JBoss Fuseを使ってみる その1:インストール編

2015年4月7日(火)
知久 裕之(ちく ひろゆき)

はじめに

本連載では、これまでJBoss Fuseによるシステム連携の考え方や、機能概要を紹介してきました。連載3回目は、JBoss Fuseのインストール手順について解説します。簡単な手順ですので、次回以降のチュートリアルでも利用するFuse環境を、一緒に構築していきましょう。

インストールを始める前に、まずは全体の流れを確認しておきます。

  1. 事前準備(JDK及びApache Mavenのセットアップ)
  2. JBoss Fuseのインストール
  3. JBoss Developer Studioのインストール
  4. サンプルアプリケーションを用いた動作確認
ソフトウェア構成とインストール作業の大まかな流れ

図1:ソフトウェア構成とインストール作業の大まかな流れ

事前準備

JDKのインストール

JDK(Open JDK、Oracle JDK、IBM JDKのいずれか)1.7の最新のものをインストールし、環境変数(JAVA_HOME、PATH)を設定します。その際、JDKのインストールパスにスペースが入らないようご注意下さい。またWindows環境では、環境変数の設定をシステムのプロパティの詳細設定にて行います。

リスト1:

$ export JAVA_HOME=<JDKのインストールディレクトリ>
$ export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH

Mavenのインストール

JBoss Fuseは、Apache Mavenを利用してビルドします。下記の取得ページよりバイナリファイルをダウンロードし、任意の場所に解凍します。その後、環境変数(H2_HOME、PATH)を下記のように設定します。

Apache Mavenのダウンロードページ

http://maven.apache.org/download.html

  • バイナリファイル:Maven 3.2.5(Binary zip)(apache-maven-3.2.5-bin.zip)

リスト2:

$ export H2_HOME=<mavenのインストールディレクトリ>
$ export PATH=$H2_HOME/bin:$PATH

これで、Apache Mavenのインストールが完了しました。

Mavenの設定ファイル(settings.xml)の作成と修正

JBoss FuseのMavenリポジトリから、依存ライブラリやアーティファクトを取得するための事前設定を行います。

リスト3のように、<ユーザーホーム>/.m2/settings.xml にJBoss FuseのMavenリポジトリにアクセスするための情報を記述します。Mavenを初めて利用する場合には、この.m2ディレクトリ(WindowsではC:\Users\<ユーザー名>\.m2)は存在しません。mvnコマンドを引数なしで実行すると、コマンド自体はエラーとなりますが、空のディレクトリが作成されるので、その配下にsettings.xmlファイルを新規作成し、リスト1の内容をコピー&ペーストして下さい。すでにMavenを利用している場合は、既存のsettings.xmlファイルにリスト1のの部分を追記します。

リスト3:Mavenの設定ファイルの記述例

<?xml version='1.0' encoding='UTF-8'?>
<settings>
  <profiles>
    <profile>
      <id>fuse</id>
      <activation>
        <activeByDefault>true</activeByDefault>
      </activation>
      <repositories>
        <repository>
          <id>fusesource</id>
          <url>http://repo.fusesource.com/nexus/content/groups/public/</url>
          <snapshots>
            <enabled>false</enabled>
          </snapshots>
          <releases>
            <enabled>true</enabled>
          </releases>
        </repository>
        <repository>
          <id>fusesource.snapshot</id>
          <url>http://repo.fusesource.com/nexus/content/groups/public-snapshots/</url>
          <snapshots>
            <enabled>true</enabled>
          </snapshots>
          <releases>
            <enabled>false</enabled>
          </releases>
        </repository>
          <repository>
          <id>apache-public</id>
          <url>https://repository.apache.org/content/groups/public/</url>
          <snapshots>
            <enabled>true</enabled>
          </snapshots>
          <releases>
            <enabled>true</enabled>
          </releases>
        </repository>
      </repositories>
    </profile>
  </profiles>
</settings>

JBoss Fuseのインストール

Fuseのインストールは、基本的にダウンロードしたZIPファイルを解凍するだけです。

JBoss Fuseのダウンロード

jboss.orgダウンロードページから入手できます。アカウントを作成し、以下のリンクからJBoss Fuse 6.1.0をダウンロード下さい。

JBoss Fuse 6.1.0 ダウンロードリンク

https://www.jboss.org/download-manager/file/jboss-fuse-6.1.0.GA-full_zip.zip

Fuseのインストール

ZIPファイルを解凍します。解凍先のディレクトリパスには、スペースや特殊な文字(#、%、^、") が入らないようご注意下さい。

管理ユーザーの有効化

管理コンソールに接続するための設定を行います。<Fuseのインストールディレクトリ>/etc/users.propertiesを編集します。以下の例のように「#」を削除して、デフォルトで無効となっているadminユーザーを有効化します(当該行は1つ目のadminがユーザー名、2つ目がパスワード、3つ目がロールを意味します)。

リスト4:設定前

#admin=admin,admin

リスト5:設定後

admin=admin,admin

Fuseの起動

ターミナルまたはコマンドプロンプトを開き、<Fuseのインストールディレクトリ>/binに移動し、起動コマンドfuse(Windowsの場合はfuse.bat)を呼び出してFuseを起動します。

リスト6:

$ cd <Fuseのインストールディレクトリ>/bin
$ ./fuse

 JBoss Fuseを起動すると、シェルコンソール画面が開きます。

JBoss Fuseの起動画面

図2:JBoss Fuseの起動画面

JBoss Fuseは基盤となるコンテナとして、OSGiベースの実行環境であるApache Karafを利用します。Karafのシェルコンソール上で、 アプリケーションをデプロイするためのシェルコマンドなどの管理サービスが提供されます。試しに、osgi:listコマンドで、KarafにインストールされたCamel関連のバンドルを表示してみましょう。

リスト7:

JBossFuse:karaf@root> osgi:list | grep camel

JBoss Developer Studioのインストール

ダウンロード

以下のjboss.orgダウンロードリンクより、JBoss Developer Studio(以後、JBDS)のバージョン7.1.1をダウンロードします(8.1.0GAもありますが、今回は7.1.1をダウンロードします)。

JBoss Developer Studio 7.1.1ダウンロードリンク

https://www.jboss.org/download-manager/file/jboss-devstudio-7.1.1.GA-standalone_universal-standalone_jar.jar

インストール

JBDSのインストーラを起動し、ウィザードに従ってインストールを行います。

リスト8:

$ java -jar jboss-devstudio-7.1.1.GA-standalone_universal-standalone_jar.jar

Fuse関連のプラグインの追加

JBDSのインストール後に、JBoss Fuse用のプラグインを追加します。まずJBDSを起動し、JBoss Central画面の下方にある Software/Update タブを選択し、「JBoss Integration and SOA Development」をチェックして Installボタンを押します。

JBoss Developer Studioのインストール

図3:JBoss Developer Studioのインストール

以下のFuse関連の3つのプラグインをチェックして、インストールを行います。

  • JBoss Fuse Camel Editor Feature
  • JBoss Fuse Runtimes Feature
  • JBoss Fuse Server Extension Feature
インストールするプラグインを選択

図4:インストールするプラグインを選択

著者
知久 裕之(ちく ひろゆき)
レッドハット株式会社

サービス事業統括本部 ソリューション・アーキテクト部 ソリューションアーキテクト
日本オラクルにてERP、データベース、ミドルウェアなどのプリセールスエンジニアとしてITに携わる。OSSの将来性に惹かれ、現在は JBoss製品群のプリセールスに従事。ランニングなど体を鍛えることを始めました。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています