グーグルがARC Welderで見せる「どこでもAndroidアプリが動く未来」
4月1日、グーグルが最新のデベロッパーツールのβ版を公表した。それはChrome向けのアプリのランタイム、あるいは「ARC(App Runtime for Chrome)」と呼ばれ、ChromeブラウザにARC Welderアプリがインストールされてる環境であれば、理論上誰でもAndroidデバイスなしで、仮想化された環境の中でAndroidアプリを走らせることが出来る。更に良いことには、ARC WelderによってAndroidアプリをChromeアプリにポーティングすることが非常に簡単に行えるのだ。
理論的にはARCはAndroidアプリのインストールファイル(.apkというその拡張子からよくAPKsと呼ばれる)をPCやMacでも動かすことが出来るはずなのだが、少なくとも今の所実現していない。
開発者にとって意味することとは
ARC Welderはこれまでにリリースされた開発ツールよりも一歩先を行くものだ。まず最初にこのツールはまだ未完成のアプリをグーグルのAndroid Studio上もしくは実デバイス上にロードすること無しに、大雑把なテストを行える方法を提供してくれる。これは開発者が作りかけのアプリについてのフィードバックをAndroidデバイスを持たない友人や周りの人々から容易に得る手段とも考えられる。
しかしARC Welderが他のツールと異なる点はまさに、Androidアプリをわずか数クリックでChromeアプリに変えてしまうことが出来る事だ。この事はコンスタントに製品のラインアップが増えているChromebook向けのソフトが爆発的に増えることにつながる可能性がある。
ARC WelderによってAndroidアプリをデスクトップ(PC, Mac, Chromebook etc…)に持ってくる時間とリソースを大幅に短縮することが出来る。Google Playのあの品揃えを考えてみて欲しい。あらゆるプラットフォームにおけるChromeの人気については言うまでもないだろう。この手のツールは開発者にとって自分たちのソフトを世に広める大きな助けになり得る。
開発者たちにとってARC Welderの存在は、プラットフォームのターゲットを絞る際に、普段とは逆にiOSよりもAndroidを第一に考えてもよいと思わせ始めているかも知れない
開発者以外にとっての意味とは
PCでAndroidアプリを走らせることは長年のやってみたい事の1つだった。主な理由としてAndroidだけのゲームを大画面でやってみたいというのが挙げられる。1年前、Bluestacksを使ってみた時、その結果にそこそこ満足したがやはりバグやクラッシュには悩まされた。
ARC Welderは同じことをもっと上手くやれるのではないかという望みが私にはあった。なんといってもグーグルが作ったものだ。だが残念、結果は望んだものではなかった。
グーグルがふざけてARC Welderの事をβ版だと言っているのではない。Angry BirdsからGoogle Maps、YahooウェザーにInstagramまでいろんなアプリを試してみたが、得られたものは何もなかった。9to5Googleにある説明に書かれているとおりに手順を踏んだにも関わらず、これらのアプリをPC上で走らせることは一度も成功しなかった。言っておくが、私がAPKをダウンロードしたのは、このサイトが推奨しているAPKMirrorからだ。また自分のスマートフォンにあるアプリもPCに移してテストした。が、どれも動作しなかった。
興味深いことに、他に3名のReadWriteのスタッフも試した所、人によって成功したりしなかったりした。4名のうち、2名がARC WelderでAndroidアプリをコンピューター上で動作させることに成功した。その2名は1人がMac、1人がPCで、二人共APKMirrorからYahooウェザーをダウンロードした。私ともう1人が起動させるのに失敗したのと同じものだ。
こういった問題が起こったのは我々だけではない。ARC Welderのサポートページでも同じように、ある人は成功し、ある人は失敗したというコメントで溢れている。知り合いの開発者に私がなにか間違えてるせいではないかと聞いてみた所、彼は「Googleの開発スタッフは大抵未熟な人たちだ」と答えた。
ここでの結論は、ARC Welderは開発者に多くをもたらしてくれ、Android専用アプリをデスクトップで楽しみたいという非開発者の私達にとっても頼りになるツールになるのかも知れない。しかし今の所、ARC Welderについては専門家たちに任せておくのがベストだろうと考える。
画像提供:Google
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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