最も狭いものが最適な集約ルートとなるので、bが正答となります。
これらのアドレス範囲の様子を図1に示します。
図1 アドレス範囲の様子
●最適な集約ルートの選択について
集約ルートの選択における最適な集約ルートとは、集約したいすべてのサブネット内のすべてのアドレスがその1つの集約ルートに含まれていて、アドレス範囲が最も狭い集約ルートのことです。また、集約したいサブネット以外のアドレスができるだけ少ない集約になります。
図1の例では、本来の集約対象のサブネット以外のアドレス範囲が、aの集約ルートでは.0/26のところ、bの集約ルートでも.112/28のアドレス範囲が含まれています。これらが将来に集約対象として使用されるように計画されているのであれば問題はないのですが、全く別の用途で使用されることがあるとすれば一緒にすることは好ましいことではありません。
ルート集約では事前のIPアドレスの計画、設計が重要な要素になります。
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