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ITサービス管理とコスト最適化

2009年12月16日(水)
星野 敏彦

ITサービス管理はコスト削減からコスト最適化へ

現在の経済事情では、コスト削減を主な目的として、IT支出のカットに焦点が当てられているのはやむを得ないと言えます。しかし他方では、ITは現在のビジネスに不可欠なので、少なくとも同業他社と同等レベルでITを活用し、企業競争力が損なわれないようにしなければなりません。単なる人員カットやプロジェクト停止といった安易なコスト削減は、なるべく避けるべきです。

何が必要で、何が優先順位が高いのかを見極め、ITコストなどを適正に算出する「仕分け」が必要となります。この仕組みが、“IT運用コスト最適化”です。

運用コスト最適化には、次の各視点を念頭に置く必要があります。

  • どのように、ITがビジネスに役立っているか。
  • 企業内でのIT導入の比重が増す中、どのようにコストを節約したらよいか。
  • ITのサービス・レベルを維持しながら、どのように効率性を高めたらよいか。
  • 既存の管理ツールと運用手順をどのように統合すれば運用コストを削減できるか。

結局のところ、上記の視点は「ITをビジネスと整合させる」という目標に収束していくと言えます。しかし、現実には「ITに関する必要な財務情報を得ること」も「ITの有効性や費用効率がどの程度かを示すこと」も、いずれも難しい状態です。

IT運用においてこれらの課題を解決するために期待できるコスト最適化の手法には、次の4つがあります。

(1)自動化
(2)仮想化管理
(3)IT財務管理
(4)管理ツールのコンソリデーション(集約化)

上記のうち、(1)自動化と(2)仮想化管理については、これまで2回に分けてそれぞれを取り上げたので、今回は、(3)IT財務管理と(4)管理ツールのコンソリデーションについて説明します。

なお、(3)IT財務管理は、ITサービス管理のベスト・プラクティスであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)の最新バージョン「ITIL v3」においても「サービス・デリバリー」の中で規定されています。

IT財務管理の課題

IT財務管理とは、IT支出の意思決定にあたり、リソース全体への“見える化”が実現されており、かつ統制がとれていることを指します。IT財務管理の目標は、可能な限り低いコストで、ビジネス要件を満たしながら、ITリソースの価値を最大化することに尽きます。

この目標を達成するためには、まず、ITコストの「透明性」が図られなければなりません。次に、ITコストとリソースの容量や使用率について「分析」できることも必要です。そして、IT投資計画や今後のIT傾向を予測できるようになり、IT支出の説明責任を果たせるようになる、といったガバナンス向上のための「統制」がなされることも重要です。

業務の世界では、ERP(統合業務パッケージ)の普及によって購買、在庫、販売、売上などの情報が一元管理されるにつれ、「売れ筋製品が何か」、「製品の費用効果はどうか」などを把握できるようになりました。しかし、依然として、ITサービス自体の財務情報を把握することは困難です。

例えば、CIO(最高情報責任者)にとっては、部署ごとのITサービスのコスト配分を正確に行う判断は大変難しいと言えるでしょう。プロジェクト・マネージャーにとっては、時間通り/予算通りにプロジェクトを終わらせることや、サービス・デリバリーのコストを管理することが難しいでしょう。財務部門からみても、IT支出/費用の帰属を正確に判断することは難問です。

このようなIT財務管理の課題が生じる理由として、次の3つが考えられます。

(1)整合性がない大量のデータが分散している
(2)財務分析、コスト計算、IT計画、予算管理、サービス料金計算、ガバナンスなどのITサービスの手順が継続的でなく、互いに連携していない
(3)IT財務管理のダッシュボードがない

こうした課題を解決する仕組みが、IT財務管理となります。

次ページからは、IT財務管理の詳細について解説します。管理モデルを示すとともに、細かな手法や具体的なツールについて紹介します。

日本ヒューレット・パッカード ビジネス・テクノロジ・ソリューションズ事業本部
国内システムインテグレータおよび外資系通信会社でエンジニア、マーケティングを経て、2001年日本ヒューレット・パッカード株式会社入社。2007年、米HPによるOpsware買収に伴い、データセンター自動化製品のマーケティング活動を担当。CISSP。
http://twitter.com/momotoshi/

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