Canonicalが「Ubuntu」のIPOを検討中、ビッグデータの国内市場「年率27%で成長も課題山積」、ほか

2015年5月29日(金)
吉田 行男
こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。
 
今週は、真夏を思わせる暑い日が続きました。梅雨も近づき、カラッとした暑さから、湿気の多い蒸し暑い季節に移っていきそうで、体調管理が難しくなりますが、暑さに負けないように頑張りましょう。
 
今週も注目すべきトピックをまとめましたので、ゆっくりとご覧下さい。

「Ubuntu」のCanonical、IPOを検討中--創業者M・シャトルワース氏インタビュー

OpenStack Summitで行われたインタビューで、「Ubuntu Linux」を開発しているCanonical社の創業者Mark Shuttleworth氏は、同社の新規株式公開を検討していることを明らかにしました。Canonical社は、同氏が個人的に出資して2004年に設立した非公開企業です。公開を検討するようになったのは、OpenStackクラウド部門が黒字に転換したことが要因のようです。今後は、クラウド市場だけではなく、IoT、スマートフォン、Linuxデスクトップなどに対する取り組みも続けていくようです。

パナソニック、Firefox OSテレビ国内発売

パナソニック社は5月22日、Firefox OSを採用したスマート4Kテレビ「ビエラ」3機種を国内発売しました。今年1月に米国ラスベガスで開催された家電見本市である「2015 International CES」で発表し、すでに欧州では発売していましたが、今回、日本国内でも発売することになりました。これらのテレビでは、ウェブアプリのパフォーマンスを発揮できるようHTML5向けに最適化しており、カスタマイズ可能なUI「かんたんホーム」を採用し、お気に入りのチャンネル、アプリ、ウェブサイトを利用できます。また、iOS/Androidスマートフォンとも連携でき、テレビの操作や、スマートフォン内の動画・写真・音楽といったコンテンツを大画面で楽しむことができます。

クラウドを仮想化して操作を共通化するソフト、TISとあくしゅが共同開発

TIS社とあくしゅ社は5月25日、データセンターを仮想化するオープンソースソフト「仮想データセンター」を共同で開発すると発表しました。どのようなクラウド基盤でも、DockerやOpenStackなどのユーザーが指定した共通のAPIを介して操作できるようにすることで、特定のクラウドへの依存を解消し、可搬性の高いデータセンターを実現することが狙いで、2015年度中に何らかの形で成果を公開する予定です。VDCの開発にあたっては、あくしゅが開発しているクラウド運用ソフト「Wakame-vdc」が備える仮想サーバー管理機能や、Wakame-vdcから派生したエッジオーバーレイ型のネットワーク仮想化ソフト「OpenVNet」を取り入れる予定です。

OpenStack Summit May 2015 Vancouver レポート

5月18日から22日までカナダのバンクーバーで開催された「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」では、2日目から「Design Summit」が開催されました。次回リリースの開発内容を議論する「Design Summit」と、運用者の観点からOpenStackの改善点を話し合う「Ops Meetup」を同時に行い、開発者と運用者が交流しやすくするという試みです。
OpenStackでは、いくつかのコアとなるコンポーネントだけでなく、広く「OpenStackのプロジェクト」として認めていくことでエコシステムを大きくしていくという考え方により、非常に多くのプロジェクトを抱えるようになっています。それぞれのプロジェクトごとに大変熱い議論が交わされたようです。
「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」レポート #3(2日目)
(参照記事:http://thinkit.co.jp/story/2015/05/22/6057
「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」レポート #4(デザインサミットセッション)
(参照記事:http://thinkit.co.jp/story/2015/05/23/6061
「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」レポート #5 (Market Place:出展企業ブース)
(参照記事:http://thinkit.co.jp/story/2015/05/24/6065

ビッグデータの国内市場「年率27%で成長も課題山積」――IDC Japan

IDC Japanは、5月21日にビッグデータの分析に使われる情報システムなどのインフラの国内市場が2019年に1,469億円に上るとの見通しを発表しました。14年12月~15年1月に国内企業を対象に実施したアンケートを基に市場規模を推計したもので、14年度の市場規模は対前年度比39.7%増の444億700万円で、分野別では、サーバー機などを含む「インフラ」が同48.9%増の185億7400万円と高い伸びを示しています。課題は、「認知度の向上」、「取り組みの二極化」、「分析スキルを持った人材の不足」としています。
 
編集後記

先週の土曜日(5/23)に名古屋で開催された「オープンソースカンファレンス2015 Nagoya」に参加してきました。皆さんの関心が高いのか、多くの方が参加していました。特に若い参加者が多く、熱気にあふれたイベントになっていたように思います。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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