はじめての動画配信 3

動画配信サーバーと配信インフラの組み合わせ例

動画配信サーバーと配信インフラの組み合わせ例

 自社サーバーで配信する場合、サーバーOSやマシンスペックも重要ですが、バックボーンとなるネットワーク回線も重要になります。判断基準として「帯域保証の専用線を使うか?」「ベストエフォートの廉価回線を使うか?」などが挙げられます。

 ホスティングサービスの場合、ホスティング業者のバックボーンの仕組みとサーバースペックによって料金などが変わってきます。

 バックボーンは、廉価なホスティング業者では、ベストエフォートの回線を束ねて使っている場合もありますし、大規模動画配信が可能なホスティング業者だと帯域保証の専用線とCDNなどの動画配信技術を使用しています。

 回線品質やサーバースペックの判断基準は図3になります。特に、あまりアクセス数が見込まれない動画配信に大規模動画配信が可能なホスティング業者を選ぶとランニングコストが大きくなり、逆に廉価なホスティング業者でアクセス数が多くなると、サーバーのビジー状態が続いて使い物になりません。

 次に、Webサーバーかストリーミングサーバーを利用して動画配信するかの判断基準ですが、特にFlashのストリーミングサーバー利用は、つい最近まで料金的に割高でした。

 しかし、現在ではFlash Media Serverのホスティングを廉価で提供する業者があったり、また、Red5(http://www.thinkit.co.jp/article/152/1/)の登場により、Flashのストリーミング配信の敷居が下がったと言えるでしょう。

 Flashのプログレッシブ・ダウンロード配信とストリーミング配信の違いは、ダウンロード方式だと、Webサーバーへの負荷が大きいく、クライアントPCに動画データのキャッシュが残りますが、ストリーミング方式だと負荷が小さく、動画データのキャッシュが残らないという利点があります。

 Windows Mediaは以前から廉価で提供するストリーミングサーバーや大規模配信に対応したホスティング業者がありますが、現在ではフリーツールでWindows Mediaのストリーミング動画データをダウンロード保存ができてしまいますので、コンテンツビジネスにとってはWindows Media DRM対応が必要になります。

 このWindows Media DRMをサポートしている業者も検討の中に入ります。この時、動画配信サービスの内容とDRM料金体系の確認が重要です。

動画配信サーバーと連携するサービス

 ただ単に動画配信するだけならば、それほど難しい事ではないのです。

 動画配信に、動画データの暗号化であるDRMやユーザー認証/課金サービスなど、動画配信に付随する各種サービスが動画配信のコンテンツビジネスを難しくしている一因であるのは、確かです。

 例えば、ある程度少ない視聴者に向けて動画配信を無料でおこなうサービスの場合、本当に安く提供する事が可能です。ところが、これに課金が付随してくると決済システムやユーザー管理が必要になり、動画データを著作権で保護したい場合はDRMを使用しなければなりません。

 この場合、動画配信に付随する決済システムやユーザー管理、DRM管理のすべてを自社でシステム開発して処理しようとすると大変な手間とコストが発生します。

 現在では、決済システムと連動したDRM管理を提供するASPサービス業者などがありますので、このサービスに合わせた動画配信のWebコンテンツ制作をおこない、付随システムの開発を省略し、安価に対応するという事で対応できます。

 この場合、少なくともASPサービスに合わせたWebコンテンツのカスタマイズが必要にあります。

 次回は、今回までの内容を元に動画配信とそれに連携するサービスを使った例を紹介し、どれぐらいのコストが発生するかなどについて説明します。

 なお、本稿の執筆にあたって、以下を参考にしました。

「動画配信に強くなる」『日経NETWORK』日経BP社(発行年:2007)

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