VLSM(Variable Length Subnet Mask:可変長サブネットマスク)の利用
2015年3月30日(月)
この連載では、Cisco CCENT/CCNAの資格試験対策とするために、Cisco Press公式ガイドブックに掲載されている例題を抜粋し、その例題の解答について解説を行っています。
今回は、1つのクラスフルネットワークで複数のサブネットマスクを使用するVLSMの例題について説明します。
■VLSMの概念と重複についての例題
まずは、VLSMの概念とアドレス範囲の重複についての例題を以下に示します。
※上記の問題3は『シスコ技術者認定試験 公式ガイドブック Cisco CCENT/CCNA ICND1 100-101J』 p.564より抜粋。
●例題の解説
この例題では、クラスAの10.0.0.0/8ネットワークに対して、VLSMでサブネットを作成しています。このサブネット間のアドレス範囲が誤って重複している状態を判断する内容ですが、VLSMではアドレス範囲の重複を発見するのに手間がかかります。
サブネット間の重複を確認するには、各サブネットのネットワークアドレスとサブネットマスクからアドレス範囲を計算し、そのアドレス範囲の重複の有無を確認します。Fa0/0インタフェースに設定したサブネットのアドレス情報を図1に示します。
図1 Fa0/0のサブネットのアドレス情報
サブネットマスクの第3オクテットの240は、2進数表記では上位の4ビットを意味し、そこまでの20ビットのネットワーク部を指します。IPアドレスの21ビット以降のホスト部をゼロにした値がネットワークアドレスです。ホスト部の全てのビットを1にした値がブロードキャストアドレスになります。アドレス範囲は、ネットワークアドレスからブロードキャストアドレスの範囲になります。
各サブネットのアドレス範囲を計算すると、表1になります。ネットワークアドレスの小さい順にサブネットを並べると重複の判断がしやすくなります。
表1 サブネットのアドレス範囲
アドレス範囲を比較すると、10.5.48.0/20のアドレス範囲と重複しないのは、選択肢aの10.5.0.0/20です。つまり、aが正解となります。
表1のアドレス範囲を第3オクテットに焦点を当てて図2に示します。
図2 第3オクテットに焦点を当てたアドレス範囲の重複の様子
この例題は、プレフィックス長が第2オクテットや第3オクテットにかかるので範囲の計算が難しくなっています。なお、プレフィックス長が第3オクテットまでなので、第4オクテットの部分を考えなくてもアドレス範囲の重複の判断ができます。
VLSMの問題は、複数のサブネットのネットワーク部とホスト部を識別し、2進数と10進数の変換をしてアドレス範囲を求めるという時間のかかる作業をすることになるので、できるだけ速く解けるように辛抱強く練習しましょう。
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