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大いなる力には大いなる責任が伴う:IoT時代の功罪

2017年6月9日(金)
ReadWrite Japan

IoTの時代は急速に忍び寄ってきており、我々の日常をこれまで以上にコネクテッドで、はるかに多くのデバイスに縛り続けようとしている。このためすでに忙しすぎる我々の生活の仕事モードのオンとオフの境目は曖昧になりつつある。
我々はこのことを懸念しなければならないのだろうか、それともまだ我々でどうにかできるものなのだろうか?

“いつでもオン”の時代

現在ですら我々は常にコネクテッドであり、通知のせいで日常はバタバタとしたものかも知れない。だがIoT時代において簡単に手に入るコネクティビティとデバイスの遍在性は、これまでの「いつでもオン」ということの再定義を迫るものだ。まもなく訪れる情報のオーバーロードとは、より多くのアクセス、より多くのデータ、より多くの位置情報、より広い通信環境が我々の生活にもたらされることにほかならない。

我々の生活は常にネットにつながっていることで、現実と仮想世界が切り離せなくなる。オンライン、オフライン問わず、両方で会話し、どこでどういう状況にあろうが我々はアクセス可能なものとなる。

朝起きた時からコーヒーメーカーやトースター、冷蔵庫とデータを同期し、通勤時には車や公共交通機関、信号や路上の広告とつながっている。手持ちのデバイスは自分のかわりにウィンドウショッピングを行い、ジェスチャーでタクシーを呼び、ゴミ箱ですらなんらかのアクションを行う。

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遊んでいる時や休んでいる時でさえ、我々の存在自体が追跡され、アップロードされ、アクセス可能なデータとなる。プライバシー設定などは可能であろうが、個人的で秘匿したい情報がアクセスされ共有される可能性があるという状況を、受け入れざるをえなくなる。

恐ろしいことだが、多くの人々はこのことをポジティブにとらえている。生活にもたらされる本物のパーソナライゼーションと最適化への過程であると。

世界の現実と仮想の識別がつかなくなる。

その反面

個人情報にアクセスできることで知見が集まることは悪いことではないのではないか?Fitbitが健康的な生活を提供できていることを考えてみないか。

IoTは我々の生活から、これまで見抜けなかった多くのことを明らかにするものではないのだろうか。

例を少々あげてみると、牛乳の賞味期限が切れそうなことを冷蔵庫が教えてくれたり、湯が出る時間が終わりそうなことをシャワーが教えてくれたり、エレベーターが故障になる前にメンテナンスを要求することでダウンタイムをなくしたり、目覚ましが生活パターンに応じることで睡眠パターンが最適化されたり、信号とコネクテッドになることで通勤が安全なものになったり、誕生日や記念日などに特別なプレゼントの購入を忘れることがなくなったりすることができるだろう。メールですら自分のかわりに出してもらうことができ、我々の限られたリソース、つまり時間の浪費をさけられるではないか。

ここにあげたのは例のわずかでしかないが、IoTされたエクスペリエンスがもたらすものが素晴らしいものであるかを語るには十分だろう。

大きな力には大きな代償も伴う

IoTが生み出す膨大なデータと知見はすなわち我々の力だ、が、それがもたらすエクスペリエンスが良いものかそうでないかを
判断する責任は我々にある。

どちらにせよ我々はその両方を経験することになるのであろうが、もたらされる情報は我々に、自分自身や属するコミュニティ、環境を最適化する力を与えてくれることだろう。

結局のところ程度の問題であり、IoTが世界をどのように改善するか、そうでないかは我々のさじ加減だ。

著者はKnowmailのマーケティング部門の責任者である。起業家でもあり、多くの企業をスタートアップした経験を持つ他、ベンチャー起業の創成や生産管理の相談にものっている。

ERAN ABRAMSON
[原文4]

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