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Apple Watchは「1%の富裕層」をターゲットに

2015年3月18日(水)
ReadWrite Japan

先週月曜、アップル主催「Spring Forward」のプレスイベントで、ティム・クックCEOは、待望のApple Watchの発売と価格を正式に発表した。

ローエンドの、最も安い端末は38mm 画面のApple Watch Sportで 349ドルだ。これは、最近のスマートウォッチでは高価格帯に入る。最も高価なのは、Edition カテゴリーの18金モデルで、最低価格の1万ドルから始まり、選んだオプションに応じて値段が上がっていく。

モデル間の主な違いは、製造や材料以外にはないに等しい。本質的には、いわばアップルがテクノロジー企業から高級品を扱う企業に転換していることを意味する。

アップルは富裕層に狙いを定める

アップルは、テクノロジー製品を人々が望む形に仕上げることに長けており、既に数十億ドルの売上を見込んでいる。しかし残念だが、ほとんどの人は新しいスマートウォッチを買う余裕はないだろう。

有名ブロガーでアップルとも関わりのあるジョン・グルーバーは、同社のデバイスはこれまでも決して安くはなかったと言及している。最初のiPodは400ドル、最初のiPhoneは600ドル(数か月後に400ドルに値下げされた)だったし、同社初のiPadは500ドルで販売されていた。その後、400ドルのiPad miniが導入された。

この文脈には矛盾がある。ベースモデルのApple Watchは、確かに同社の最も安価なモバイル端末と同じ価格帯だ。だが、4月24日の発売日時点では、同製品はローエンドのスマートウォッチの平均価格よりも高額である。そして、Apple Watch EditionはVertuと同じくらい贅沢品なのだ。

これは、Apple Watchをガジェットというよりも高級品として位置付けるものだ。モデルと価格はアルミニウム合金、ステンレス鋼、18金という素材の違いによって区別されている。

それはアップルにとってもこれまでとは異なる方針だ。

違いはほんの数ミリのみ

通常、アップルを含むハイテク企業は、ハードウェアの仕様によって製品のクラス分けを行っている。様々なガジェットは、メモリ、ストレージ容量、ディスプレイ・サイズ、バッテリー容量などの仕様を変え、価格の違いが正当化されている。アップルがiPhone 6と6 Plusでとったのと同じ戦略だ。

だがApple Watchは違う。どれを選んだとしても、少なくとも中身は同じ端末だ。18時間持つとされているバッテリーから、手首から電話する際に使うマイクとスピーカーに至るまでだ。どのモデルも同じソフトウェアを搭載している。Siriを実行し、iPhoneに接続し、iOS 8.2の新しいApple Watchアプリからアプリをダウンロードするのだ。

外見上、違いはほんの数ミリしかない:

  • Apple Watch Sportはシルバーまたはスペースグレーのアルミニウム合金に包まれており、349ドルの38mmモデルと399ドルの42mmモデルから始まる。
  • ステンレス鋼が特徴のApple Watch collectionにはトラディショナルとスペースブラックの2つの選択肢がある。38mm バージョンは549ドルから始まり1049ドルまで。42mmモデルは50ドル高くなる。
  • 最も高いの価格帯はゴールドのApple Watch Editionで、付属のベルトも純金のバックルを特徴としており、価格は1万ドルからだ。オプションをつければさらに価格が上がる。

この動きは、アップル側としては賭けにも映る。同社が今高級品市場にいるのであれば、その消費者心理に応えることが必要だ。だが実際はその方針を取らず、値段を気にする層と富裕層のどちらをターゲットにするかぼやけており、どっちつかずの状態に見える。

価格に敏感な消費者にとって、「安価な」アルミと中級のステンレス鋼のモデルは、おそらくあまりにも高すぎる。裕福な顧客にとっては、安価なバリエーションが手に入ってしまうのは、最高級モデルの威信を汚すことになるかもしれない。同社がどちらか一方の道を断固として歩んでいれば、この命題はもっと明確になったかもしれない。

高級品への困難な道のり

その戦略には、例えば、高級自動車メーカーが何年も苦労し続けているような、微妙なバランスが必要となる。メルセデスベンツやBMWのような企業は、最終的に若い顧客向けのより安価な車で成功を見ているが、それには時間がかかった。それらの企業も老舗高級ブランドとして始まり、最終的にはローエンドの製品に手を伸ばすことのみを選択した。大衆に製品を提供するのと同時に、高級品としての信用を確立しようとはしなかった。

その意味で、アップルのアプローチにはリスクがありそうだ。だが、多くの人々は、同社がそれを成し遂げることができると考えている。他のどの製品よりも、このスマートウォッチの成功は、まだ始まったばかりのウェアラブル業界全体を盛り上げる可能性を秘めている。

つまり、Apple Watchに誰もが興味を示しているということだ。それがスマートウォッチ製品を低価格または高価格製品、どちらの市場で人気カテゴリーに押し上げるのか、それも関心の的と言えるだろう。

Apple Watchの先行予約は4月10日に開始し、その後、小売店で端末を試すためのデモユニットを見られるようになる。ユニットは北米、ヨーロッパおよびアジア市場の一部へ4月24日に発送される。

トップ画像提供:Apple

Adriana Lee
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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