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動き出したBlackBerry、ニッチなIoT戦略で「復活」のチャンスを掴めるか

2016年7月9日(土)
ReadWrite Japan

ニッチな分野を追求し続ける選択は悪くない

正直な話、ベンダーあるいはブロガーとしてBlackBerryのことを最後に考えたのは何年も前のことだ。彼らの携帯を使いたいとも思わず、かつて力のあったこの企業について記事を書く気すら出なかった。

そのため、ラリー・ディグナン氏の「BlackBerry Radarが巻き返しの材料になる」という記事を読んだ時、驚きはしたものの、興味をそそられた。ディグナン氏は賢明な男だ。そんな彼がなぜ終わった会社の遺物について記事を書くのだろうか、と。

『BlackBerry Radar』は、「エンドツーエンドのIoTをベースにした、トレーラーやコンテナの位置情報をモニタリングするシステムで、タイムリーかつ即座に使えるデータを安全なオンラインポータルを通じて運輸の管理担当に提供するもの」とのことである。一言で言うと、運輸業界のニッチをついたものだということだ。BlackBerryのCEO、ジョン・チェン氏は、「アメリカだけでも300万から1億2,000万のトレーラーが稼働している」とあっさり言うものの、個人的には(そのうち14-20%に遠隔モニタリングサービスが搭載されたとしても)BlackBerryにとって投資する価値のあるものとは思えない。

BlackBerryが起死回生する余地

だがしかし、『BlackBerry Radar』自体がそこまで興味深いものというわけでもない。どちらかといえば、Radarが、BlackBerryが数十年提唱し続けてきたシステムの重要性を連想させることのほうが興味深いのだ。

たとえば、チェン氏は、長年取り扱ってきた組み込み型リアルタイムOSの『QNX』がBlackBerryのコネクテッドカープラットフォームの重要な位置を占めることについてこう語る。

「我々は、車向けエンドツーエンドソフトウェアのアップデートを遠隔で行うためのシステムを構築、運用してきた。今日の車で使用されているコード量は、6,000万〜1億行ほどになっており、この技術は自動車OEMに欠かせないものとなっている。我々のソリューションは、自動車業界に積極的なアップデートとメンテナンスを行う手段を提供し、整備工場に持っていく時間の削減に一役買っている。そして同様に、100カ国以上で5,000万台も携帯のアップデートが日々行われている」

パワフルで高度なIoT運用にこういう技術が必要なのだとしたら、その重要性についてこれ以上の説明は必要ないだろう。

私は2年前、IoTの標準化が進んでいないことからオープンソースが急を要するものになるという記事を書いた。そこでいったようなオープンソースへの傾倒は起こっているものの、開発者や企業がとりあえず手をつけられるプラットフォームを必要としているのも事実だ。そこにBlackBerryが食い込む余地がある。

企業は、これまでもWiFiを使ったリアルタイムでのロケーション特定や、バーコード、モバイル、GPS絡みの問題を解決するためのシステムを強く求め続けていた。BlackBerryの長年『QNX』を使ったスマートフォンネットワークを扱ってきたという経験は他社に対する武器となる。

BlackBerryが「物流トラッキング」という手付かずの分野に取り組むのは正しい選択であろう。そして、同様のシステムが全く違ったIoTプロジェクトで活用できない理由はない。

30日、新たなAndroid端末3機種のリリースを準備していると明らかにしたBlackBerry。開発コードネームはそれぞれ「Neon」、「Argon」および「Mercury」であり、まず2016年7月から8月にかけてNeon、次いで同年10月頃にArgon、その後2017年第1四半期中にMercuryが登場する見込みだという。続けて現地時間5日、モバイルOS「BlackBerry 10」搭載のスマートフォン「BlackBerry Classic」の製造を終了すると発表した。OSそのもののアップデートは継続するとのことだ。

動き出したBlackBerry、その中でもニッチなIoT戦略は「BlackBerry復活」の兆しを生むかもしれない。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文]

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