サポート終了目前! Windows Server 2003からAzureへの移行は待ったなし
はじめに
2014年4月にWindows XPのサポートが終了になったばかりですが、今度は2015年7月にWindows Server 2003のサポートが終了となります。こちらはサーバ環境の移行の話になるので、作業としてはWindows XPの時よりも重たい話になります。Windows Server 2003のサポート終了の作業に懲りて、今後はクラウド上でのシステム構築を考える方も多いのではないでしょうか?
NECマネジメントパートナーはNECグループの教育機関として、国内トップクラスの講師陣によるマイクロソフト製品や仮想化などをはじめとする主要な技術のトレーニングを実施してきました。その実績も国内トップクラスであると自負しております。その経験とノウハウをこの連載で紹介し、皆様のシステム構築に少しでもお役立ていただければ幸いです。今回の連載は以下の3回にわたって、Microsoft Azureへの移行についてご紹介します。
- サポート終了目前! Windows Server 2003からAzureへの移行は待ったなし
- 超ノウハウ! どこにも書かれていないマイクロソフトが禁止しているWindows Server 2003からAzureへの移行のべからず集
- 超ノウハウ! Windows Server 2003からAzureへの移行でさらにシステムを活かす設定集
2、3回目は、国内第一人者である弊社吉田薫が担当します。ぜひお楽しみに!
まずは、なぜWindows Server 2003をバージョンアップしなければならないのか、またバージョンアップしないとどのような悪影響が起こるのかから始めましょう。
なぜバージョンアップが必要なのか
最初に基本中の基本です。Windows Server 2003は、2003年4月に発売されたサーバ用OSです。OSのバージョンアップが必要な理由は、次の2点です。
- より高性能なOSの提供を受けるため
- 最新の周辺機器やソフトウェアに対応するため
ずっと同じ周辺機器を使い続けていると、周辺機器のドライバーやウイルス定義ファイルの提供が終了し、各メーカーによる製品サポートが受けられなくなるなど、限界がやってきます。そこで、最新の周辺機器やソフトウェアへ対応するために、メジャーバージョンアップ(ソフトウェアやハードウェアなどの大幅な改訂のこと)されたOSに移行する必要があります。
Windows Server 2003のサポート終了に対応しない場合の影響
では、サポート終了後もそのまま使い続けることで、どのような影響があるのでしょうか。XPの時もそうでしたが、エンタープライズ用途でまだ使っているところがありますよね。大丈夫な場合もあるかもしれませんが、結構怖いです。当たり前ですが、Windows Server 2003はサポートが終了してもOSとしては継続して使用できます。しかしながら、サポート終了になれば、その後セキュリティホールが見つかった場合でも、マイクロソフトは対応しません。そうなった場合、サーバ上の情報が漏えいする危険性が高まります。顧客情報、取引先の機密情報、社員の個人情報の流出などにより、社会的な信頼の低下、取引先の喪失、損害賠償請求が発生する可能性があり、どれも企業経営に深刻な影響を及ぼすこととなります。そのような状態になる可能性を、担当者としては黙認できないですよね。そのために、OSのバージョンアップが必要なのです。Windows Server 2003のサポート終了については、ニュース等でも報道されているほか、マイクロソフトからも重ねて通知が来ているはずであり、「知らなかった」とは言えません。サーバの移行を放置することは、何か問題が生じた際に弁解の余地がありません。
移行方法
では移行方法ですが、代表的な方法として次の3つが挙げられます。
- 仮想環境上に最新のWindows Server OSでシステムを再構築し、移行する
- 実際の運用環境で最新のWindows Server OSに移行する
- クラウドサーバに移行する(情報システムのアウトソーシング含む)
各企業のシステム環境等にもよりますが、コストの観点から考えると1か3を選ばれるお客様が多いのではないでしょうか? 今回はAzureの話でもあるので、3についてお話しします。
クラウドサーバへ移行すれば、OSのバージョンアップやハードウェアの買い替えから解放されます。BCP(Business Continuity planning:事業継続計画)の観点からも望ましく、サービスが障害によって停止した際の対応や、クラウド事業者の事業継続性、クラウド事業者による情報漏えい対策の3点がしっかり抑えられた契約ができれば、とても有効な方法だと言えます。クラウドサーバについては各社から様々なサービスが提供されていますが、今回はこの1年で急激にシェアを伸ばし、AWSとの2強時代になったと言われているMicrosoft Azureを紹介します。
雲になったコンピュータ:クラウド各社の戦略再設定(5)! −Microsoft−
http://computerbecamecloud.blogspot.jp/2015/01/5microsoft.html
用途に合わせたMicrosoft Azureの選択
さて、確認の意味も含めて、Microsoft Azureの用途別のサービスをご紹介します。
図1のように、各サーバの用途に合わせてサービスを選びます。各サービスの概要は、以下の通りです。
社外公開向けWebサイト
社外に公開するためのWebサイトは、広告やキャンペーンなどにより、アクセス数が急激に増減することがあるため、クラウド上での構築に最適な用途です。Azure Webサイトや Azureクラウドサービスでは、.NET Frameworkが提供されているため、Visual Studioを利用した迅速な開発が可能です。またAzure Webサイトには、.NET Framework だけでなく、ASP、PHP、Node.js、Java、Pythonのランタイムも搭載されています。そのため、これまでの開発経験を活かしてクラウド上にアプリケーションを構築できます。
社内向けアプリ・インフラ基盤
オンプレミスにあるファイルを、Azureストレージにバックアップできます。この際にAzureバックアップを使用すると、バックアップをスケジューリングできます。Azure仮想マシンを使うと、社内のファイルサーバやサービスをそのままAzure上に展開できます。さらにAzure仮想ネットワークと組み合わせることで、オンプレミスとの接続にIPSecが利用できるため、セキュアな通信が行えます。このように、社内の環境をAzure上に構築することで、社内環境を拡張したり、災害対策に適用したりすることができます。
開発・テスト環境
Azureには、Visual Studio Onlineをはじめとする開発環境や検証環境を構築するためのサービスが提供されています。これらを利用して、必要な時に素早く開発環境を構築できるため、開発のライフサイクルを早められます。またテスト環境に関しては、Azure仮想マシンを使用することで、必要な時に必要なだけ利用できるため、大規模なサーバ構成であっても低コストで構築できます。
外部向けアプリ基盤
Azureモバイルサービスを利用することで、ユーザー認証やプッシュ通知、スクリプトおよびデータなどの、モバイルアプリ向けのバックエンドサービスが提供されます。これらは Web APIでアクセスできるため、Windowsだけでなく、iOS、Androidなどのデバイスもターゲットとなります。
ソースコードの書き換えについて
移行先のサービスが決まった後は実際に移行計画を進めていくのですが、その過程でソースコードなどを書き換える必要が出てくる場合もあります。ここではその一例をご紹介します。
まず、もっとも移行しやすい構成と言えるのは、オンプレミスのシステムが、ASP.NETのWebアプリケーションとSQL Server の組み合わせで構成されている場合です。オンプレミスのWebアプリケーションはAzure Webサイトに、SQL ServerはAzureのSQLデータベースに移行すると、アプリケーションのソースコードの書き換えは最小限で済みます。
一方、Webアプリケーションが扱うデータをローカルディスクやファイルサーバに格納している場合は、保存場所を変更し、コードも書き換える必要があります。これは、Azureの場合、ローカルのディスクにデータを格納していると、データセンターのサーバに障害が発生するなどしてインスタンスが作り直された際に、データがなくなってしまうからです。そのため、Azureが提供するBLOBやAzure Filesにデータを格納します。BLOBは、RESTまたはAzure Storage Client Libraryによりデータの読み書きが行えます。またAzure FilesはSMB がサポートされていて、Azure上のストレージをWindowsのファイルシステムのように扱えるため、アプリケーションが利用するファイルI/Oのライブラリ が利用できます。
いかがでしょうか? 今回はWindows Server 2003からMicrosoft Azureへの移行について概要を説明しました。次回以降もご期待ください。
なお、弊社は管理者向け、開発者向けのAzureトレーニングを開催しています。興味がある方はぜひ、以下のサイトをご覧ください。
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