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Google Jumpがバーチャル・リアリティに革命をもたらす

2015年6月19日(金)
ReadWrite Japan

グーグルが「Google Jump」を公式に発表した。これはオープンソースによるVRプラットフォームで、16台のカメラアレイにより、360度、3Dの写真や動画の撮影も可能となる予定だ。

同社の製品管理担当副社長でGoogle Cardboardの考案者、クレイ・ベイバーは、先月のGoogle I/Oにて、この新たなプラットフォームを明らかにした。彼はこのように述べている。

Google Jumpは、万里の長城やサンゴ礁など、現実世界の体験を全く新しい方法で保存し、シェアすることを目的としています。実際にその場にいるかのように見たり感じたりできるのです。世界は素晴らしい場所やできごと―グレート・バリア・リーフ、ゴールデン・ゲート・ブリッジ、誕生日パーティー、山の頂上など―に溢れています。

ハードウェアとソフトウェアへの取り組み

Google Jumpには3つの主要なコンポーネントがある。上述の「非常に特殊な配置」となる16台のカメラ・リグ、編集前のビデオを取り込み、VRビデオへと変換するアセンブラ、そしてプレイヤーである。これらはグーグル傘下のYouTube内で生かされる予定だとベイバーは明らかにしている。

Google Cardboardの発案者、クレイ・ベイバーはGoogle Jumpを構成する3つの要素を説明した

Google Cardboardの発案者、クレイ・ベイバーはGoogle Jumpを構成する3つの要素を説明した

アレイ自体についてのアイディアは、その気になれば誰でも作ることができるものだ。ということは、Google Cardboardが2014年に発表された時のように、どの企業もGoogle Jumpのアレイを作成して販売することが可能だということだ。

さらに、グーグルはGoProとの提携を発表しているものの、ユーザーは市販のカメラやビデオカメラを購入して、それらをリグに設置し、360度3Dビデオの撮影を始めることができる。もちろんGoProを使えば最高品質の映像が見られるだろう。販売時期や価格はまだ不明だ。

GoProのGoogle Jumpリグ

GoProのGoogle Jumpリグ

アセンブラは16台のカメラ映像をつなぎ合わせ、1つのVRビデオにする。ベイバーは「コンピューテーショナル・フォトグラフィ、コンピュータ・ビジョン、そして円周に沿ったあらゆる場所から見ているかのようにその場面を再現する、たくさんのコンピュータ」によってこれが出来上がると説明している。

その結果出来上がるのは、単なる円形の動画ではなく、立体的な動画だ。それはつまり、ユーザーがどんなヘッドセットを用いても、完全な3D動画を見せてくれるということである。そして、その動画はYouTubeで視聴可能とされているため、コンテンツと、利用が見込まれるユーザーとの間には、障壁がないに等しい。

Google Jumpは以下の理由から非常に重要な意味を持つ。グーグルはVRコンテンツの不足という重大な問題への解決策をどうにか提示した。ユーザーがVRヘッドセットを購入してくれれば万々歳だが、コンテンツがなければ、ホコリをかぶることになる。Google Jumpがあれば、プロでもアマチュアでも、動画制作者がYouTubeに上げることで、VRコンテンツの不足をすぐに埋めてくれるだろう。

われわれは最初のVRビデオのブームに突入しようとしているところだ。

Google CardboardとGoogle Expeditions

Google Jumpはベイバーのプレゼンテーションで明かされた最重要事項だった。だが、彼はGoogle Cardboardの未来像と、Google Expeditionsという新たな教育構想についても詳細を語っており、非常に興味深い。

2014年発売のGoogle Cardboardが中規模サイズのスマートフォン向けに構築されているため、2015年のモデルはファブレットの流行を考慮し、最大6インチまでの携帯端末がサポートされている。新たなGoogle Cardboardの構造はかなりシンプルにもなっており、磁石リングはボタン一つに置き換えられ、組み立てのプロセスはたった3ステップだ。

新たに改善されたGoogle Cardboardは最大6インチ画面までの端末をサポートしている

新たに改善されたGoogle Cardboardは最大6インチ画面までの端末をサポートしている

新たなGoogle CardboardがiPhoneとの互換性も備えていることも注目すべき点だ。アップルがグーグルに対し、VRへの取り組みと引き換えに、App Storeの門戸を積極的に開いているというわけだ。

一方、Google Expeditionsによって、Google Cardboardのヘッドセットと携帯端末が学校に導入されることになりそうだ。教師が1台のタブレットでコントロールし、仮想現実を用いた授業を行うことが期待されている。

Google Expeditionsが本当に軌道に乗るか否かを判断するのは時期尚早だが、VRによる教育、特にモバイルVRの可能性を概括的に証明するには低コストの方法だと考えられる。

Google Expeditions

Google Expeditions

Google Jumpは今夏に公開され、Google Expeditionsは今年の晩秋より多くの学校で本格的に展開される予定だ。VR革命は間近に迫り、グーグルはその先頭に立っているようだ。

撮影画像提供:Brian P. Rubin for ReadWrite

Brian P. Rubin
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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