性能比較!WEBrick vs. Apache
Apache 2.2との性能比較
さて、ここからはWEBrickの速度性能について検証してみましょう。一般的なHTTPサーバーはC言語などで書かれていますが、WEBrickはRubyで書かれています。またWEBrickは速度よりもコードのきれいさに重点が置かれていると言われていますので、ユーザーとしてはやはり速度が気になります。
速度については、実際に計測してみるのが一番です。今回の比較対象はApache HTTP サーバー 2.2です。性能計測には、Apacheに標準添付しているApacheBench(ab)を使います。
2種類のファイルを使って性能を計測してみます。画像を想定した500KBのファイルと、ムービーを想定した10MBのファイルで計測します。また、同時接続のあるなしでも計測しています。速度計測の条件を、図2の「速度計測の条件」にまとめています。
なお、どの場合でも転送容量は100MBです。同じ転送量ですが、接続の方式によって所要時間などは変わってきます。
性能比較の結果
図2の「速度計測の結果」を見てみるとおもしろい傾向があります。
まず1つは1秒あたりの処理回数です。Apacheが数百から千回の処理をこなすところ、WEBrickでは数十回にとどまっています。同時接続数が1の場合はApacheに対してWEBrickが1/10ぐらいの性能になっています。Apacheが同時接続数を増やすと1秒あたりの処理回数が増えますが、WEBrickでは逆に減っています。この傾向は10MBのファイルでも同じです。
この1秒あたりの処理回数は、ファイルの大きさに関係なくおおよそ1/10になっています。このことからファイルの配信性能はApacheの1/10と言えます。Apacheに比べると遅いのですが、Apacheの性能の1/10を使うサイトというのは、相当大きなサイトです。この値だけを見るとWEBrickの性能もまんざらではないように見えます。
しかし、WEBrickでは、同時に接続があるとどんどん遅くなってしまいます。通常、サーバーを公開すると同時に多数のアクセスが発生します。たとえ1人からのアクセスでも、画像などを取得するため、同時に4本程度の接続がなされます。このようなケースはWEBrickは苦手ですから、WEBrickは公開サーバーで利用するには向いているとは言えません。
こうした特徴のあるWEBrickですが、最後にどのような用途に適しているのか考えていきましょう。