性能比較!WEBrick vs. Apache
WEBrickの用途のまとめ
このように性能を見ると、WEBrickは既存のHTTPサーバーに劣ってしまいます。しかし、性能より手軽さを要求されるシーンでは、WEBrickの方が向いているといえるでしょう。
例えば、Ruby on Railsでは開発環境向けのサーバーとして、WEBrickを使ったHTTPサーバーが用意されています。開発の場合は、大規模なアクセスよりも、起動や終了の手軽さの方が重要なため、WEBrickを使うには最適と言えます。
もっと柔軟に、もっと楽しくWEBrickを使う
さて4回にわたってWEBrickを使ったHTTPサーバーやプロキシの作り方を解説してきました。
実は、RubyではWEBrick以外にもHTTPサーバー用のライブラリが複数リリースされています。速度を重視するのであれば、Ruby on Railsのサーバーとして実績の多いmongrelや、HTTPサーバーに限らず汎用的なネットワークライブラリのEventMachineを使う方法があります。この2つのライブラリは、速度が必要な部分だけがC言語で書かれています。そのため、C言語による速度と、Rubyによる柔軟性が両立していると言えます。
HTTPサーバーそのものではありませんが、既存のHTTPサーバーへRubyで書かれたプログラムを組み込むためのインタフェースライブラリとして、Rackというものもあります。
先ほど紹介したWEBrick、mongrelなどはそれぞれAPIが違うため、それぞれのHTTPサーバー用にアプリケーションを書く必要があります。しかし、RackのAPIを使えば、対応するHTTPサーバーでは、プログラムの変更なしに動かすことが可能です。
Railsが出てからは、WEBrickは開発サーバーとして有名になりましたが、それ以外の多い使われ方は、自作のプロキシサーバーとしてだと思われます。
「第3回:プロキシサーバーを作る!」で作ったような、データ差し替えプロキシ以外にも、携帯電話向けのHTML変換/圧縮など実用的なものを簡単に作ることができます。ジョークツールとしては、ページの表現を大阪弁に変換するようなプロキシも手軽に作ることができます。
また、るびま 第2号では、HTMLの一部を非表示にするプロキシの作り方が公開されています。
WEBrickは外部に公開するアプリケーションサーバーとしてはちょっと非力ですが、柔軟性を生かして自分用のツールを作ってみてはいかが?