動画配信規模とコストの関係はどう?
そもそも動画配信のコストって何?
2001年に筆者がWeb制作会社に勤めていた時の体験談です。
その当時の部長から「お前は、ビデオの制作費が100万円と言うけど、ページ単価が数万円なのに、その中に入る動画に100万円も払えないんだよ!」と言われました。これは動画配信のコスト意識をわかりやすく表現しています。
その当時、筆者は「Web系の人たちはこんな費用計算をするんだ!」と思ったのですが、こういう発想だと、「UNIQLOCK(http://www.uniqlo.jp/uniqlock/)」のようなコンテンツは到底制作できないわけです。現在でも、こういう発想のWeb制作会社を多く見かけます。
また、クライアント側でも誤解が多く、例えばジュエリー系の動画配信で筆者がビデオ制作費を数十万円とかなり安く見積もっても、「料金が高すぎる!」というクライアントもいます。この場合、クライアントは数万円で動画映像制作・配信ができると判断しています。けたが違います。
一方で、動画映像はクライアント自身で用意し、動画配信のみ筆者に依頼するクライアントもあります。この場合は月額数千円で動画配信することも可能です。
数千円になったり、数百万円になったりと、コストってどうなっているのと思われるかもしれませんが、原因は映像制作の人件費とビデオ制作費などのコスト意識の違いなんです。人や機材、時間がコストに直接影響を与えています。
コスト要因は何か?
コスト要因についてが以下の3つが挙げられます(図1-1)。
1つ目は、動画制作のコストがコスト計算で誤算が生じるところです。
動画制作でコスト誤算が大きいのは、動画をどこかで調達するか、CMやパッケージビデオなどを借りてきてしまうので、自分たちではじめから映像制作する機会がないのが主な原因です。はじめから映像制作する場合は、第2回(http://www.thinkit.co.jp/article/153/2/)で説明している通り、映像制作スタッフとの連携が重要になります。
特に、高いクオリティーの映像を望めば、それ相応の費用となりますので注意が必要です。また、予算からどのような映像が作れるかを逆算する必要もあるでしょう。
2つ目は、動画配信システム構築のコストです。
例えば、動画映像の権利をクライアントが持っていて、その映像を利用してコンテンツビジネスを展開しようという場合、第3回(http://www.thinkit.co.jp/article/153/3/)で説明した動画配信の予算・見込みアクセス数などからインフラの規模を検討し、さらにこれらの動画配信インフラに適合した決済システムやユーザー管理システム/DRMシステム構築を査定する必要があります。
3つ目は、Webコンテンツ制作のトータルコストです。最初に元となるWebコンテンツがあって、その集客する中から決済システムやユーザー管理システム/DRMシステムなどを使い、動画に誘導しないとビジネスにはなりません。
元となるWebコンテンツは、初期投資になります。いわゆるイニシャルコストです。それで、この初期投資をどれくらいの規模で実施するかが、マーケティングも含めたマネジメントの重要なところです。
どのような映像を配信するか、その映像に対してどれくらいのユーザーが獲得できそうか。結果、映像やWebコンテンツなどの初期投資はどれくらいか。視聴者となるユーザーが獲得できたら、月々のランニングコストはどれくらいか。
筆者の経験では、「うちのポータルサイト200万人の会員がいるけど、その1%の2万人が同時に動画を視聴しているだろう。もちろん課金したい。このシステムいくらでできるか見積もりしてよ!」と、あまりにも大ざっぱですが、このように言ってくるクライアントは多いです。
ここで重要なのは、図1-2のようにいろいろな条件を検討することです。
特に、米国の大手コンテンツホルダーなどは、所有するコンテンツが月額の売り上げで一定額以上ないとコンテンツ自体を貸さないという場合もありますので、たとえ映像を借りてくるにしても注意が必要です。
次は、規模に応じた動画配信コストを説明します。