直前対策:午前Ⅰ/午前Ⅱ試験対策と受験の心構え

2017年4月12日(水)
玉木 学

はじめに

いよいよ、本連載も最終回です。今回は16日に迫った春の情報処理技術者試験の直前対策として、午前Ⅱ試験対策の出題内容からコンピュータシステムや開発技術、およびセキュリティと午前Ⅰ試験対策(データベース技術を除く)について紹介します。また、午前Ⅰ試験免除の方には本試験に向けた心構えを紹介します。

午前Ⅰ/午前Ⅱ試験に共通の出題内容(データベース技術を除く)

ここでは、過去3年間に午前試験で出題されたキーワードをまとめました。以下の語句を理解できているかをチェックし、理解できていない語句はネットや参考書などで調べて覚えましょう。私の場合は、覚えていない語句を繰り返し見て書いて記憶する作戦を採りました。最初は上から下へ、次は下から上へと順番を変えながらとにかく反復して覚えました。

午前Ⅰ/午前Ⅱ試験から、データベース技術を除いた共通の出題内容を第1回の問題分類で紹介します。これらの用語の意味を理解できているかをチェックしてください。

●コンピュータ構成要素

  • 外部割込み、多重割込み
  • プロセッサの高速化技術
    スーパスカラ、ベクトル処理方式、VLIW、スーパパイプライン
  • 並列処理方式
    SISD、SIMD、MISD、MIMD

●システム構成要素

  • クラスタリング
    シェアードエブリシング、アクティブ-スタンバイ、シェアードナッシング
  • 仮想サーバ
    ライブマイグレーション、ストレージ自動階層化、マルチテナント、リソースオンデマンド
  • RAID
    RAID0~6、ディスクアットワンス、ディスクキャッシュ、ディスクストライピング、ディスクミラーリング
  • システムを利用できない確率
  • 信頼性設計
    フェールセーフ、フェールソフト、フールプルーフ、フォールトアボイダンス
  • キャパシティプランニング
    スケールアウト、スケールアップ
  • 信頼性指標
    MTBF、MTTR

●セキュリティ

  • EDoS
  • プライマリDNSサーバの設定
  • 共通鍵暗号方式
    AES、ElGamal暗号、RSA、楕円曲線暗号
  • WAF
    TLS、ベネトレーションテスト、SSLアクセラレータ、情報セキュリティ対策ベンチマーク
  • Webアプリケーションのセッションが乗っ取られた場合の対策
    パスワード認証、通信の暗号化、セッションID
  • NISTの定義におけるクラウドサービスモデル
    HaaS/IaaS/PaaS/SaaSで実施できること/できないこと
  • JIS Q 31000-2010
    残留リスク、発見リスク、投機的リスク
  • ディレクトリトラバーサル攻撃
    OSコマンドインジェクション、SQLインジェクション、シングルサインオン
  • 公衆無線LANサービス
    SSID、サプリカント、プライベートIPアドレス
  • 認証局、ディジタル証明書
    アクセスログ、Whoisデータベース、CP
  • Webアプリケーションの攻撃と対策
    SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング、クロスサイトリクエストフォージェリ、セッションハイジャック
  • ディジタルフォレンジックス
    メールフィルタリング、不正アクセス対策、補助記憶装置の廃棄時対策

●システム開発技術

  • UML
    シーケンス図、アクティビティ図、コミュニケーション図、ユースケース図
  • ソフトウェアの品質特性
    保守性、使用性、信頼性、効率性、移植性、機能性
  • モジュールの結合度
    データ結合、外部結合、共通結合、スタンプ結合
  • アーキテクチャパターン
    ブローカ、マイクロカーネル、パイプとフィルタ、MVC

●ソフトウェア開発管理技術

  • ソフトウェア開発技術
    マッシュアップ、リバースエンジニアリング、モジュール化、クラスライブラリ
  • XPのプラクティス
    週40時間労働、ソースコードの共同所有、継続的インテグレーション、ペアプログラミング
  • Webアプリケーション開発
    マッシュアップ、プラグイン、Ajax、ハイパーリンク

午前Ⅰ試験のみ出題される問題(テクノロジ系)

テクノロジ系の出題に関する用語です。普段接することが少ない用語も多いかと思いますが、こちらも意味を理解するとともに考え方も確認しましょう。

●基礎理論

  • n進数の表現:10進数の値をnで割り、余りがいくつかを求める
  • n進数で表現すると無限小数になる10進小数:分母がnのべき乗になっていなければ無限小数
  • M/M/1の待ち行列モデルにおける平均待ち時間:
  • 不良品を含むロットが合格する確率
  • 符号化してビット列にする方法、復号可能、最短
  • 有限オートマトン、状態遷移表

●アルゴリズムとプログラミング

  • 流れ図の理解
    デッドロック、繰返し処理、無限ループ
  • ハッシュ表、ハッシュ関数、ハッシュ値の衝突
    キー値の差がハッシュ表の大きさと同じ場合は衝突が発生する

●ソフトウェア

  • スケジューリング
    ラウンドロビン方式、プリエンプティブ方式、イベントドリブン方式、処理時間順方式
  • 実記憶管理
    ファーストフィット方式、ベストフィット方式、メモリコンパクション
  • 仮想記憶管理
    LRUアルゴリズム、インデックス方式、ページフォールト、ガベージコレクション、ページング、フラグメンテーション

●ハードウェア

  • メモリと電気・電子回路
    DRAM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、NAND型、NOR型、フリップフロップ
  • 回路図
    AND回路、OR回路、NOT回路

●ヒューマンインタフェース

  • 利用者の満足度を評価するための方法
    インタビュー法、ヒューリスティック評価、ユーザビリティテスト、ログデータ分析法

●マルチメディア

  • マルチメディア応用
    AR、VR

●ネットワーク

  • ネットワーク接続装置とOSI参照モデル
    スイッチングハブ、レイア2スイッチ、ゲートウェイ、ブリッジ、リピータ、ルータ
  • メディアアクセス制御
    CSMA/CD方式、トークンパッシング、衝突
  • ビット誤り率=1÷(伝送速度×誤りの発生間隔)
  • ネットワークプロトコル
    SNMP、NNTP、NTP、SMTP

午前Ⅰ試験のみ出題される問題(マネジメント系)

マネジメント系の出題に関する用語です。データベーススペシャリストに関係する用語も多いため、ぜひ理解しておきましょう。

●プロジェクトマネジメント

  • コスト見積りと工数見積りの関係
  • コスト見積技法
    COCOMOモデル、ファンクションポイント法
  • PERT図による所要日数計算
    クリティカルパス、クラッシング
  • EVM
    CV(コスト差異)、SV(スケジュール差異)の値とスケジュールの状況
  • リスク対応戦略
    回避、転嫁、軽減、需要

●サービスマネジメント

  • サービスマネジメントプロセス
    サービスレベル管理、可用性管理、インシデント管理、ITサービス財務管理、構成管理、リソース管理、ITサービス継続性管理
  • KPI
    可用性管理、信頼性管理、ITサービス継続性管理、キャパシティ管理、サービスレベル管理
  • バックアップ/リカバリ
    バックアップに必要な媒体量と所要時間、および復旧時間

●システム監査

  • 監査の目的
    信頼性、安全性、効率性、有効性、戦略性
  • システム監査の手順と手続き
    監査計画、予備調査、本調査、監査証拠、監査の報告
  • システム監査技法
    インプットコントロール、エディットバリデーションチェック、アクセスコントロール、プロセスコントロール、プルーフリスト
  • 内部統制
    業務部門と管理部門の業務分担

午前Ⅰ試験のみ出題される問題(ストラテジ系)

ストラテジ系の出題に関する用語です。あまりデータベーススペシャリストとは関係のないものも多いですが、高度人材としては理解しておく必要がある内容です。

●システム戦略

  • エンタープライズアーキテクチャ(EA)
    ビジネスアーキテクチャ(BA)、データアーキテクチャ(BA)、アプリケーションアーキテクチャ(AA)、テクノロジアーキテクチャ(TA)、UML、ERD、DFD
  • IT投資評価
    事前評価、中間評価、事後評価
  • 業務プロセス可視化手法
    UML、ERモデル、DFD、フローチャート

●システム企画

  • システム化構想の立案
    BABOK、SQuBOK、SWEBOK、PMBOK
  • システム化計画
    SOA、BPR、BPM、SLA
  • 投資対効果分析
    IT投資ポートフォリオ、ROI(投資利益率)、NPV(正味投資価値)、投資回収期間、IRR(内部収益率)
  • 要件定義手法
    UML、クラス図、コラボレーション図、ステートチャート図、ユースケース図

●経営戦略マネジメント

  • 競争戦略
    チャレンジャ戦略、ニッチ戦略、フォロワ戦略、リーダ戦略
  • 事業戦略
    バリューチェーン(購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスの5つの主活動と4つの支援活動)
    ファイブフォース分析(新規参入の脅威、サプライヤの交渉力、買い手の交渉力、代替商品の脅威、競争企業)
    アンゾフの成長マトリクス(市場新党、市場開発、製品開発、多角化の4象限)
    プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)(花形、金のなる木、問題児、負け犬)
  • マーケティング理論
    4P(Product、Price、Place、Promotion)
    4C(Customer Value、Customer Cost、Convenience、Communication)
  • マーケティング戦略
    コモディティ化、プロダクトイノベーション、破壊的イノベーション、ブルーオーシャン戦略

●技術戦略マネジメント

  • 技術開発戦略
    プロセスイノベーション、デファクトスタンダード、プロダクトイノベーション、ファブレス
  • 価値創出の三要素
    技術のSカーブ、ハイプサイクル、規模の経済性、バスタブ曲線

●ビジネスインダストリ

  • EDI
    情報伝達規約、情報表現規約、業務運用規約、取引基本規約

●企業活動

  • ヒューマンリソースマネジメント
    ワークライフバランス、ダイバーシティマネジメント、目標マネジメント、労使による協調マネジメント
  • 経営組織
    職能部門別組織、事業部制組織、マトリックス組織、プロジェクト組織
  • 検査手法
    OC(Operating Characteristic)曲線、バスタブ曲線、ポアソン分布、ワイプル分布
  • 財務諸表の分析
    ROI(投資利益率)、EVA(経済的付加価値)、IRR(内部利益率)、NPV(正味現在価値)

●法務

  • 知的財産権
    著作権
  • 個人情報保護法
    個人情報の条件
  • 労働関連の法規
    労働者派遣法

本試験受験の心得

前日までの準備7か条

  1. 写真は写真館で撮るべし
  2. 写真の糊付けも済ませておくべし
  3. 当日の移動経路をチェックすべし
  4. マークシートは鉛筆を使うべし
  5. 机に置ける時計を準備すべし
  6. 持ち物は全て揃えておくべし
  7. 深夜0時までに眠るべし

1. 写真は写真館で撮るべし
以前、写真を撮り忘れて当日朝に慌てて撮ったところ、残念な顔になったことがありました。受験中も写真が目に入ると憂鬱になり、気分が乗らなくなってしまいました。結果は……言うまでもありません。

3. 当日の移動経路をチェックすべし
少なくとも試験開始20分前には試験会場に到着するように出発しましょう。到着時間が開始直前になると、気持ちに焦りがある状態で受験することになります。万一に備えて、代替の経路も確認しておきましょう。

4. マークシートは鉛筆を使うべし
シャープペンシルより鉛筆のほうがマークシートをすばやく塗りつぶせます。

5. 机に置ける時計を準備すべし
携帯電話やスマートフォン、タブレットは机の上に置けません。腕時計を持っていない方は目覚まし時計を持っていきましょう。

6. 持ち物は全て揃えておくべし
「忘れ物があっても会場近くのコンビニで買えば良い」と考える方がいらっしゃるかもしれません。しかし、他にも同じ考えの方が大勢いるせいか、会場近くのコンビニで筆記用具が売り切れていたことがありました。試験官に筆記用具を借りようとした人を見たこともありますが、断られていました。

7. 深夜0時までに眠るべし
試験当日の朝に寝過ごさないことと、頭がすっきりした状態で受験するためです。

当日受験の心得7か条

  1. 身支度を整えてから出発すべし
  2. 昼食を持参すべし
  3. 試験開始までは悪あがきをすべし
  4. 試験開始前にスマホやタブレットの電源を切り、カバンに入れるべし
  5. 時計を机の上に置くべし
  6. 確実に解ける問題から解き、考える問題は後回しにすべし
  7. 受験番号と氏名、解答欄を確認すべし

2. 昼食を持参すべし
「前日の準備6」と同じですが、会場近くのコンビニでは弁当などが売り切れている可能性もあります。また、試験会場の近くの食事処が休みの場合も少なくありません。

3. 試験開始までは悪あがきをすべし
本番試験で、直前に確認した内容が出ることがあります。幸運は意外なところからやってきます。

4. 試験開始前にスマホやタブレットの電源を切り、カバンに入れるべし
これは絶対に気を付けてください。過去に、隣の席の受験者が携帯電話を鳴らしたことがありました。もちろんその受験者は失格・退場です。どんなに許しを願い出てもムダです。私も許しを請う姿を数分間見入ってしまい、貴重な受験時間を失ってしまいました(その試験は合格したから良かったのですが)。

5. 時計を机の上に置くべし
試験会場に時計がない場合が多いため、試験開始前に時計を机上に置きましょう。

6. 確実に解ける問題から解き、考える問題は後回しにすべし
問題を1問目から解く必要はありません。あくまでも目標は60点です。確実に正解できる問題から解き、難しい問題は後からじっくり解きましょう。

7. 受験番号と氏名、解答欄を確認すべし
とても重要です。試験終了前に必ず確認しましょう。特に午前試験のマークシートについては、問題と解答がずれていないかを確認しましょう。

おわりに

これで、全6回の連載も終了となります。少しは皆様の試験対策に役立ったでしょうか。また、機会があれば、ぜひ皆様に役立つ情報をお届けできればと思います。皆様の試験合格を祈念しております。ご愛読いただき、ありがとうございました。

NECマネジメントパートナー株式会社 人材開発サービス事業部
1993年日本電気株式会社入社。教育部門に所属し、データベース領域の教育(特にOracleデータベース)を担当。現在は情報システムの開発技術教育を担当し、要件定義や設計担当者を育成している。受講者が主体的に考え、楽しく学べる研修の提供により、高い評価をいただいている。

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