TomcatにWebアプリケーションを配備する
Tomcatの構造
前回まででTomcatのインストールが完了しました。今回はTomcatに新しいWebアプリケーションの配備を行います。Webアプリケーション配備の前に、Tomcatのディレクトリ構成を見てみましょう。
Tomcatのディレクトリ構成
今回利用しているTomcat 5.5のインストールディレクトリは以下のような構成になっています。Tomcatのそれぞれのディレクトリの役割は以下の通りです。
bin | Tomcatの起動や停止に使うスクリプトが入っています。 |
common | このクラスに入っているものはすべてのWebアプリケーションからアクセス可能です。 |
サブディレクトリのclassesには展開済みのクラスが、libディレクトリにはJARファイルが入ります。servlet-api.jarやjsp-api.jarもここに入っています。 | |
conf | 各種設定ファイル(サーバ設定ファイル、ユーザリストなど)が入っています。 |
logs | サーバに対して出されたリクエストのログ、標準出力、標準エラーメッセ−ジのログ、Tomcat同梱のサンプルアプリケーションのログファイルもここに格納されます。 |
server | Catalina(サーブレットAPIの実装エンジン)だけが使用できるクラスがサブディレクトリのclassesとlibに入っています。これにはCGIや正規表現をサポートするためのライブラリや、Webサーバとの連携用のコネクタなどが含まれます。 |
shared | Webアプリケーションからアクセスできるクラスが入ります。commonと違い、Catalinaはアクセスできません。 |
temp | 一時的なファイルの保存先です。 |
webapps | Webアプリケーションを配置するデフォルトのディレクトリです。Tomcatのサンプルアプリケーションなどもここに入っています。 |
work | 一時ファイル、プリコンパイルされたJSPページ、その他の中間ファイルが入ります。 |
Tomcatの設定ファイル
Tomcatの設定はconfディレクトリにあるxmlファイルを編集して行います。デフォルトでは4つのxmlファイルがあり、それぞれの設定内容は以下のようになっています。
「server.xml」はTomcatのメインの設定ファイルです。Tomcatの使用ポートやWebアプリケーションのための宣言などもここに記述されています。
「server-minimal.xml」は独自のserver.xmlを作成するためのテンプレートです。コメントなどが削除されており、必要最小限の情報しか記載されていません。サーバの設定をカスタマイズする場合は、このファイルを編集してserver.xmlという名前に変更するのがもっと も簡単な方法です。
「tomcat-users.xml」はユーザとパスワード、およびその権限情報を記述します。
「web.xml」はデフォルトの配備記述子(deployment descriptor)ファイルです。Tomcatで実行されているすべてのアプリケーションから参照されます。すべてのアプリケーションに適用できるサーブレットの基本定義とMIMEマッピングを記述しています。独自のweb.xmlを持っていないWebアプリケーションのための配備記述子としても使 われます。
Webアプリケーションのアーキテクチャ
Webアプリケーションはhtmlや画像ファイル、JSPファイル、Javaクラスファイル、設定ファイルなど複数のファイルの集合です。サーブレットの仕様には、これらのファイルを格納する標準のディレクトリ構成が定義されています。Webアプリケーションの標準の構成は次のように定められてい ます。
相対パス「/」は、Webアプリケーションのルートディレクトリです。パブリックにアクセス可能なファイルはすべてこのディレクトリに置かれます(HTML、JSP、GIFファイルなど)。
「/WEB-INF」は、パブリックにアクセスできないファイルが置かれます(web.xmlなど)。
「/WEB-INF/classes」にはWebアプリケーションのクラスファイルがすべて個々に置かれます。
「/WEB-INF/lib」はクラスファイルをJAR形式でアーカイブしたファイルを置くことができます。
サーブレットの仕様によれば、Webアプリケーションは配備記述子と呼ばれるファイルを持っていなければなりません。このファイルはWebアプリケーションのWEB-INFディレクトリに置かれます。web.xmlにはWebアプリケーションの設定オプションが記述されます。