仮想化環境の運用管理ポイント
仮想環境の可用性、性能監視
仮想化環境では、自動的に仮想化ソフトの運用状況を検出することが、サービスの維持に不可欠です。例えば、VMが新規に配備されたり、別の物理サーバーにVMが割り当てられた場合、すぐに検出されて、運用に最新の情報が反映されなければなりません。シームレスなエンド・ツー・エンドのITサービス管理を実現しようとしたら、1画面で物理と仮想環境の情報が確認できることが重要です。
このためには、ITサービスや、サーバー、ハイパーバイザ、VM、ミドルウエア、データベース、アプリケーション、ネットワーク・リンクなどが一元管理され、ITサービスおよび各インフラストラクチャの稼働状況を監視し、障害やパフォーマンス劣化およびSLA(サービス・レベル・アグリーメント)の保証レベルに満たない場合などにアラートで警告される必要があります。
ところが現実には、仮想化ベンダーの専用ツールと従来のシステム管理ツールを、それぞれ個別に使っているのではないでしょうか。仮想化管理の専用ツールでハイパーバイザやVMを監視し、それ以外の物理サーバーやアプリケーションは従来のシステム管理ツールで監視することになるでしょう。
【HP Operations Manager software】
HP Operations Manager softwareは、仮想化環境の情報を監視対象に含めることによって、サーバー、ネットワークおよびアプリケーションの仮想および物理環境双方に対する統合イベントおよびパフォーマンス管理を一元的に行うことができます。日常の仮想システム監視にOperations Managerを利用するだけで、システム監視業務の手間を軽減できます。
【HP Business Availability Center software】
このほか、HP Business Availability Center softwareは、ITサービスのユーザー操作に対する応答性測定や仮想化アプリケーションに対するパフォーマンス管理に対応します。
仮想管理の自動化
自動化ツールの導入により、IT運用者はより多くの作業を効率的に処理できるようになります。例えば、監視システムでサーバー性能問題のアラームが検出された場合、自動化ワークフローによってこれらの情報がサービス・デスクに登録されるような手順が確立するだけでも、サーバー管理者の早期障害切り分けに役立つことでしょう。
また、図2-2の例のように、プロビジョニング作業手順において、任意のオペレーティング・システムや仮想化ソフトをインストールし、ネットワーク接続やVMの設定、カスタマイズなどを行う場合、自動化によって、これまで数時間要していた作業工数が数分で完了するようになるなど、目に見える効果が確認できます。
HPでは、仮想化環境の自動化に関連して、次の各製品を提供しています。
【HP Operations Orchestration software】
手順書レベルの作業実行を自動化します。
- 物理および仮想サーバー環境に対するワークフロー・ベースの作業の自動実行
- 定型保守作業の自動化
- インシデントと変更管理手順の自動化
- ITIL手順の適用と監査証跡の保持
【HP Server Automation software】
サーバー管理を自動化します。
- 物理および仮想サーバーのライフサイクル管理と共通IT作業の自動化
- プロアクティブなサーバー・コンプライアンス管理
- 仮想スプロールをコントロールする、アプリケーションのリリース管理
【HP Network Automation software】
ネットワーク管理を自動化します。
- すべての物理/仮想ネットワーク
- デバイスに対する構成管理タスクとコンプライアンス
- チェックの自動化
なお、自動化については、第1回「自動化で運用管理コストを削減する」もご参照ください。
次ページでは、データ保護とIT資産管理の詳細を解説するとともに、それぞれに対応した運用管理ソフトの例を紹介します。