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「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」レポート #2(1日目キーノート)

2015年5月21日(木)
鳥居 隆史吉山 晃

5月18日から22日まで、カナダのバンクーバーで開催されるOpenStackのクラウドソフトウェア開発者、ユーザ、管理者のための国際イベント「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」。いよいよ、その初日を迎えました。

開催初日の参加者数は6,000名と発表がありました。前回のパリ開催と比べて20%ほど増えています。OpenStackだけでなく、OPNFVやContainerといった注目技術のセッションを取り込み、クラウドインフラの一大イベントに成長したと言えると思います。

開催のトップを飾るキーノート会場は、相当な広さのホールで行われました。聞くところでは座席数は4,500。初日のキーノートということもあり座席は満席で、立ち見もたくさん出ていました。

キーノート講演の会場。用意された4,500席はすべて埋まり、立ち見も出るほど

今回はカナダでの開催ということで、やはり参加者は欧米人が多いのですが、例年に比べて日本からの参加も増えているように感じられます。またNECと東芝がプラチナスポンサー、日立と富士通がスポットライトスポンサーとなり、クラウド分野における日本企業の存在感も高まってきているように感じられました。

なお、少し気が早いですが、次回のOpenStack Summitは10月27日~30日に東京で開催されます。場所は品川の新高輪プリンスホテルと決まりました。スポンサーシップの資料などもダウンロードできます(https://www.openstack.org/summit/tokyo-2015/)。海外まで行くのは……という方々も、秋のOpenStack Summit Tokyoにはぜひ参加して、この雰囲気と勢いを感じてほしいと思います。

さて、キーノートセッションではOpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、Jonathan Bryce氏が登壇し、OpenStackマーケットプレイス上での「OpenStack Powered」ロゴとOpenStack標準テスト結果の掲載開始をアナウンスしました。これにより、ユーザが既存のOpenStackソリューション・パブリッククラウド・ホスト型プライベートで提供されるOpenStackの機能性やAPI互換性を確認しやすくなります。

「OpenStack Powered」ロゴは現在16社が取得している

また、最新バージョンの「OpenStack 2015.1」(Kiloリリース)を発表し、同リリースの特筆機能として「Federated Identity」を紹介しました。この機能は異なるサイト間でOpenStackのユーザ認証情報を共有するものです。

Kiloリリースは開発期間中に他界したChris Yeoh氏に捧げられた
 
OpenStackサービス間でユーザ認証情報を共有する「Federated Identity」のイメージ

これらの取り組みや新機能により、今後OpenStack APIによるハイブリッドクラウド利用が促進されると期待されます。

OpenStack Foundationの目標は「OpenStack Powered Planet」

キーノートセッション最初のゲストは、米DigitalFilm Tree社のGuillaume Aubuchon氏。OpenStack Summitのキーノートでは常連です。今回は会場風景をリアルタイムに動画撮影(4Kと言っていた)し、その画像をHP Cloudに格納してロサンゼルスの本社オフィスで編集、それを会場でモバイルアプリから鑑賞するというデモを行いました。編集内容は、会場にいた参加者がUFOで連れ去られて、座席だけが残るというものでした。

その場で会場内を撮影。参加者はどのようなデモが行われるのか興味津々だ

続いてのゲストは、米Walmart社のAmandeep Singh Juneja氏が登壇。Walmartは今回発表されるユーザ事例の中でも目玉と言えます。10万コアを超える規模のOpenStack環境でWalmartのe-commerceサイトを運営しています。Walmartのシステムは11のWebサイトから成り、世界中にe-commerceサービスを提供しています。その要件はさまざまあり、そのためにどうしてもシステムが複雑化してしまうという課題を抱えていました。Amandeep Singh Juneja氏は「そこをほどく(detangle)ためにOpenStackを選択した」と言います。その理由として「モジュラー構成を採っているためスケーラビリティが高い、デファクトになっているため上位・下位レイヤの選択肢がある、大規模な開発者コミュニティがあることなどがWalmartにとって望ましい」と説明していました。

OpenStackを使う理由として「ベンダーロックインを避けるため」とはよく言われますが、「複雑性」というのはあまり聞いたことがなかったため新鮮に感じられました。

最後にWalmartがOpenStackを約2年前から使い始め、その規模が加速度的に拡大しているグラフを見せていました。世界最大の小売業がOpenStackをこれだけの規模で使っているというのは、参加者に大きなインパクトを与えたと言えるでしょう。

Walmartの大規模利用にも耐えうるOpenStackの可能性は計り知れない

続くキーノートでは、TD Bank、CyberaのOpenStack事例やHP、SolidFireのOpenStackに関する取り組みが紹介されました。

キーノートの後は、多くの部屋に分かれてセッションやミーティングが行われました。実は1日目のキーノートやセッションの内容については、すでにOpenStackのWebサイトで公開されています。このスピード感もすごいですね。キーノートとセッションの内容に興味のある方は、ぜひOpenStack FoundationのWebサイトを参照してください。

夕方には、スポンサーのブースがオープンし、「Booth Crawl Happy Hour」が行われました。セッションやブースの様子は改めてレポートしたいと思います。

スポンサーブースの様子

2日目レポートもお楽しみに!

NEC OSS推進センター
NEC OSS推進センター所属。OpenStackが公開された当初から、ネットワークに関係する部分の開発や検証を行ってきている。日本OpenStackユーザー会のボードメンバーとしてイベントや発表多数。さらに沖縄オープンラボのメンバーとしてOpenStackとSDNの融合分野における先端技術の開発・検証を主導。
NEC OSS推進センター
NEC OSS推進センター所属。OpenStackには初期から関わり、技術検証などに従事。日本OpenStackユーザー会で勉強会を企画するなど、コミュニティ活動にも積極的に関与。その功績から2013年にOpenStack Foundationが認定するOpenStack Ambassadorとしてグローバルに活動中。

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