連載 :
  ReadWrite Japan

IoTで大きく改善する無駄のない生産工程 (Part1)

2017年4月12日(水)
ReadWrite Japan

生産業に携わる企業は製品や生産プロセスの無駄を省くことでオペレーションの効率アップを追い求めてきた。テクノロジーのトレンドであるIoTにより大きな改善が見込めるかもしれない。

無駄のない生産工程とは生産システムの無駄を省くシステマチックな方法であり、価値を生むもの以外全てを削ぎ落とすという考え方のもとに成り立っている。主に日本の生産業から派生したマネジメントの考え方であり、その例であるトヨタの生産システムは無駄を省くことで顧客に提供する価値全体を高めることが目的である。

この生産システムでは無駄を特定し、それを削減するための一連のツールがある。無駄が削減されれば品質が向上すると同時に生産コスト削減や時間の短縮も可能になる。目指す究極のゴールは必要なものを必要なところに必要な時に必要な分だけ届け、無駄を最低限に抑えた柔軟性のある完璧なワークフローを実現することだ。

IoTではデバイスやコンシューマ製品、車や企業資産といった物理的なものと他の”モノ”がインターネットを介してリンクされる。これらスマートオブジェクトには、様々なデータを収集し、受けた命令に応えるための電子部品やセンサー、アクチュエータ、ソフトウェア、ネットワーク通信機能が組み込まれている。

IoTによりオブジェクトは既存のネットワークインフラを通じてやり取りできる。このコネクティビティにより物理的なオブジェクトとデジタルシステムがより直接的にリンクすることが可能となる。それにより生産性や効率の改善、カスタマーサービスの向上が見込めるのだ。

IoTの影響範囲は非常に大きなものだ。リサーチ企業のGartnerは世界で使われているコネクテッドデバイスの数は2016年で64億台と、2015年から30%増加しており、毎日550万台のデバイスが新たに追加されていると見積もっている。2020年にはトータルで208億台まで増加するとの見通しだ。

エンタープライズ業界において、Gartnerは2種類のコネクテッドデバイスが存在すると考えている。一つはさまざまな業界で使われている汎用デバイス、もう一つは特定の業界だけで使われているデバイスだ。汎用デバイスの例としては、電球やビル管理システムなどが挙げられる。

もう一つの業界特有のデバイスとは、病院で使用される特殊なデバイスや、コンテナ船で使われるトラッキングデバイスなどだ。コネクテッドデバイスのなかでも、もっとも大きなカテゴリーだが、利用が増えている汎用デバイスによって急速に取って代わられているとGartnerは言っている。

次のレベルの無駄のない生産へ

IoTベースの生産ソリューションの構築についていうと、IoTはあらゆる可能性を提供している。購入後の製品のパフォーマンスのモニタリングによる適切なメンテナンスと顧客満足度の向上、サプライチェーンと物流配送の効率最適化などだ。生産者にフィードバックされる製品の利用状況は、設計や生産の改善に生かすこともできる。

こうして行き交うデータが新しいオートメーション技術と組み合わされれば、データ分析の進歩により製造業者は夢の”スマートファクトリー”を実現できる。

無駄のない生産工程はIoTと交わることで、次のレベルに進むことができる。ユーザエクスペリエンスなどを含む、コネクテッドデバイスから集められるさまざまな製品についての情報が生産現場にフィードバックされるようになれば、これまでに無かった生産プロセスの改善と無駄の削減のチャンスに恵まれるようになる。

コンサルティング企業のDeloitteは次のように述べている
「IoTとアナリティクスにより企業の幅広い資産が結び付けられ、結果、生産プロセス全体の効率が向上する。」

効率の向上が見込まれる分野についてもDeloitteは述べている。一つは生産計画及び製造前工程だ。サプライヤーの選択からリスク分析、原材料コストの管理はIoTとアナリティクスがもたらす相互接続性を通じて細かく最適化できるという。

「アナリティクスは顧客の好みや何を望んでいるかについてより良い理解を企業にもたらし、それは市場での予測判断やパフォーマンスに結びつく。買われた製品や特有の機能を理解することで、市場のニーズに即した生産計画を立てることができるようになるだろう」とDeloitteはいう。

二つめはIoTの他の利点といえば生産プロセスの効率化であり、ますます多くの企業がIoTとアナリティクスを利用するようになり、急速に改善が進んでいる。「予測のためのツールとマシンラーニングにより、潜在的な問題が発生する前に特定、解消することが可能だ。カイゼンやカンバン方式といった生産プロセスの価値は飛躍的に向上する」と同社はいっている。

そしてIoTの恩恵を受ける三つめは、生産後のサポートとサービスである。Deloitteは以前、企業はしばしば製品を売った後どうなったかについて把握していないと述べている。だが今や製品はコネクテッドになり、IoTとアナリティクスにより今まで以上に多くの知見がもたらされるなか、企業は顧客からの情報を効率的に集めることが出来るようになり、販売後のサービスやサポートの改善に役立てることが可能となっている。

IoTが無駄のない生産に及ぼす恩恵は企業内にとどまらない。生産者とビジネスパートナーとのインタラクションも最適化され、製品需要や利用法についてのより正確なデータに基づいて物流の改善がなされる。IoTサービスを生み出し強化するためのAccelerite Concertなどのプラットフォームは、こういったコラボレーションを生み出すのに大いに役立つ。

製造業者はこれまでのマニュアルプロセスでは非常に難しいか、あるいは不可能だった生産効率の向上が達成できることに気付かされることだろう。

READWRITE SPONSORS
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
転載元はこちらをご覧ください。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています