自動化で運用管理コストを削減する
ITプロセス自動化
ITプロセス自動化とは、IT部門における労働集約的な日常の各種定型作業を自動化し、監視やトラブル・チケットなどのシステム運用管理システムと連携して、一連のワークフローに従い自動実行されるための仕組みです。ITシステムを管理する製品は、システム監視、チケット発行、変更・構成管理の3つに分類されますが、ITプロセス自動化はこれらとは異なる新しいカテゴリーに位置します。
では、具体的にITプロセス自動化にはどのようなものがあるでしょうか?
1)インシデントの自動化
日々発生するアラートに対して、トラブル・シューティングのためのチェック作業を自動化することにより、共通のアラートやインシデントの優先順位を設定して、障害対応のスピード・アップが図られます。
- サーバー・ヘルスチェック
- ネットワーク・ヘルスチェック
- データベース・ヘルスチェック
- 構成チェック
- 接続チェック
- エラー状態をチェックするためのログファイルのスキャンなど
2)反復的な保守作業の自動化
手作業で行われている保守作業を自動化することで、コストと時間を節約することができます。
- ファイル・サーバー/プリント・サーバーのリブート
- パスワードの変更
- ユーザーの作成
- ログ・ファイルのレビュー
- ディスク容量増加動向の予測
- データ・バックアップの実行など
3)IT運用システムの統合
ITシステム監視システムやサービス・デスク製品が導入されていても、統合されずに独立した状態である場合、ITプロセス自動化では、これらの各種管理ツールをシームレスに統合することで、オペレーターの手作業を軽減することができます。
- 監視システムで検出されたアラートを元に、チケットを自動生成
- 障害対応の進ちょくを反映して、チケットを自動更新、クローズ
- チケット・システムでの詳細な監査証跡を自動収集など
HP ソフトウエアによるITプロセスの自動化と導入効果
「HP Operations Orchestration software」は、ITプロセスの自動化支援ツールとして、インシデントや問題、プロビジョニング、変更要求、複雑なワークフローの対応などに要する時間を短縮することができます。HP Operations Orchestration softwareは、ITサービスや基盤プロセスをサポートする従来のサイロ型のITシステムを統合するので、日常的な保守作業だけでなく、複雑な変更調整やワークフローの効率化も促進できます。
また、HP Operations Orchestration softwareは、HPだけでなく、サード・パーティーが提供するさまざまなシステム管理製品との緊密なインテグレーションによって、データセンターの基盤を一元管理して、エンド・ツー・エンドのIT管理プロセスを自動化します。
HP Operations Orchestration softwareの導入効果として、次のような事例があります。
(1)インシデント管理の迅速化。月当たり5000~8000のインシデント対応を8名のスタッフで行っていたものを、年間500万ドル節約するとともに、平均復旧時間(MTTR)も短縮しました。
(2)変更管理プロセス自動化。エンド・ツー・エンドのプロビジョニングに数週間かかっていたものが、30%以上の手順を自動化して、作業も1日以内で完了するようになり、年間約400万ドルを節約しました。
(3)災害復旧とフェイル・オーバー。災害復旧試験を行うにあたり、50人ほどのスタッフで6~7時間かかっていたものが、フェイル・オーバーのプロセスを自動化することで、80%のリソースを削減できました。
(4)仮想化環境の管理とプロビジョニング。これまで100日近くかかっていた仮想データセンターのプロビジョニングが、4時間以内で完了するようになり、ミスも報告されなくなりました。
次ページでは、IT資源の変更・構成管理を自動化するツールと事例を紹介します。