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Open Infrastructure Summit上海、展示ブースで感じた宴の終わり

2020年1月31日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
Open Infrastructure Summit上海の展示ブースは、OpenStackのお祭り騒ぎの終わりを感じさせる内容となった。

Open Infrastructure Summit上海は文字通り、中国で開催される中国人エンジニア、ビジネスパーソンのためのカンファレンスだ。キーノートやブレークアウトセッションも中国人が行う発表は大部分が中国語で行われ、英語への同時通訳が提供されるというもので、過去のカンファレンスから徐々に中国語の割合が増えていることからもその意図がわかる。しかし全体的に見ると、参加者の数も横這いかやや減少という状態で、イベントとしてのピークは過ぎたという印象を持った。その雰囲気を如実に表したのが、マーケットプレイスと呼ばれる展示ブースだろう。

今回特にそれを感じさせたのは、中国で行われるカンファレンスでは常に存在感を示していたHuaweiの退潮ぶりだ。

今回のスポンサーの一覧。Huaweiは2番目のランク

今回のスポンサーの一覧。Huaweiは2番目のランク

今回のショーケースでは、入り口の直近にIntel/Inspur、99Cloud(九州云)が陣取っており、Huaweiのブースはそのすぐ裏手に設置されていた。Huaweiのブースはテーブルと椅子、そしてモニターが1台だけ設置されているだけで、スタッフも最小限、ノベルティもなしという徹底的にコストと人員を削減した内容となっていた。

Huaweiのブース。徹底的にお金が掛かっていない

Huaweiのブース。徹底的にお金が掛かっていない

中国のカンファレンスでは当たり前のWeChatでQRコードをスキャンさせて情報を取り、引き換えにノベルティを渡すという仕組みもなく、隣接するInspur/Intel、99Cloud、Kunluncloud.comとは桁違いにやる気のなさが目立っていた。

ちなみに2019年6月に同じく上海で開催されたKubeCon/CloudNativeCon ChinaでのHuaweiのブースは勢いのあるものであった。

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース。モニターを見入る参加者

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース。モニターを見入る参加者

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース。ハンズオンも可能

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース。ハンズオンも可能

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース。ミニゴルフに興ずる参加者

2019年6月のKubeConでのHuaweiブース。ミニゴルフに興ずる参加者

KubeCon ChinaにおけるHuaweiの立場は、戦略的スポンサーというプラチナムやダイアモンドというレベルを超えたポジションが与えられており、Huaweiのお金のかけ方が窺い知れるものであった。

KubeConではHuaweiは最上級の戦略的スポンサーだった

KubeConではHuaweiは最上級の戦略的スポンサーだった

Tencent、Alibaba、Intelなどの常連が並んだKubeConに比べて、Alibabaも参加していないなど今回のマーケットプレイスでは中国ベンダーの盛り上がりの欠けようが目立った内容となった。

またいわゆるコミュニティとしてのブースもほとんどなく、オープンソースのカンファレンスでは常に存在感を出しているRed Hatですら、特に展示や説明をすることなくひたすらノベルティを配布することに終始していた。これを見ると、もはやOpenStack Foundationへのお付き合いとしての出展なのかという穿った見方をしてしまいたくなる状況であった。

ひたすらTシャツを配布するRed Hatブース

ひたすらTシャツを配布するRed Hatブース

リーフレットよりもTシャツの種類が多いRed Hatブース

リーフレットよりもTシャツの種類が多いRed Hatブース

IntelはInspurとの共同ブース以外にも自社ブースも展示していたが、今回のノベルティとなる長袖Tシャツは、チケットと引き換えに配布していた。しかし最終日には希望者には取り放題という状態で、ここでも当初予定したほどは参加者が集まらなかったのではないか? という疑問が湧いてしまう結果となった。

Intelのノベルティ配布ブース。Tシャツはアメリカ製よりも高品質

Intelのノベルティ配布ブース。Tシャツはアメリカ製よりも高品質

中国企業以外に展示として参加していたのは、タイのパブリッククラウドベンダーであるNipa.cloud、ARMベースのサーバーを開発するAmpere、StorPool、OVHCloudなどで、どれも最小のスペース(コスト)でブースを展開していた。

タイのNipa.cloud

タイのNipa.cloud

ARMサーバーのAmpere

ARMサーバーのAmpere

分散ストレージのStorPool

分散ストレージのStorPool

OVHcloudはモニターすら置かない最小限の展示

OVHcloudはモニターすら置かない最小限の展示

全般的に、もはや展示ブースで露出してビジネスの獲得やエンジニアのリクルートという結果を期待することは難しいのだろうと思わせる内容の展示ブースとなった。日本からの参加者とのランチタイムでの会話では「この状態ではPTG(Project Team Gathering)とテクニカルセッションの2本立てで、将来的に展示はなくなるかも」ということが囁かれるほどだった。2016年にテキサスのAustinで開かれたOpenStack Summitで7500名を集めたのがピークで、いよいよOpenStackを取り巻く華やかな宴が終わりに入ったということを実感したカンファレンスとなった。

その一方でソフトウェアそのものは確実に進歩し、OpenStack FoundationもOpenStack以外のソフトウェアも取り込みつつ拡大を続けていることは事実であり、カンファレンスのあり方をコミュニティが考える時期に来たとも言えるだろう。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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