日立とGEがIIoTに巨額の投資、第4次産業革命の実現を図る
コネクテッドデバイスの一般販売が当たるか外れるかはわからないが、日立とGeneral Electricは工業IoT(IIoT)に全力を傾けるのにいささかの迷いもない。
Application Resource Center(ARC)によれば、超大手である日立とGEはIIoTにかけており、その市場規模は4年で2250億ドルになるとGEは予測している。2030年までにGE Digitalは60兆ドルを投資する予定だ。
IIoTによって膨大な量のデータが生成され、それを活用することによりさまざまな工業分野で革命が起きるだろう。
参考資料:IIoT(インダストリIoT)から生まれた新たな事業モデル『Equipment-as-a-service』とは
「次の10-15年を考える上で、多くの工業業界をまたぐエンドツーエンドなバリューチェーンを築くための投資を考えている。たとえば、航空・自動車製造業にはまだまだ多くのものをデジタル化しエンドツーエンドなバリューチェーンに統合できる可能性が残されている」と、日立Insightの副社長 グレッグ・キンゼイ氏は言う。
また、キンゼイ氏は、食料や農業といった業界もIIoTによって大きく変わる分野だと捉えている。
「食料業界でも、農場から食卓へ、栽培から食べられるまでのバリューチェーンが存在している。これをIIoTでさらに効率化し、より安全に、そしてより少ない廃棄物を実現するポイントはいくらでもある」と彼は語る。
IIoTは資産管理に新たな観点を提供する
IIoTがもたらす革命の1つに、企業の工業資産管理のやり方が変わるという点が挙げられる。
「IIoTの中心は飛行機や機関車のエンジン、オイル精製機といった工業資産だ」とGE DigitalのIIoTエンジニアリング長 ヴァシュ・ソアージ氏は言う。
「これら資産のパフォーマンスをどう改善するか、どうすればより少ない資金でより活用できるのか? これらの資産の寿命を最大化するために多くのことができる。予測的分析を行うことで、実際に問題が起こる前にそれを把握するということだ」とソアージ氏は述べる。
GEはPredixのクラウドベースPaaSのような、工業資産の生産効率向上を図るためのソフトウェアソリューションに優先して投資している。Wall Street Journalに報道されているように、GEは140億ドルをソフトウェアビジネスに投資する計画だ。
また、ソアージ氏は次のように言う。「計画には3つの大きな要素がある。まずはマシンラーニング。センサーが集めてきたデータを他のデータと組み合わせ何かを起こす。残りの2つはビッグデータとアナリティクスだ。」
日立の歩みに迷いはない
日立のキンゼイ氏も「IIoTは3つの分野で大きな影響を及ぼす」と言っている。具体的には、スマートメンテナンスや生産品質の向上、動的なスケジューリングである。これを大きな革命に繋げるべく、日立は向こう3年間で280億ドルを投資し、顧客が生産性を劇的に向上できるようになる未来を目指すという。
そして13日、日立は新たな画像解析システムを開発したと発表した。同システムは、化学品メーカーのダイセルと共に開発したもので、製造現場における作業員の逸脱動作やライン設備の動作不具合などの予兆を検出し、品質改善や生産性向上を支援するという。日立は、これを自社のIoTプラットフォーム「Lumada」に取り込む計画である。
2017年度には、他の製造業の工場でも適用できるように汎用化して外販するとのことだ。日立は、革命への歩みを着実に進めている。
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文]
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